山本と七海、そして五条は会議室を後にした。彼らは「真実」という呪霊の任務に向かうため、準備を始めていた。
「さて、いよいよ『真実』を討つことになるわけだけど…」
五条がポップな口調で言うと、山本はしっかりとした顔つきで応じる。
「なんだか大変そうですね。」
七海が少し思案しながら言う。
「だが、呪霊が暴露する情報…呪術界の隠された秘密が暴かれる可能性がある。」
「それも良いんだけどさ。」五条が突然ポンと肩を叩く。
「一番心配なのは、あの呪霊がどんな姿で出てくるかだよね。」
「なるほど、強力な呪霊なら、何か恐ろしい外見をしているかもしれませんね。」山本がそう言うと、五条はしばらく考え込んでからにっこりと笑った。
「うん、でもさ。もし、突然現れたら…」
突然、五条がポーズを決めて「ハイ!」と叫ぶ。
「ひとつ、私が真実を暴露してやろうじゃないか!」
山本と七海は一瞬、戸惑った。
「え…?」
「五条先生?」
すると、五条は再びポーズを取って、まるで漫才師のように顔をゆがめた。
「その真実、ここにあるぜ!」
「…いや、絶対違う。」山本が冷静に答える。
「いいえ、でも万が一、あの呪霊が…」
その時、突然、廊下の先から不気味な音が響いてきた。
「…あれが『真実』…?」七海が警戒する。
しばらくして、目の前に現れたのは、何やらやけに普通な姿の呪霊だった。
「う、うわ…!こ、これが…『真実』!?」
「え…?」
その呪霊は、見た目が完全に一般的なオフィスのサラリーマン風の服を着て、肩をすくめている中年男性のような姿だった。
「おいおい…マジかよ。」五条が目を丸くして言った。
「真実、というよりは…『中年サラリーマン』だろこれ。」
その呪霊、名前も「真実」のはずなのに、すっかり仕事のストレスが顔に現れている様子で、こう言った。
「最近、どうにもこうにも呪力が溜まってきてさ…。誰かに暴露しないと気が済まなくなっちゃってさ。」
「おい、こいつ、暴露するって…それこそ呪霊じゃないか。」山本がポカンとしながら呟いた。
「いいよ、だって暴露しないと気が済まないし。」呪霊は肩をすくめて、山本に向かって言う。
「えーっと、あんた…何がしたいのか全然分からないんだけど。」
「例えばさ、君の上司、実はさ…」
「え!?」山本が思わず叫ぶ。
「君の上司、実はこっそり昼休みにカレー食べてるんだよ。」
山本は目を見開いた。
「それが真実なのか!?」
「うん。それ、結構言いたかったんだ。」
「待ってくれ、君、呪霊だよね?」
「うーん、呪霊じゃないかもしれないけど、まぁ、呪霊ってことにしといて。」
山本は頭を抱えた。
「だ、だって…君、暴露する内容が小さすぎる。」
その時、七海が静かに言う。
「こいつ、意外と社会派だな…」
「っていうか、こいつ、結構普通の人じゃね?」五条がつぶやく。
「どうする?」七海が山本に向き直る。
山本は少し困りながら答える。
「どうしようか…。これ、呪霊か?」
すると、真実はポケットから何かを取り出し、にっこりと笑った。
「まあまあ、君たちには悪いけど、呪術高専の上層部、最近手を抜きすぎてるって話、知ってる?」
その瞬間、全員が固まった。
「それ…まさか。」
真実がにやりと笑った。
「それが『真実』だ。」
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