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やっぱりこのドレスは慣れない。胸元、脚、脇、色々な部分が露出したドレスに身を包み今夜もフロアで歌い踊り彼等を魅了する。どうせ彼等は僕の身体しか見ていない、僕に絡み合う彼等の欲望と視線はまるでセブンスター。だけど、それが僕の仕事であり生きがい。指先で他の娘を見る視線を絡め取り束ねる。すこしセクシーな動きでもしたらイチコロ、彼らの頬はチェリーに染まる。
さあ、今日のお客様は?
嗚呼何時もの彼、決して美しいとは言えない老けた老人。だけど、彼は何時も行為の時優しくシてくれる。僕も今夜は大胆に。
「ダメですよお客様。この続きはアフターで、ね? 」
あの娘よりもその娘よりも夢見る乙女じゃあ、無いけれど。
今夜だけ、貴方にだけ。僕の桃色で淫らなジェラシーを見せてあげる。
「僕を永遠に、愛して。」
こんな仕事をしているが、僕にだって好きな人は居る。このbarの店主。長尾景。
僕より肩幅も狭くて背も低いけれど、男らしい揺るぎない内面に惹かれたの。
この恋がもっと、1度だけ、1度だけでいいから彼との過激で無邪気な快楽に溺れて堕ちるなら。それで諦められる恋なら。それもアリでしょう?
フラれて泣かないオンナ=イイコじゃあ無いのよ?
おあずけチェリーは最後に頂きましょう。
「愛して欲しい…。」
なんて、彼の作るカクテルを呑みながら独り言の様に彼に呟く。
もし、彼が僕のこの気持ちに気づいてくれたら?なんて勝手に期待して求めた以上が、彼の溜息に混ざって消えていく。
「呑みすぎ。明日に響くから、な?」
彼は僕のおでこをとん、と軽く叩く。
どうせ、この想いは伝わらない。そう考えると胸の奥が酒焼けたみたいになる。
彼の言葉は僕の心にヒットする。ここにいる客の愚痴というアリバイは脆く崩れる。
「好き、けぇくん、だいすきぃ…っ!!」
「はいはい、ありがとうねぇ。そんな格好で寝たら風邪ひくよー?」
あの言葉もその言葉も巧みな言葉と微笑みで返されるけれど。色恋営業なんかじゃあ無いの!
僕の本当のココロ見て欲しい。