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目を覚ましてから一週間が経った。
病室からはすぐに退院した。というより、「元貴が一人暮らしの部屋に連れて帰った」と言うべきだった。
「昔も、ずっとここで一緒に暮らしてたんだよ。」
「……なんか、懐かしい気もする」
「そうだね。きっと身体が覚えてるんだよ、滉斗。」
恋人、という言葉にまだ違和感はある。
けど、大森は嘘一つない顔で、ずっと傍にいたと語る。
どんな質問にも笑顔で答えてくれる。
…なら、きっと、そうなんだろう。
(記憶が戻らない俺が悪いんだ)
そんな風に若井は、知らない“過去”を信じ込もうとしていた。
そして、ある夜。
「滉斗。」
「……ん」
ベッドの中で、静かに名を呼ばれる。
隣に寝ていたはずの大森が、寝ずにこちらを見ていた。
距離は、10cmもない。
近い、けど、なぜか怖くなかった。
「俺たち……何回も、こうやって眠ったよ。手、繋いで、キスして、抱き合って」
「……そっか、」
「……しても、いい?」
息を飲んだ。
でも、拒めなかった。
この人は、自分の“恋人”なのだと、そう教えられていたから。
「……うん」
一言だけの許可を、大森はまるで“待ち望んでいた”かのように、唇を重ねてきた。
甘く、やさしく、でも確実に支配するキスだった。
熱が移っていく。
指先が触れるたび、知らない感覚に痺れていく。
「大丈夫、痛くしない。昔から、滉斗はここ……弱かったんだよ」
「っ……あ…//…」
耳たぶを甘く噛まれながら、肌の奥が熱くなる。
知らないのに、思い出す身体。
それはまるで、最初から躾けられていたかのように。
「ちゃんと感じて。……今のお前の“恋人”は、俺だけなんだから」
嘘だ。
全部、全部全部嘘だ。
けれど若井は、もうそれを疑えない。
キスの合間、乱れた声の中で、
何度も繰り返された名は、たしかに優しかった。
だから、どんどん本気で信じてしまう。
「……好き……元貴……」
「うん。俺も、世界で一番、滉斗を愛してるよ。」
嘘の中で、
本物よりも深い愛が育っていく。
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どうも、▷◁▷◁です。
なんと、皆様のお陰でフォロワー様が、
100人行きました。
凄い嬉しくて。
本当に有難う御座います。
これからも精進致します。
フォロワー様いいねして下さる方皆様、感謝です。*ˊᵕˋ*
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コメント
6件
おぉすごい…… 健気な若様は可愛いですなぁ🙂↕️ フォロー失礼してます。
騙されてれる若様かわよ( ヾ(๑⃙⃘´ꇴ`๑⃙⃘)ノ
癖にぶちささりました…