第4話:「仕組まれた買い出し」
週末、えりは部屋でのんびり過ごしていた。先日のコンビニでのやりとりを思い出し、ふとため息をつく。家族ぐるみの付き合いが始まってから、斗真と顔を合わせる機会が急激に増え、気疲れが絶えない。
そこへ姉の紗希が顔を出した。
「えり、ちょっとお願いがあるんだけど。」
「なに?」えりは警戒するような目で姉を見る。
「悠真がうちに来る前に、少し足りないものがあるからコンビニで買ってきてくれない?」
「…まあ、別にいいけど。」
言われたメモを受け取り、えりは財布をポケットに入れて外に出た。近所のコンビニに向かおうとしたその瞬間、どこからか自転車のブレーキ音が聞こえた。
「おーい。」
振り向くと、斗真が自転車に乗って近づいてきた。
えりは思わず眉をひそめた。…どこからどう見ても斗真だ。
「またコンビニかよ。」斗真はニヤリと笑う。
「そうだけど。紗希に頼まれて」
「俺も。悠真に。乗る?自転車」斗真は軽い調子で言うが、えりは嫌そうに顔をしかめた。
「断る。何であんたと一緒に行かなきゃいけないのよ。」
「じゃあ別にいいけど、どうせ同じ店に行くんだから無駄だと思うけどな。」斗真は自転車を降りて歩き出す。げー。休日までこいつと顔合わせなんて…。
結局、同じコンビニに着くと、二人はスマホを片手に商品を探し始めた。斗真が先に買ってえりを見た
「俺は牛乳とお菓子とパンね。そっちは?」
「地味ね。私はプリンとアイス」
「アイスとプリンね…お前、ほんとに甘いもの好きだよな。」斗真は笑う。
「いいでしょ、別に。地味なのよりもマシだわ」えりはぷいっと顔をそむけた。
無言で商品をカゴに入れながら、二人はなんとか店内で衝突せずに済んだ。が、会計を済ませて店を出たところで、斗真がふとつぶやいた。
「紗希さんと悠真、俺たちをここに行かせるために仕組んだんじゃないか?」
「は?」えりは立ち止まる。
「さっき、悠真がやたらニヤニヤしてたんだよな。『二人とも、気を付けて行ってきて』とか妙に意味深でさ。」斗真は思い出したように言う。
「それ、うちの紗希も同じようなこと言ってた!」
二人は同時に気づいて顔を見合わせた。
「あ…」
「わざとじゃ?」
紗希!!!!!ふざけないでよー。
「(´Д`)ハァ…」
「んだよ。そんな、俺と会うのが嫌だったのかよ」
「…別に?」
紗希…💢なにしてんの。
斗真と仲良くなんて一生できない。
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