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第3話:「コンビニでの偶然」
「もう限界!」
私は、夕飯の席で紗希と悠真が楽しそうに話している様子を見ながら、ため息をついた。斗真の皮肉混じりの視線も加わり、耐えられなくなった私は席を立った。
「ちょっと外の空気吸ってくる!」
ドアを勢いよく閉め、家を飛び出したえりは、近所のコンビニへ向かった。夜の冷たい風が頬を撫で、少し気分が落ち着いてきた。
「なんで私がこんな思いしなきゃいけないのよ…。姉と悠真さんはいいけど、斗真なんて関わりたくないのに。」
独り言を呟きながらコンビニに入ると、静かな店内でポップな音楽が流れていた。えりはお気に入りのチョコレートとジュースを手に取り、レジに向かう。
「こんな夜に甘いものでも食べて、リフレッシュしよう…」
そう思った瞬間、背後から聞き慣れた声が聞こえた。
「へえ、お前も甘いもの食べるんだな。」
振り返ると、そこには斗真が立っていた。コンビニの袋を片手に、彼はニヤリと笑っていた。
「うげー?なんであんたがここにいるのよ!」えりは驚きつつも声を荒げる。
「こっちのセリフだろ。お前がいきなり家を飛び出したから、紗希さんに『様子を見てこい』って言われたんだよ。」
「別に様子なんか見なくていいから!むしろほっといてよ。」
えりが顔を赤くして言い返すと、斗真はあきれたように肩をすくめた。「お前、ほんとに面倒くさいやつだな。まあ、確かに俺も付き合わされるのは嫌だけど。」
「じゃあ帰れば?一人で歩く方がよっぽど楽しいわ。」
「そう言われても、紗希さんに怒られるしな。仕方なく付き合ってやってるんだよ。」
えりはムッとしながら、レジで会計を済ませた。斗真はその間、暇そうに店内をうろつき、ガムを一つ手に取るとレジに並んだ。
店を出ると、二人は少しの間無言で並んで歩いた。夜道は静かで、遠くから虫の声が聞こえてくる。やがて、斗真がぽつりと言った。
「紗希さんと悠真、なんか本気で結婚とか考えてるっぽいよな。」
「…そうみたいね。」えりも素直に答えた。
「そしたら、お前と俺、義理の兄妹になるのか。」
「やめて!考えたくもない!」えりは即答する。
「だよな。俺も嫌だわ。」斗真はくつくつと笑った。
その言葉に、えりは何とも言えない気持ちになったが、反論するのも疲れて、結局黙ったままだった。
紗希と悠真さんが結婚したら、うちらは義理の兄妹になる?そんなの、死んでも無理。それだったら死ぬ方がマシ。