〜注意事項〜
・一話参照
*
「…それで。何が聞きたいんや。」
見慣れた会議室に座り、彼らを見渡す。
どこか重く、異様に広く感じる。
彼らはx国の内部情報を記した書類を読んでいる。
紙の擦れる音だけが、沈黙を切り裂いた。
読み終わった者は俯いたまま、黙り込んだ。
「つまり、相手は嘘の情報を伝えたってことか、?」
utが震えながら問う。
誰も顔を上げようとしない。
「ciがスパイだって思わせるような、自国が味方だって思わせるような…。」
knが呟く。
皆手を握りしめて俯いた。
rbは、utの方を向いて頷いた。
その瞳には怒りではなく、ただ静かな痛みがあった。
「それで…。お前らはまんまと騙されたっちゅうわけやね。ciに、酷いことしたって聞いた。」
「酷いことなんかちゃう。拷問しようとした…。ciが逃げたから辞めたんやけど、」
tnが頭を手で支えながら言う。
声は低く、小さかった。
rbはなんだか1人で説明するのが辛くなってきて、隣で眠っているshoの額を触った。
「…。ci、どんな感じやったん。俺が見たんは、あの、暴れとるciやってんけどさ。」
zmだ。zmはtnの背中に隠れている。
「…静かな子供みたいやった。言われたらやる、動かせば動く。まあなんか、操り人形ではないけど。そんな感じ。」
「口も聞いてくれへんの、?」
「うん。」
「そっか…。」
それに戻らせてしまったんだね、とzm。
元のciくんではないciくんになってるからわ戻った訳ではないんやね、とem。
その言葉が、皆の喉に重く沈んだ。
「…ん"ーー、ぁ"?!あ”あ!!」
「おわッ!?…sho、起きたか。」
「rb…!?あ、ci!!!」
shoは飛び起きると、ciを抱きしめた。
それから、皆を睨む。
rbの手を掴み、寄せて犬のように警戒していた。
「ut…お前ら、ciになにしたッ、!」
「sho落ち着け…。ciは寝てる。大丈夫やから。」
「…泣いてる。泣かせたんやろ、お前らが。」
「sho、」
「ci守るって約束したのに…守れんかったんやね、俺。rbにも、迷惑かけてもうたし。」
俯くshoに、shpが近寄った。
「shoさん…ci、はもう俺のこと、嫌いやと思いますか、」
shpも俯く。
その声は掠れていた。
泣きそうで、でも泣けない人間の声だった。
表情は見えないが、確かに暗い。
shoは、ciの頭を撫でながら首を振った。
「…ciがお前らのこと嫌いになるわけないやん。」
「……ほんまっすか、」
「だってciは、お前らのこと、だいすきやろ。俺は別に、もうお前らのことどうも思っとらんけど。」
冗談めいた言葉に、誰も笑えなかった。
その時だった。
「ん"……んん、」
「「 ci!!!!!!! 」」
shoの腕の中で、ciが声を出した。
やはり、それにいち早く反応したのはshoとrbであった。
というよりかは、他の皆はそれに反応していいのか分からなかった。
ciはゆっくりと目を開けた。
光を拒むように細めた瞳が、やがてshoを映す。
「……」
声は出ない。
shoが震える指で彼の頬を撫でる。
「…やっぱり、そうやんね。」
目覚めたciはもしかしたら元に戻っているかも、なんて淡い期待を抱いていた。
あんなことがあって、そうなれる確率の方が低いのに。
rbは深く息をつき、shoはぎゅううとciを抱きしめた。
皆は静かにその様子を見ていた。
「ci、ci。おはよう」
「…」
「ci、寒いか?暖かいもん飲もうな」
rbは辛い心を抑え込み、ゆっくりと立ち上がった。
食堂借りる、それだけ言って、足早に会議室を出て行こうとした。
けれどrbの足音だけの静寂を、ひとつの声が遮った。
「ここあ」
「……ッ、え!?」
「…ココア、のみたい」
ciがshoの肩に頬を乗せながら呟くように言った。
皆が驚いて目を開いた。
細く、小さかったがそれは確かにciの声であった。
「…ci、ココア好きやもんなあ。」
「…っ、じゃあココアにしよう!!ココア!」
rbは唇を噛み、必死に涙を堪えながら駆け出した。
ciは目線をまた落として、shoの肩に頭を預ける。
この状態で、自分の意見を出したのは初めてであった。
それは確かな進歩である。
shoは満足気にciを撫でた。
「…あ、あ…の」
rbが出ていき、足音が消えてからまた静かになった会議室に響いたのはutの声だ。
shoがキッと睨み、utはまた縮こまる。
ciが取り乱したらどうするんだ、そういう圧が込められていた。
utは何も言えなくなり、ただ手を膝の上で握りしめる。
ciはshoの腕の中で、微かに動いた。
その動きはほんのわずかなものだった。
だが、全員の視線がそのひとつひとつに吸い寄せられる。
shoの指先が、そっとciの頬に触れた。
温かい。
確かに、生きている。
「…ci」
呼びかけに応えるように、ciのまぶたが小さく震えた。
そのまま、何度か瞬きを繰り返す。
「…sho」
掠れた声で、ciが名前を呼ぶ。
shoは泣きそうになりながら笑った。
「名前呼んでくれるん、ci。大丈夫や、もう大丈夫やからな」
その声に、皆が小さく息をのむ。
誰もが声をかけたいと思った。
でも、どうしていいかわからない。
次の瞬間、ciの肩がびくん、と跳ねた。
「…ッ、あ"、あッ!!!!」
目を見開いたciが突然暴れた。
shoの腕の中から、皆の姿が見えたのだ。
shoの腕を振り解こうと必死にもがく。
「ci!?どうした、ciッ!!」
「離してッ…や"、やだッ、来ないで!!」
その声には、恐怖と混乱が滲んでいた。
目の焦点は定まらず、誰を見ているのかも分からない。
全身が小刻みに震え、呼吸が乱れていく。
「ci、落ち着け!俺がおる!!誰もお前を傷つけへん!傷つけさせへんッ!!!」
shoが声を上げるが、ciの耳には届かない。
「いやや…ッもう、しない…いたいの、や"だぁ…」
喉の奥から、絞り出すような悲鳴が漏れる。
shoがどうもできないでいると、バタバタと音がして、rbが飛び出してきた。
ciとshoの声を聞いて慌ててやってきたようだった。
エプロンをその場に脱ぎ捨てて、駆け寄る。
shoの身体ごとrbはその身体を力強く抱きしめた。
その勢いに背中を押されたのか、shoはふう、と息を吹いた。
「俺はsho!!ciを守る男や!!!男に二言はあらへん!!!!!」
大きくそう叫ぶと、ciはハッとしてshoを見上げた。
rbもそれに続く。
「お、俺はrb!!!…ぅぅうああciの目が大好きやぁッ!!!!!!!」
「え?」
「こっち見んな…」
rbがshoの顔を手のひらで隠す。
なにをふざけたことを、とtnは思ったが、どうやらその声は確かに届いたらしい。
「ッ…あ、あ」
「覚えてる?俺言ったやろ、お前を守るって」
ニッとshoが笑ってみせると、ciは身体の震えを落ち着かせた。
「俺、ciの綺麗で、芯のある目が大好きや」
rbは耳を真っ赤にして、ciの頬を撫でた。
「…sho、rb、」
そして、その名が呟かれた。
shoの胸に顔を埋め、rbと手を繋ぎ、肩を震わせながら嗚咽を漏らす。
「ッ、ぐすッ…ひっ。ご、ごべ"んなッさい…」
「謝らんでええ。悪いのはお前やない」
shoは背中をゆっくりと撫で続けた。
撫でるたび、ciの呼吸が少しずつ落ち着いていく。
皆が気まずそうに目を逸らす。
emに至っては、rbが脱ぎ捨てたエプロンを畳み始めた。
それらに腹を立てた。
コイツらの態度はこれだと言うのに、ciを元に戻してやるにはコイツらが必要なことが、苛立って仕方なかった。
数分が経った。
やがて、部屋に静けさが戻った。
*
「…ci、もう怖くない??落ち着いた?」
rbが静かに問いかけた。
ciはshoの胸元に顔を埋めたまま、小さく首を振った。
「んん…で、も…ふたりが、いるなら…だいじょぶ」
その声に、shoは目を閉じて息を吸った。
喉が熱い。涙がこみ上げてくる。
「そっか。えらいな、ci」
rbはそれを聞いてから、静かに立ち上がった。
emの膝に置かれたエプロンを乱暴に取って、皆を見渡す。
皆が困ったようにrbを見上げた。
「……はあ、」
それからやっぱりエプロンをemに投げて、ciの元へ戻って行った。
皆がぽかんとしながらそれを見守る。
rbはciのふわふわの髪の毛を優しく撫でた。
ずっとずっと、大切にしてきたからこそ、この状況でもふわふわのツヤツヤと維持している。
俺がどんな気持ちでciの髪の毛を乾かしたか。
rbは1度皆を睨んでから、優しく声をかけた。
「ci。」
「…んー、」
ciはshoの体温と、rbの手つきで眠くなったのか、いつもより柔らかな表情の顔を見せた。
「皆のこと、嫌いになったか。」
「…なんでそんなこというん、」
「じゃあ皆のこと、許せるんか」
「…ゆるす?なんでおれがゆるすん」
俺は許してもらえへん、そう言いたげにshoの肩に顔を埋めてしまった。
「ciは悪くな 「ci…」
その名前は、utの喉からやっと絞り出されたものだった。
「だ、騙されて、わからんくて…お前のこと信じられんくて…ほ、本当に、ごめん」
ciがバッと顔を上げた。
またパニックになるのかとshoはすぐさま抱き寄せた。
shoの服を握る手に、わずかに力がこもる。
「…なんで」
「ッ、!!」
「…なんでutせんせー、が。あやまるん」
utの目に、涙がにじむ。
「ci…」
「なんで。なんであやまるん…なんで、」
「ciと…仲直りしたいんや」
「してくれるん…おれ、おれまた。ここに、かえってきてええの?」
「当たり前や…もう二度と、突き放さへん、絶対。ぜったいや…」
その言葉に、ciはゆっくりと頷いた。
まだ目は赤く、涙の跡が残っている。
でも、その中にほんの小さな光が戻っていた。
その裏でrbは感心していた。
皆が各々と言い出すのかと思っていた。
こいつらだから。
自分が1番な奴らだから。
けれど、そうではなかった。
utを初めとして、1人1人がゆっくり1人ずつ、ciと話していた。
ciのペースを崩さないようにしていた。
shoはまだ許せていないらしいけれど。
ciの身体に触れさせないようにしている。
「…ふう。ほんまにこいつら…」
「な、なあrbさん」
「ええ、ええよ。礼はいらへん。」
エプロンを掴み、emが縮まった腰のまま近寄る。
rbはカッコつけるように手を振った。
「…ちゃうくて。ココアって手鍋で作っ 「ああ"ああッ!!!!!」
rbはエプロンを忘れて、食堂へ駆けて行った。
沸騰する前に火からおろさなければいけないのに!!!
食堂の扉を思い切りに開ける。
「…ッ、は、あ…あ!」
「は?嗚呼、rb。これ、お前ンの?」
「…!gr…」
grはココアをカップに注いでいた。
湯気まみれなのを覚悟していたが、grのおかげで無事であった。
rbは息をついて、カップを手に取る。
「なにしてるんだ、料理中にいなくなるなんて」
「お前らのせいなんやけど」
「それもそうだな。ハハ、助かるゾ」
微かに立つ湯気をフウッと吹いて消した。
完結です(ゴリ押し
当時の自分がどういう終わり方にしたかったのかがよく分からなくて!!
なんとかゴリ押ししました
なので多分内容はごちゃごちゃですね
コメント
13件
ここちゃんが書いたものって心が吸い込まれる。沁みますとても
ついに完結ですか! 本当に素敵なお話でした🥹
んなあああああ ほんとにこれココアさんのお話の中でも上位に入るぐらい大好きだったのでめちゃめちゃ嬉しいです🥺 rbンゴの「ciの芯のある目がすき」なんたらかんたらみたいなセリフ感動すぎてもう、ね、食べていいですか???(?) ciサンが後半喋れてるのすんごすぎませんか えいやふつーに場面とか変わるときにいつの間にかぬるっと変わってて尊敬です💘💘