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5話|n. 蘇り始める記憶
チチチチッ チチチチッ
家に植えてある木から小さな鳴き声が聞こえてくる。
まさに自然の目覚まし、といった所だろうか。
まだ眠気が覚めていない目を擦る。
「目に悪ぃけど、」
村長に話を聞きに行った後、俺らは地元 を歩き回ったが村長以外に情報を持っている人は誰一人としていなかった。
まるで、“ 記憶の抜け殻 ”みたいだ。
ちなみに言うと、俺らの地元はドが着く程の田舎。
周りは田んぼで囲まれていて、電車なんて1日数本しか来ない。
けど、交通機関で困る事は余り無い。
強いていうなら、都会に行きづらいというだけ。
重く感じる腰をあげ、リビングに向かう。
そこにはみんなが居る。
情報があまりにも少なすぎるので、作戦会議をしよう。そういう話になっていた。
降りると既にみんながいて、俺へ口々に「遅いよ」と言う。
遅刻魔bnさんもorfくんも既に居て正直びっくりだった(笑)
「さぁ、始めようか。作戦会議を」
「そうやねっ!」
「まず、村長の話からだけどーーー」
村長から言われた話をもう一度分かりやすくまとめて、互いに意見を言い合う。
ただ、どんな事より俺は、気になっている事があった。
「なぁ、dzさん……」
「ん?どうしたのmn?」
「あいつ、居なくなる前に……手紙、渡してくれてませんでしたっけ?」
「手紙……?」
「あっ!あれじゃね?引き出しの奥にあるやつ!」
「引き出しの奥……?」
「そうそうっ!mnが寝とる間、暇やったから探索しとったら紙が出てきたんよ」
「紙……?」
「これだよ、これ。mnは知ってるの?」
紙は古くボロボロだったが、綺麗に折られていた。
そして紙の一番下に「 Qnly 」居なくなった子の名前が書かれていた。
そして、紙の真ん中には
「俺が居なくなって数年経った時に読んでね」
なんて書かれていた。
俺は、この文字に馬鹿正直に従っていた。
まぁ、これが、あいつからの願いでもあったしな。
「これっすよこれっ!!」
「あ、そうなんや……w」
「見てみましょっ!」
君から貰った最後の手紙。
ゆっくりと開かなければ、紙がすぐに破れてしまいそうでちょっと怖かった。
開くとそこには、
あいつらしい字で、1文字1文字丁寧に書かれていた。
──────────
拝啓 俺の大切な人へ
今貴方達は元気ですか?
きっと、これを読んでるって事は俺は今、俺は貴方達の元には居ないのでしょうね。
居る場合はルール、破ってますよね?笑
ルールぐらい、守って下さい!!!
もし、俺が居なくて、数年経った時に読む場合は、覚悟を決めて下さい。
それは、死ぬ覚悟も含みます。
これを読んだらもう、引き返す事は許しません。
引き返すなら今ですよ〜弱虫ちゃ~んっ!笑
ここから先を読んだら、引き返さないでね
俺は今、きっと、⿴⿻⿸⿴に居る。
───────────
少しおふざけを挟みながらも、煽りながらも、しっかりと君らしい字で書かれた手紙。
きっと重要であろう字は、掠れていて、よく読めない。
なんでもっと丁寧に持っとかなかったんだろ……俺((
けど、少し違和感を感じた。
確かに、古い手紙ではあるが、数年そこらだ。
掠れたり、するだろうか?
むしろ 、掠れていて読めない。よりも、そう思わされるような工作なように感じた。
ただ、この手紙のおかげでだいぶ分かった気がする。
君を探す手がかり………俺らの“記憶”が__
6話|n. 存在する君
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