テラーノベル
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目が覚めると、そこは見知らぬ部屋だった。
白い壁、シンプルなベッド、窓はない。薄暗い照明だけが部屋を照らしている。
晴明はゆっくり上体を起こし、頭を振った。
……ここ、どこだっけ?
記憶が、ほとんどない。自分の名前が「晴明」だということだけはわかる。
でも、それ以前のことは霧に包まれたようにぼんやりしている。
不安が胸をざわつかせる中、部屋のドアがノックもなく開いた。
「あっ!起きた起きた、、よかったー」
明るい声とともに、入ってきたのは赤と茶色の髪の男。軽い足取りで僕のいるベッドに近づいてくる。
「僕の事、隊長って呼んでね。晴明君」
……名前、知ってる?
晴明は警戒しながら後ずさった。
「え……誰?ここ、どこですか?」
隊長はベッドの端にどっかり座り、へらへらと笑った。
「んー、細かいことはいいじゃん!とにかく、君は僕達と一緒に暮らすんだよ。怖い事なんて無いから安心して!」
軽い。あまりにも軽い口調。
まるで誘拐を「同居」と言い換えてるみたいだ。
その後ろから、もう一人がゆっくりと入ってきた。
僕と同じ顔。でも、どこか僕とは違う穏やかな微笑みを浮かべている。
隊長とは対照的に、静かで落ち着いた雰囲気。でも、その目は鋭く、すべてを見透かしているようだった。
「もう、蘭丸、騒がしいよ。晴明くんを怖がらせてしまう」
低く落ち着いた声。隊長が肩をすくめる。
「えー、そんな事ないよ〜?」
新しく入ってきた男は、晴明の前に優しく腰を下ろした。
「初めまして、晴明くん。僕は晴明だよ。君をここへ連れてきたのは、僕たちだよ」
さらっと、さらっと言った。
連れてきた。
つまり、拉致。監禁。
晴明の背筋が凍りつく。
「な……なんで?僕のこと、知ってるの?」
晴明は微笑んだまま、ゆっくりと頷いた。
「もちろん。君のことは、全部知ってるよ。記憶がないのは、ちょっと言えないけど……すぐに慣れるさ。ここは安全な場所だから」
頭がいい。言葉選びが完璧に計算されている。怖い。
隊長が横から手を振る。
「そうそう!だから安心して」
軽い。楽観的すぎる。でも、その軽さが逆に不気味だ。
晴明は二人を交互に見て、確信した。
──やばい。こいつら、絶対やばい。
逃げなきゃ。
「えっと……ちょっと、トイレ……」
小声で呟くと、隊長がぱっと立ち上がった。
「トイレ?あ、廊下出てすぐ左だよ」
鍵は?と思ったが、晴明が静かに言った。
「鍵は開けてあるよ。自由に動いていいから」
自由に?嘘だろ。
でも、ドアは本当に開いていた。
チャンスだ。
晴明は立ち上がり、できるだけ自然に部屋を出た。
廊下に出て、トイレの方向とは逆に走り出す。足音を殺して、曲がり角をいくつも超えて、階段を見つけて下りる。
心臓が爆発しそうだった。息が切れる。でも、止まらない。
出口は──
しかし。
「やっぱり逃げるよねー。前の時と同じ。」
背後から、隊長の楽しそうな声。
振り返る間もなく、頑丈な腕が腰を捕らえた。
「うわっ、はやっ!⋯⋯でも残念♪」
隊長が笑いながら、晴明を抱え上げる。
その横に、祖晴が静かに立っていた。微笑みは変わらない。
「晴明くん、僕たちの言葉を信じてくれなかったんだね。悲しいな」
怖い。冷静すぎる目が怖い。
「離して……!」
晴明は暴れたが、隊長の力は圧倒的だった。軽い口調のくせに、腕は鉄のように固い。
「いやいや、ダメだよ。逃げた罰、ちゃんと受けてもらわないと」
隊長が晴明を抱えたまま、来た道を戻る。晴明が後ろから静かについてくる。
部屋に戻され、ベッドに放り投げられた。今度はドアに鍵がかかる音が、はっきり響いた。
カチャリ。
逃げ場が無くなった。
薄暗い部屋で、照明がじわりと滲む。
心臓の音だけが、やけに大きく響いていた。
——僕は、ここから出られない。
その確信だけが、ゆっくりと胸に沈んでいった。
そして、今からされる何かに僕は恐怖するのだった。
どうしよう。何かえッなの書きたいのに、めちゃくちゃシリアス味が強い気が⋯⋯
コメント
12件
それでいい( ⸝⸝⸝ ♡ཫ♡⸝⸝⸝) 監禁♡♡!ハハッ⤴︎⤴︎
新作神!!嬉しすぎる!!!! 隊長と晴明様好きだァァ!!🫶 シリアス大好物です!好き! 監禁ですか!?監禁ですよね!? 好き好きめちゃ大好きです!! 控えめに言って恋してるかも!🫠
晴明公様ですか?晴明公様なんですよね?晴明公様出るんですよね?