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「げほっ、ねぇ、晴くん。」


「僕、もう長くないんでしょう?」


僕が密かに恋心を抱いている彼は、僕の患者。恋心など抱いてはいけないのに。 そんな彼は原因不明の病に罹り、あと数週間で朽ちてしまう。窓の外の桜をそっと見つめ、儚いその瞳には覚悟と後悔、そして諦めの感情が映っていた。


「そう、だね…。もって、数週間。」


「やっぱね。げほっ、知ってた」


決して彼は僕の瞳を見つめることは無かった。だが、今だけは違う。僕の目をしっかりと見つめ、微かに微笑んだ。


「僕が死んだら、この身体晴くんにあげる。」


きっと、藤士郎は死んでも尚美しいだろう。どうせ、死ぬんだから最期は最高に美しい状態で見送られたい。そんな彼の美意識に僕は負けた。だから藤士郎はあと数週間しか生きられない。


「分かった。迎えに行くよ」








ーーー


あれから数週間、藤士郎は亡くなった。


不思議と病死では無いように見えた。これまでの患者たちの姿は頬は痩けていて髪は抜けていて其れは悲惨なものだった。だが、彼は長い、とても長い眠りについているみたいだった。本当は生きているのではないだろうか、息をしているのではないか。そう思い何回も彼の口元に耳を近づけた。だが、結果は全て同じ息なんてしていないし、とっくに亡くなっている。


どうして、世界は彼の病気について調べなかったのだろうか。本気で調べたら原因が分かって彼を救えたかもしれないのに。嗚呼、世界の誰にも見捨てられて可哀相な藤士郎。




誰も知らない場所に彼を眠らせた。

そこは、藤の花と桜の木が沢山あってとても綺麗な場所だ。昼には陽の光に照らされ、夜には月明かりに照らされる。そんな綺麗な場所に眠らせるつもりだった。そう、表向きは。本当は、自宅の地下の研究室で2人きりで暮らすつもりだ。もう二度と彼の歌声や声を聴けないのはとても悲しいけれど、藤士郎が僕だけのものになってくれるのだ。




その前にせっかく用意した霊廟で、2人だけの結婚式をあげようじゃないか。

ある人は言う、こんなのおかしい。間違っている。と、だが、僕はそうは思わない。これは、永遠の恋だ。はたまた、禁断の行為か?それが罪なのだろうか。世界が許さずとも、彼が許してくれた。それだけで十分


僕は彼の物謂わぬ口唇にそっと生気を吹き込んだ。今宵2人は結ばれる。祝福もされずに。





ーーー



さぁ、彼を永遠のものにするためのメイクをしよう。


腐り落ちた眼孔には藤色の硝子を、敗れかけた白肌には絹の肌を、侵された内臓に綿のガーゼを。


宝石で飾った白いドレスを┈┈┈


完璧だ。生きている時の彼とそっくり、そういえばよく彼から器用だね、って言われてたっけ。

懐かしい思い出を思い出していたとき、ふと、彼が動いたように見えた。


恋を謳ってまた僕は手を染め続ける。







ーーー


「辞めろ!!、彼を!藤士郎を!連れていくな!!!」



やがて暴かれたのは、醜い怪物で。


「」を造り上げた医者は、辯駁を叫んだ。










「これは永遠の恋だ!、彼の、藤士郎の願いなんだ!!!」


死にゆくと決めたお前らが、見捨てた、男じゃないか。


嗚呼、哀しき花嫁。物謂えぬ儘で、今宵2人は裁かれる。おまえを見棄てた、人達の正義で。












「正しいのはだあれ?」























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