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いつもに比べて、とても眠い…
「_____ぅ…___ょう……_______師匠!!」
ぐすんと泣きながら俺を呼ぶ弟子に目を向ける。
「__泣くな、ネロ…」
「だって、!だってぇ…ッ!!、」
俺はかける言葉が見つからず、少し戸惑った。
子供に泣かれる経験がないんだ。
「ッ…しんじゃやだよ…っ、まだ教わってない魔法だってあるし、!……もっとたくさん師匠とお話したかったのに…っ!」
「……ごめんな、………でも、仕方ないだろ?俺は……”賢者”なんだから」
賢者。
賢者とは、魔法を極めた者の世界でたった一人しかいない大魔法使いのことである。
人類はみな魔力を持っており、生活の中でも魔法は使われている。だが魔力回路が狭いため、「魔物」に対しての攻撃魔法は使えない。
そのため、攻撃魔法を使える魔力回路を持つ者は魔法使いとよばれた。
「ゴホ、ッ、げほ…」
「師匠…!!」
豊富な魔力は時に…人体に猛毒として循環する魔力暴走をおこす。
そのため、この国で賢者となったものは、歴史上、必ず「30歳」を越えるまでに死んでいた。
一般的な魔法使いや国民は少しの不調で済むが、賢者といえばそうもいかない。誰もが想像できないような苦痛を味わい、そのまま朽ちていくのだ。
「…………」
がしかし、俺はその魔力量に勝る魔力回路を持っていた。
本来ならもっと長生きするはずだったのだ。
「……、顔を上げてくれ」
床に座り、ベッドに顔を押し付けるネロに話しかける
「…?、なんですか、ししょ」
「ネロ」
真剣な眼差しがネロに向けられる
「俺は……俺は、お前に言っていなかったことがある」
「お前は、魔力回路を”持っていない”んだ」
「………え?」
ネロの戸惑う声がより一層罪悪感を増させる。
「魔力暴走をおこし意識が混濁していたお前に出会った日、俺は”魔力を吸収する魔法”を研究していた」
「このままだと死ぬと思ったから、お前にその魔法を使った……まさか成功するなんて驚いたよ」
「じゃ、じゃあ…俺が、今、生きてるのって……全部……師匠の魔法で…、?」
「……あぁ」
「そ、うなんですか…、」
俺は、”もう一つの事実”は言わなかった。
それは……ネロの魔力を吸収することで、自分の魔力回路が耐えられなくなったことだ。
だから、結局は俺が魔力暴走で死ぬか、ネロが魔力暴走で死ぬか…選択肢は2つしかない
「あなたはやっぱり僕の命の恩人です…!」
…この子はまだ13歳だ。魔力がなくとも、まだまだ輝かしい未来が待っているだろう。
それならいっそ、魔法しか取り柄のない平民出身の俺が死ねば__
「ネロ、…ごほっ…ぐぁ…ッ」
「師匠、!?!?」
身体に激痛が走る。
心臓が耳から飛び出そうなほど、どくんどくんと速く鳴る。
魔力暴走が、始まったのか…
「ッ…、ぅ”……ぐ、!!」
今回は助からない。
そう身体が言っている。
「師匠…っ!」
「ネ、ロ…魔法使えなくして、ごめんな……」
「やだ、!そんなことどうでもいいから…ッ!」
ネロの顔は涙でぐちゃぐちゃで、せっかくのイケメンの顔が台無しだ。
「……死なないでよ…師匠…」
「…そこの、棚…」
「、え?」
俺は、ベッドの横にある棚を指差す。
その中には……
「…なに、これ……」
「お前、専用の…魔導具だ…」
「…!、これ師匠の…!!」
この魔導具は簡単な攻撃魔法がコピーされている優れもので、世界に一つしかない、俺が初めてつくった魔導具だ。
「これなら、魔法が使えなくても…戦える、」
「っ、!?師匠、ッ、身体が、!!」
魔力の線が身体に浮かび上がってくる。
筋肉が思うように動かせなくなり、目蓋も上がらなくなってきた。
「…っ………」
最後に、精一杯の力で腕をあげ、ネロの黒い髪を撫でた。
「ししょう、?」
「…………ネロ、お前は……」
「俺の自慢の弟子だ」
そこで俺の”一度目”の人生は幕を閉じた___