あれから何ヶ月か経った、兄ちゃんの面会に行った、それだけだったのに、明日兄ちゃんに死刑宣告が出てるって。たまたま来斗も一緒に来ていた。来斗も信じられないような顔をしてた。
僕の兄ちゃんが明日死ぬ?
信じたくなんかなかった。
だって兄ちゃん、
あんなに優しい顔で話すから。
そのあとの記憶は断片的にしかない。泣きながら癇癪を起こして来斗に抱えられて帰ったことしか覚えていなかった。
〜夜壱の死刑執行当日〜
「に、兄ちゃん……行かないでよ……。」
「夕日、……何回も面会来てくれてありがとう、……今日も来斗くん来てくれているんだね、2人が幸せなのは目が見えなくても伝わってきてるよ。……来斗くん、夕日のこと頼んだよ。…………夕日、不甲斐ない兄でごめんね。……でも夕日が幸せならそれで充分だ。夕日、来斗くん……またね。」
なんで謝るの兄ちゃん……
「ひぐっ……うっ、……に、兄ちゃんっ……」
「夕日……」
兄ちゃんが連れていかれたあとは泣いて泣いて泣いて……来斗はずっと背中をさすってくれていた、来斗も泣いていた。
兄ちゃんが死んだあと、志木さんを1回だけ見かけた、志木さんも泣いてた。でも声をかけるなんて出来なかった。
手紙を握りしめて泣いてたから。
話しかけられるような雰囲気ではなかった。
〜1週間後〜
兄ちゃんの葬式も終わった。
志木さんも呼んだけれど来なかった。
それからすぐに志木さんの遺体が発見されたことを知った。志木さんの手には兄ちゃんからの手紙が握られていたらしい。
〜数年後〜
あれから大学を卒業して、来斗とは本格的に同棲を始めた。結婚は認められてないけど、兄ちゃんが望んでいたような幸せを手に入れられた気がする。
来斗は大学病院の看護師、僕は図書館司書として働いている。
お互い忙しいけど、とてつもなく幸せだ。
前と同じように来斗の手作り料理を食べて、夜は言わずとも順調だってわかると思う。
ねぇ兄ちゃん、僕幸せだよ。
来斗とも上手くやっていくからさ、
兄ちゃんも志木さんのこと、
来世では幸せにしてあげてね。
僕は兄ちゃんの弟だから、
絶対できるって信じてるから。
〜fin.〜
これにて「殺人鬼と私の話」完結です!
また新しい物語を書く予定なので読んでいただけたら幸いです……(フォローもしてくれたら嬉しいな……)
ここまで読んでいただき本当にありがとうございました!