テラーノベル
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「またそれ見てるの?」
不意に声をかけられ、僕は顔をあげた。
放課後の教室
生徒もほとんど帰ったのか、ほとんど人がいない。
窓から差す西日が
机の古い写真を照らしていた。
「あ…ごめん」
慌てて写真をノートで隠す。
「大丈夫だって、別に怒ってないよ」
「何の写真?」
「ひいおじいちゃん」
「へぇ」
興味半分と言った顔で彼女は机の写真を覗き込む。
「うわ、すっごい怖そう」
その言葉に、僕は少し困ってしまった。
確かに怖い。
軍服を着て、背筋をしっかり伸ばし、眉間にしわを寄せている。
笑顔なんて欠片もない。
厳しい人なのか、それとも写真慣れしていないのか。
けれど
似ても似つかないようで、どこか自分と似ている気がする。
笑うのが苦手で
すぐ大丈夫と言い
口に出す前に言葉を飲み込んでしまいそうなところが
「戦争で亡くなった人なんだって」
「…そっか」
彼女は一瞬真面目そうな顔をして
「じゃ、また明日!」
と手を振って教室を後にした。
彼女の背が見えなくなるのを待ってから
僕はもう一度、写真に目を向けた。
26歳
最近知った。
もっと年上だと思っていた。
“軍人”
“戦死”
“曽祖父”
そんな言葉にばかり目が行って、気づかなかった。
勝手に大人だと思い込んでいた。
26なんて、僕より少し先を歩いているだけじゃないか。
まだまだ若い。
未来だって、きっとあったはずなのに。
それなのに貴方は、80年前の今日
死んでしまった。
「どんな人だったんだろう…」
返事が返ってくるはずはないのに、何度も問いかけてしまう。
写真の中の貴方は、相変わらず不機嫌そうな顔でどこかを見ていた。
コメント
2件
ジャムさん語彙力が凄いです…!! 誠司さんの過去編が気になります…!!
うわ…これ、めっちゃ刺さるわ。戦争で亡くなった人が「26歳」って知ったときの主人公の衝撃、すごくリアルだった。「未来があったはずなのに」ってところで胸がギュッとなった。写真の中のひいおじいちゃんと自分を重ねるところ、なんか自分にも似てるところある気がして、じわじわくる。続きが気になる…!
#創作