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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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瞬く間の花の少女

精霊が現れたかのように見えた。美しく愛らしいその少女は花の冠を頭に乗せてゆらりゆらりと動いては笑った。

混ぜて欲しいかのような思いで手を伸ばした。

それに気づいたのかこちらを見て驚いたようにした。

バサッ

そんな音を立てながら色とりどりの花が散らばる。その花と少女は瞬く間に消えた。

パチッ

『ここは……』

見上げていたのはとても青々としていた空であった。

気づいたら公園のベンチで寝ていたのだろう。時計を見てもあまり時間は経っていなかった。昼寝程度の眠りだ。

公園の花を見て夢を思い出した。

あの愛らしい少女が付けていた花の冠は色とりどりの花で着飾られてとてもいい色合いをしていた。

その色を参考に使えるかも?と考えた。マンネリ気味だったからいいことだ。

思い立ったが吉日とか何とか言うし、とリュックに入れていたノートとペンを取り出す。

サッとペンを走らせる。その時驚き隠せないでいた。

『っ!!』

現実地味たような夢なはずなのに繊細に覚えているのも怖かった。自分でも驚いたくらいだ。

確かにあの少女は可愛かったのは本当ことだがそんなことだけでここまで繊細に覚えているのもすごいと自分でも感心したしそれは恐怖の種だ。

また夢を見たらあの少女が見られるのだろうか?そんな思いが過ぎり早速試してみる。

幻太郎に徹夜して怒られていたから昼寝するのはちょうどいい。

またベンチに倒れる。そのまま目を閉じた。

スゥ

男はそう寝息を立てて眠りについた。あの少女が見られるのかも、と期待を心に描きながら。

『……あはは』

声が聞こえる。それにハッとして重く閉ざした目を開ける。

あの花の少女だ。

タッタッタッと音を立てながらこちらに近づいてきた。また起きたとバレたら逃げられるかもしれない、念には念をと寝たフリをした。

その少女が持っていたものを僕の頭に乗せた。花の冠だ。見る限りシロツメクサだろう。

少女は笑顔を彩る様々な色の花を、僕にはシロツメクサ、なんの意味もない変哲の無い花。

『ふふふ』

僕の頭に花の冠を乗せると少女ははにかんだ。何をそう楽しんでるのだろうか。

なぜ僕なのだろうか、いやこれは夢だなぜも何も無い。

そしてまた華をつみに行く少女を確認したあとに体を起こした。

夢の中でも続けるこの物語。だが周りを見渡すもそこは現実の公園ととても似ていた。

『……?』

とにかく話してみたいという気持ちが勝った今、少女に近づく。

そしてその小さな腕を掴んだ。

『!』

『君はだーれ?』

『お、おにいさん起きちゃった……?』

びっくりしたようにそう言われ、まぁ当たり前だなととにかく腕を離した。

『このプレゼントをくれた妖精さんは君?』

こくこくと頷く少女を見てどこか既視感を覚える。

気のせいだと心に言い聞かせてまた質問をする。

『なんで僕の頭に花冠を乗せたの?』

『おにいさんが可愛いかったから……?』

『なんで疑問形なの………』

はぁ、とため息をつける。もしこれが夢じゃなかったらともしものことを考え不安になる。

『あ、いや、でもおにいさんが』

プルルル プルルル

少女が何かを言いかけた後に電話がなった。

え、もしかして夢じゃない?

電話の相手は夢野幻太郎夢にしてはリアルすぎる。

『もしもし?』

『なーに?げんたろ』

『いえ、言い忘れてたことがありまして』

『ん?』

何を言い忘れたのだろうかとなになに?とこちらから聞く。

『あの、流月がまた小さくなりまして、保護していたところ流月が勝手に外に出たと見られまして……』

『こっちで見てないかってこと?』

『ええ、お恥ずかしながら』

『んー、見てな……』

見てないと言いかけたその時、こちらを見上げハテナを浮かべる少女が目に入った。

『君、名前は?』

『てる!』

その勘を信じ名前を聞いたところ案の定流月であった。それを報告するべくまたスマホに口を近づけ幻太郎に話しかけた。

『げんたろー、流月見つけた』

『ええっ!?』

驚きを隠せないのだろう。こっちだってそうだ、逃げ出した?流月が僕のところにいるんだから。

『とにかくそっち連れてくねぇ』

『え、ええお願いします』

『はーい』

プツン

『あ、あのねおにいさん』

ここは現実、それを理解しながら流月の話を聞く。

『おにいさんが好き?だから冠あげたの!』

『…………ッスー』

手を顔に当て上を見上げる。なんだそれ、好きだから冠あげたのだと言われ思考停止しながらあたふたする流月を見つめる。

『可愛い可愛いお嬢さん、僕と帰ろっか』

『帰る…?やだ!』

『え、なんで……?前髪がクロスしたお兄ちゃん優しかったでしょ?』

『あのおにいさんは写真いっぱい撮ってくるからヤダ!』

とてつもない帰りたくない理由を聞いた瞬間納得した。

これは逃げ出していい

あの幻太郎ならやりかねない。

『おにいさんが注意しとくから、ね?』

『……はーい』

悩んだ末か返事を貰えた。

まだ昼間の暖かい時間帯、1人の花の少女と成人男性は手を繋ぎ兄妹のように帰り道を歩いて行く。

瞬きの瞬間を縫って───

🕊 𝕖𝕟𝕕 𓂃 𓈒𓏸 💗

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