テラーノベル
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※誤字脱字・キャラ崩壊・死を関連させる雰囲気
最初で最後のラブレター 小柳ロウ・星導ショウ
「…やっぱ、お前…俺のことなんか興味ないもんな…」
本当はそんなこと言いたくない。そんなことないって分かってるのに俺の口は言うことをきかずに動いてしまう。目には涙がたまっていて、目の前にいる彼が歪んで見えてしまう。
「だから違いますって…」
「……」
「どうしたんですか、何かあったんですか?話なら聞きますから、ねぇ…」
かれこれこのような会話が30分は続いている。涙を溜めながら震えている俺を心配そうに見つめてくるお前。事の発端は先月、星導の行動が大幅に変わったということだ。
いつもは俺との時間を作ると言って丸1日休みを取っていたのもなくなりほぼ毎日任務と鑑定の仕事を入れている。そして、触れ合うことも、行為もすることもなくなり、一緒に住んでいるのに1日話さないということもあった。なのに星導はいつも通りの対応をしてくる。
何かあったら言ってくれればいいのに…俺ってそんなに頼りないのか?そうやって一人で抱え込んでいたのが爆発してしまい今の状況になっている。
「いつも……いっつもそうやって言って…!」
「…小柳くん…?」
あぁ、駄目だ、そんなこと言っちゃいけない。止まれ…動くな…何も喋るな…
「俺の気持ちに何も気づいてない…!俺の…俺の何知ってんだよ…!」
「…ぇ…?」
違う…そんなこと思ってない。やめて、そんなに悲しまないで
「っ…ぁ…」
声が出ない…喉から何か出そうな恐しい感覚に必死に耐える。
「…小柳くんどういう意味ですか、それ」
「…ぇっ…」
星導は悲しそうな顔で俺を見つめる。今まで見たことのないその瞳は俺の心に大きな穴をあける。
「俺の小柳くんに対する気持ちは嘘だって言いたいんですか?」
「…ち…が…」
言葉が詰まってうまく話せない。違うって伝えなきゃいけないのに
「…小柳くんに対する俺の気持ちは嘘だったってことですね…」
「…っ」
違うよ、大好きだよ、やめて…大好きだって…喉の奥が熱く焼けるようで声にならない。声が出ないんだよ、助けてよ、星導 「…そうですよね…大丈夫ですよ別に、」
「…っ!ち…ぁ…」
氷のように冷たい声が、俺の胸に深く突き刺さった。初めて不器用ながらに気持ちを伝えたあの時とは違う胸の痛みだった。 「俺が小柳くんを愛してた時間が無駄だったってことですよね。」
「ほ…し…」
無駄じゃない、全部宝物だよ。星導に愛された時間全部宝物だ…名前を付けるのが照れくさいくらい。全部心の奥に大切にしまってある、大切な …
「ごめんなさい、無理に付き合わせちゃって。」
「ほし…る」
無理に付き合ってなんかない、好きだから、好きだから付き合ってるんだよ。
「小柳くんの大切な時間を奪っちゃってごめんなさい。」
「お…い」
どの時間も大切な時間だ、宝物のような時間だよ
「あ、俺があげたプレゼント全部捨てちゃって大丈夫ですよ、邪魔でしたよね」
「ねぇ…」
邪魔なんかじゃない。大切なものだから…
「俺に気使ってくれてたんですよね」
「星導…」
違う、気使ってなんかない。星導に甘えるのが好きだから。不器用な俺を受け入れて、甘えてくれる星導が好きだから。
「ごめんなさい…俺もう小柳くんと関わらないので、本当に…俺…」
「…ショウ!!」
星導はどこか正気を失いそうになっている。その異変に気付いた俺は咄嗟に彼の名前を呼ぶ。過去が蘇るから嫌だった。いつもは絶対にしない呼び方で。
「い”ッ…!?」
「…!?おい…星導…」
星導は頭に手をやりふらつきながら屈んだ。
「……出てって…くだ…さい…」
苦しそうにしながら一言、俺の顔を見ずに言った。
「あっ…ぇ…」
「…早く!!」 あそこまで声を張り上げている星導に逆らえず、俺は咄嗟に家を出た。外は雨と雪が混ざり合いながら降っていて、部屋着でコートを一枚羽織って、それだけで済ませているから準備して外に出るときよりも寒く感じる。
そして、家から結構な距離のある古びて使われなくなった屋根付きのバス停で腰を下ろす。寒さで手がかじかむ。寒いよ、寂しいよ…俺は星導が大好きなのに…でも…星導も俺の居ない方が…きっとそうだ。俺への愛が冷めたんだ。だけど気を使って好きなままでいてくれたんだ。
そうだ、これでよかったんだ。どうせ言い出せない俺の本当の気持ちなんて届かなくてもいい。
信じたくないことが頭の中でぐるぐるしてしまう。君から貰った感情も、君に貰った言葉も、些細な気づきも、プレゼントも、笑顔も、思い出も、全部。全部、今日で忘れよう、そうだ、そうすればいいんだ。
そうすればきっと楽になるし、新しい道も探せる。それに他の道として、彼とまたもう一度やり直すことができる。
ふと首元を触ると、星導から貰った指輪がチェーンを通り首にぶら下がっていた。これもきっと捨てた方が良いんだ。そう思い、首から指輪のネックレスを外そうとする。でも、手が震えて出来なかった。寒さで手がかじかんだんだ。きっと。そんなこと、自分にはできもしないのに。
寒さに身を委ね気持ちを紛らわす。逃げようと、忘れようと考えてる自分が嫌になる。出来ないって分かってるのに考えてしまう自分が本当に嫌になる。考えるだけで辛くなってしまう…。このような辛い気持ちの時には君が隣にいてくれたな。
辛いことがあったら君が話を聞いてくれたな…駄目だった。考えれば考えるだけ思い返してしまう。もう後戻りはできないって、もう戻れないって分かってるのに、自分のせいでこうなったのに、辛いよ…なんて言葉に出して言える性格だったら良かったな。
なぁ、どうすればいいんだ?前みたいに隣にいてよ、隣で笑ってよ、俺の名前を呼んでよ、俺のことを頼ってよ、俺を愛してよ… 声を殺して泣きながら零れた涙と雨が混ざり合う。 「…会いたいよ……」 この声が、彼に届くことはないだろう…
あれからどれ程の時が流れたのだろう。俺の気持ちを塞ぐかのように視界を覆っていた雪は止んでいて、あたり一面は雪が積もっていた。雪は大人1人分の高さまで積もっていて、誰かが来れるような状況でもなかった。
そういえば、西で大寒波が来るそんな話で星導が盛り上がっていたな、このままどうなるのだろう。きっと助けは来ない。そう思い、意識がもうろうとしている中目を閉じようとした時だった。ポケットの中にあるスマホの振動に気づき、ポケットからスマホを取り出した。もちろん、星導からの連絡は一切ない。自分の行いでそうなったのに心に穴が開いた感覚になる。そして、誰から連絡がきたのかメッセージをスクロールしてた時だった。
「おい小柳!星導が倒れた!何処にいる?早く来い!」 さっきの振動はライからの新着メッセージだった。星導が…?どうして…メッセージに面食らっていると、スマホの電源が切れてしまった。そうだ、スマホの充電なかったんだ。
「…クソ…」
こんなことになるなら計画的に充電しておくべきだったな。そう思いあたりを見回していると、視界に大きな山脈が入った。この山脈はきっと西と東の境界線となっている山脈だろう。こんな所まで来たのか…あそこならきっと、寒さと雪はしのげる。そう思い、山脈の中へと足を踏み入れた。
不安と自身の行動、後悔いろいろな気持ちの重圧に押しつぶされそうになる。森の中は思ったよりも暗く、一般人が入ったらきっと生きては帰ってこれないくらいに妖魔がうじゃうじゃいる森だった。
山脈と言ってもとても大きい山脈だ。妖魔が多い所もあれば安全な所もある。今回俺は外れを引いてしまったみたいだ。大丈夫、夜が明けるまで。そう思い、森の中を歩き続ける。森の中で過ごし俺はとあることに気づいた。それは西で稀に起こる夜が明けない現象だった。
これはきっと大雪が続いたからだろう。夜が明けないのは流石にマズいと思い、森を抜け出そうとスマホを取り出す。一か八かだ一瞬だけ映れば…そう思いスマホの電源を押す。
「…来た…!」
スマホの電源は正常に入った。ここからは時間との闘い、そう思い二日前に来ているライのメッセージやその他大量に来ているメッセージを無視し、マップを開く。現在地を確認すると俺が今いる所は西寄りにある海岸近くの山脈だった。
ここから本拠点がある西へ戻るのには最低でも三日か、妖魔と闘いながらではもっと時間がかかってしまう。でも行くしかない。俺は一瞬で電源が落ちてしまったスマホを握りしめて再び歩き始めた。
森は西の雰囲気が感じ取れる竹林から、何も手入れもされていない中心部に視界が移り変わった。
ここは人の手が全く滞らない、雪が降っているということもあって、妖魔が思った以上に湧いてしまっていた。けど、
「…行くしかない」
森林の入り口に置いてあった簡易懐中電灯の電源が完全に落ち、月の光も何も導いてはくれない完全な暗闇が訪れる。妖魔の気配と、肺が凍るような冷気。一歩進むたびに感覚が消えていく。あぁ、俺、このままここで死ぬんだな。
その場に立ち止まれる体力がなくなり、その辺の大木にもたれかかってしまった。目を閉じようとした時、脳裏に見えたのは、星導の俺だけに見せる困ったような笑い顔だった。
「………なぎ………こやな…!!どこに………」
電子機器から出たような叫び声だった。誰だろう、聞き慣れた声だった。でも、そんなことを考えるほどの体力は俺には残っていなかった。
「……」
暗くて寒い、そして妖魔が沢山いる。そんな森の中に入ってからの記憶がない。意識を戻した時に鼻に突いたのは、雪と木のにおいが混ざった香りじゃなくて、消毒液のツンとした匂いだった。
俺は西の中心にある病室の中にいた。自身の腕には点滴が繋がっていてベッドの横にあるサイドテーブルには
「起きたら連絡しろ!」とかなり慌てた字で書かれていたメモがあった。この字体…きっとライだろうと思い、再び眠りにつこうとした時だった。
「あっ…!ロウ!!やっと起きた…」
慌ただしく音を立ててドアが開くとライが入ってきた。そして俺が大丈夫と頷くとライは安堵し、ベッド横の椅子に座り、現状確認を始めた。
「ロウ自分が何やったか覚えてる…?」
ライは少し怒り気味で俺に聞いてきた。俺はライに自身と星導の間に何があったかを話すべきか話さないべきか、星導は無事なのか何処から話せばいいのか迷っているとその様子を見たライが話を進めた。
「あのさぁ…偵察任務の応援が必要ならそう言ってくれればよかったじゃん…」
「…は…?」
ライはため息をつきながら俺が状況が読み取れてないことを確認し、少し開いていたドアを閉め、もう一度俺の前へと座った。
「…あのなぁ…お前はもうちょっと自分の行動範囲を見直したほうがいいぞ。」
ライは俺たちの関係に感づいていたらしい。星導から事情を聞き、本部には大雪の偵察任務中に何らかの原因で通信が切れてしまい消息不明となっていた。と報告してくれていたらしい。
「…すまん…」
ライは俺が位置情報を確認してなければ救えなかった。そして倒れていた俺を連れ出してくれたのはカゲツと説明した。その説明を聞いた俺は申し訳ない気持ちでいっぱいになり、下を向き、謝ることしかできなかった。
「まぁ、ロウからの応答がなくて、消息不明になってるって一番最初に気づいたのは星導なんだけどね」
「…え?…」
コイツ、今なんて言ったんだ?俺はあいつに、あんなに酷いことを言ったのに。あいつはボロボロになった俺を探してたのか?自分の任務を放り出すギリギリまでして、 なんだよ、それ。突き放して、遠ざけて、それでも俺を守るなんて……。 視界が急速に滲んだ。こんな顔ライに見せるわけにはいかないと思い、咄嗟に目線をライから離し、真下を見つめた。
「俺は自分の任務があるので…って俺たちに任せてどこか行ったら、星導と大雪の電波不良で通信が途切れちゃったって話」 ライは本当に何を言ってるんだ?俺、星導に酷いこと散々言ったんだぞ。今更助けてくれるなんて…そんな、なんだよ、心も頭も全部ごちゃごちゃだ。
「まぁいいよ別に…起きたからもう退院は出来ると思う、しばらくは俺の家に泊まっていきな」
「いや…でも…」
これ以上迷惑をかけるのはと思い、断ろうとするが、
「お前今どうせ星導と話せないだろ」
図星だった。あの時星導が俺を拒絶した時の声が忘れられない。今帰ってもどうせ「帰ってください」と冷たい声で突き放されるのが簡単に想像できてしまった。そんな声が響く家に俺は一人で耐えられる自信はない。喉仏まで出かかった「帰る」という言葉を飲み込み、俺は小さく頷くことしかできなかった。
ライの家にお邪魔させてもらうことになった。 ライの家は準備がいい。ライの家は西の中でも国立病院や大学などがある発展している地域にあるマンションに住んでいるため、他のメンバーが多忙な時に泊めさせてもらうことが多い。そのため、メンバー用の洋服が常備されていたり、中々の逸材だ。
そこから数日、ライとの共同生活を送っていた。俺もぼちぼち任務に復帰できるようになっていた。 生活リズムや体調が落ち着き始め、だけど星導との記憶が蘇り空しい気持ちになる。
なんて虚しい生活が続いていた。 ライは俺に明るく振る舞ってくれた。きっと俺らのことを察し、気を使っていてくれたのだろう。星導と過ごしていた静かな時間が恋しくなる。自分で蒔いた種なのに、後悔している自分を何度も恨んだ。
「はぁ…」
自分が原因なのに何勝手に落ち込んでいるんだ。夜、眠るたびに優しく包み込んでくれる星導の柔軟剤と違う香りに気づき胸が締め付けられる。そのような感覚に寂しく感じ、泣きそうになるのを堪える。そんな日々に限界を迎えようとしていた。
「ロウはさ、根は優しいんだから一回くらい気使わずに甘えてみたら?」
「ぇ…?」
夜遅く大雨の中、2人で夜間任務を終え、ライの家へと向かっていた時だった。
「…行ってこい」
そう言われ、俺は唖然としているとライは俺の背中を強く押した。俺は会いたくない、会えばきっと今までの関係は崩れてしまう。そう気持ちは訴えているのとは裏腹に玄関に向かって走っている俺。大好きな、大好きな彼に会うために。
雨の中、いつもは避けて走る水たまりを思い切り踏んでまで走った。冷たい雫が頬を伝う。雨は体温を奪い取るが、胸の奥だけが焼けるくらい熱かった。ライのマンションから少し離れた並木通りに出た。夜遅いせいもあって人影は全く見えないが、くっきり、一人の影が見えた。
「帰るよ」
そう言われ、俺の「絶対に甘えない」の意地は音を立てて簡単に崩れて行ってしまった。それからどれ程泣いたか分からない。拒絶されるかもしれない。そんなことを考えるよりも先に俺は星導の胸に飛び込む。泥だらけの靴、雨で濡れた服。そんなのもお構いなしだ。冷え切った指が星導の服を強くつかむ。星導は一瞬だけ固まったけど、星導は何も言わずに、壊れたものを大切に扱うような手つきで、俺の背中に腕を回し、俺の頭を撫でてくれた。
「ごめん…ごめんなさい、小柳くん」
耳元で、嗚咽を漏らすのが分かった。 雨の音に混じって、二人の呼吸が重なる。あんなに寒かったはずなのに、彼に触れている場所から、ドクドクと鼓動が伝わってくる。こんなに星導を感じられるのは初めてだった。 俺の頬を濡らすのが雨なのか、涙なのか、もう分からない。 これまでの数日間、どんなに暖かい布団にいても、ずっと凍えていた。 俺を温められるのはコイツだけだったんだ。 それからどれ程泣いたか分からない。星導は何も言わずに、ただ強く、俺の頭を撫で続けてくれた。
家に帰り、2人向かい合ってリビングで正座をする。星導は何かを決めたように深呼吸をしている。仲直りは出来たのだろうか、俺は不安になりながら下を見つめている。
「小柳くん」
真剣に名前を呼ばれる。真剣な眼差しを向けられることが滅多になく緊張し目を合わせられずきょろきょろしてしまう。
「ぇっと…俺…」
「ごめん…」
俺がしどろもどろ言い返そうとした時、星導は俺を強く抱きしめてきた。
「ちょっ…どうし…」
星導は何も言わずにただ俺のことを強く抱きしめてきた。
「っ…なん…だよ…」
ここ最近ずっと避けてきたくせに。ずるいよ…なんで…なんでこんなに好きなんだよ。星導の温もりはとても安心する温もりで、今まで堪えてきた感情が溢れ出す。ごめんと、とても消え入りそうな、辛そうな掠れた声が上から聞こえる。そこからしばらく、雨音と一緒に静かな泣き声が部屋に響き渡る。
「小柳くんのお顔ぐしゃぐしゃだ…」
「うっるせぇ…お前もだ…」
しばらくして、今までこんな長時間触れ合ったことがなくそろそろ俺の心臓が持たないと思い、星導をゆっくりと離す。それに気づいた星導は微笑みながら俺の涙を拭ってくれた。
「…で、どうしてなんだよ…」
流石に床で座り続けるのは良くないとソファーに場所を移した。
そして俺はライに言われた通りに、自分のしたいように甘えようと星導の肩に寄りかかった。星導は驚きながらも嬉しそうに俺の肩に腕を回した。
「えっと…実は体調が優れなかったんです…」
いつもは目を合わせて喋ってくれる星導が視線を下に向けながら話した。これは相当俺に気にして欲しくなかったんだろう。そして俺は「なんで?」と問いかけるように星導にさらに体重をかける。
「……えぇ…」
俺の言いたいことに気づいたのか星導はどこか気まずそうにしている。
「…心配なの…ただそれだけだから…」
普段はこんなこと絶対言わないだろう。だけどこのまま放っておいたらいけない気がしたから。
「どうしたんですか?小柳くん、なんか今日変ですよ…」
今までこんなに甘えたことがないからか星導は俺に何かあったか不安に思っているのだろう。
「ばか…」
そうだ、お前のせいだよ。俺だって本当は普段こんなに甘えたことないから引かれてるんじゃないかって内心ビクビクだし。それでも星導のことが好きだからその思いで普段は絶対にしない距離感で触れ合ってるんだよ…お前なら分かるだろ…
「…そうですか…」
「そーだよ」
そうして、星導は心が折れたのか「幻滅しないで下さいよ」と一言残して事情を説明した。
事の発端は付き合ってから初めて俺が体調を崩してかららしい。最初は軽い頭痛などで風邪が少し移った程度だと星導も思っていたらしいが徐々に頭痛が悪化し、吐き気もしていたらしい。
しかも頭痛や吐き気がしたり、悪化したりするのは俺と触れ合っている時や話している時、酷い時は俺が視界に入るだけでもだったらしい。この症状に流石の星導も違和感を感じたらしく、医者に事情を話したらしいが明確な診断結果が出ず、現状は対象の人物とは距離を取るそれだけしか対策がなかったらしい。それで距離を取っていたらしい。だけど今は症状が完全に治ったらしく、本人曰く大丈夫と言っている。
「んで、言ってくれなかったんだよ…」
相談してくれれば状況が変わっていたかもしれないのにと俺は震えた声で星導に言いかけた。
「…本当にごめんなさい…迷惑かけたくなくて…」
泣きそうになりながら体重をかけている俺を星導は自身の体へと寄せ、両腕で俺を持ち上げ、向かい合うように抱きしめてきた。そして俺は星導に顔を見られないように星導の胸に顔を埋めた。
「俺、ずっと頭痛が酷くて、頭の中で自分の知らない記憶と闘ってたんです…ごめんなさい本当に…俺、小柳くんに酷いこと沢山言っちゃいましたよね…」
「違う…星導は悪くない…俺が…俺が…」
違うよ…何も知らずに勝手に勘違いしてた俺が悪いんだ
「…俺、小柳くんのこと大好きです」
「…っ!俺も…!星導のこと好き…だから…!」
そうだ…これを伝えたかったんだ。ちゃんと言葉にして、自分の口から、この言葉を伝えたかったんだ…
「…んふ…小柳くんから初めて聞きました」
「うるせぇ…」
弱々しい声だ。吐き捨てた言葉とは裏腹に、自分でも驚くほど素直だった。向き合っていたのがなんだかむず痒く、彼の肩へもう一度頭を預けた。 本音を言えば、今だって怖い。こんなに甘えて引かれないか、心臓がうるさすぎて嫌われないか。けれど、彼の体温が伝わる距離にいることの幸福が、不安を少しずつ溶かしていく。
星導は嬉しそうに俺の頭を抱え抱きしめた。これほど嬉しそうに星導が話しているのは初めて聞いた。その幸福感で胸がいっぱいになる。
「俺、もう小柳くんに隠し事しません。本当はもっと沢山触れたいことも全部隠しません」
星導は前よりもとても嬉しそうな声で衝撃的な事実を伝える。俺は星導の衝撃的な言葉に鼓動が早まりながらも
「俺も…もっと…星導に甘えるわ…」
星導の言葉よりも何千倍にして返してやろう。そう思い普段は…これからも絶対に言わないだろうと思いながら星導を見上げながら言う。
「…っ~~なんですかそれぇ~…!」
俺の言葉は星導にクリティカルヒットらしい。星導の照れる顔に満足しながら俺たちは唇を合わせた。深夜に鳴り響く雨音と共に、初めて直接伝える感情はきっとお互いにとって、最初で最後のラブレターとなるだろう。
ご完読ありがとうございます…!!みなさん初めまして?希です。こちらは過去の自分に手直しを加えたものです。手直しされる前の作品が見たい方は、多分どこかに投稿されてます。新作を何作か書いているのですが、お時間が掛かると思い、今回はリメイク版を投稿させて頂きました。文の構成?雰囲気?に所々違和感を感じる部分があると思いますが、見逃していただけると幸いです…。
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