テラーノベル
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「ちょ…ミクミク」
「ビーム!!」
「何言ってんだ?」
『ミクミク』に反応したミクはビームを放つ。
それをフランスパンで弾くテト。
再度帰ってきたビームをネギに絡めてかじりながらミクは床に座った。
「どうしたんテト」
「デートしよ」
「何て??」
突然のお誘い。
ミクは首を傾けた。
「いいよ」
「そうだよな、普通断られるから高級ネギ持ってき…あいいんだ」
「それはそうとそのネギ頂戴」
「いいよ」
高級ネギをむしゃむしゃ。
「なんで急にデートのお誘い?」
「したいなーと思ってね」
言えない。
ミクと全人類の夢のあれやこれをしたいだなんて口が裂けても言えない。
てかときめかせたい。
ときめいてくれようちのために。
「待ち合わせボカマの前でいい?」
「どこのボカマよ」
「スタロ前の」
「ならスタロ前で集合でええやん」
近辺にボカマは3件ある。
ちなみにボカマとはファ●マ亜種のことである。
そしてスタロ(ス●バ亜種)はこの町に一個しかない。
一旦お茶目を入荷したミク。
テトの目にはそれすら愛おしく見えていた。
「じゃあ仕事終わったらスタロ前ね」
「行けたら行かん」
「いけるならこいよ」
まもなくテトは画面越しにマスターに召喚されてアフレコに出発した。
一足早くスタロについたミク。
特に店に入ることもなく壁にもたれる。
日の暮れ始めた、灰色の空。
白いものが空から落ちてくる妄想。
今年も降らないだろうな。
そういえば今日はクリスマス。
テトはどんな気持ちで自分を誘ったんだろう。
めっちゃ嬉しかったけど、テトには沢山選択肢があったはずなのに。
わざわざ私を選ぶ意図が分からない。
テトが好きな人は、きっと私じゃないのに。
これは私だけの、片思いなのに。
「おまたせ〜待った?」
「500時間くらい待った」
「20日前から何してんねん」
そこは待ってないよォ(イケボ)っていうとこだぞ!!と笑うテト。
「まずはパン屋さん行くぞ」
「フランスパン買いに行くんじゃん」
「まぁ見てろ」
徒歩10分。
楽しそうに今日あったことを話すテトをミクはにこにこで見ていた。
テトが誘ってくれたことは事実だし、テトが今日だけでも自分を選んでくれたことに違いはない。
「ついたよミク」
危うく店を通り過ぎそうになるミクをテトが袖を引っ張って止める。
「ミクミクビーム!!」
「あっぶね!」
至近距離のミクミクビームをテトがしゃもじで弾く。
「ごめんごめん考え事してて」
「それうち以外にやったら死者出すぞ」
「えっ(意味深)」
「パン屋さん行くだけでどんだけ粘るのよ」
ミクを押してテトは「美味しいBakery♡」に入店した。
「店名変わってんね」
「店長の前で何言ってるの?」
「失礼だね水色」
「お前のが失礼だろ」
「そこの赤は水色教育したほうがいいと思う」
「殴んぞ」
毎度おなじみの口悪禿げ店長と戯れながらパンを選ぶ。
「これこれ。特上ネギメロンパンヌ」
「なんでメロンパンに入れちゃったの」
最高に合わねえよカスと店長に詰め寄るミク。
店長はスマホを横にしてゲームしている。
客がいるのに。
「まあ美味しいと思う」
何のためらいもなくフランスパンと特上ネギメロンパンヌを購入するテト。
「あざした〜」
「二度と来るか」
「何言ってんのうちらここの常連だろ」
「挨拶なのよ」
「へえ」
フランスパンをドリルに収納するテト。
「便利だねフランスパンホルダー」
「ドリルって呼んでよ」
「ドリル」
「誰がドリルだ」
「言えって言ったでしょ!?」
公園のベンチに座る。
どこもかしこもイルミネーションで飾られた町。
青いネオンが絡みついた木を眺める。
「ミク色じゃん」
「私はもっと薄い」
「あそう」
「テト色のやつないから信号機に思い馳せとくね」
「横に本人がいるでしょうが」
ふへ、と柔らかく笑ったミクの鼻に、白いものが落ちてきた。
「あっ、雪だ」
「良かったな、雪だるま作れんじゃん」
「そんな降らねえだろ」
ミクが雪を望んでいたことを、テトは知っていた。
その上で茶化すテト。
テトの目が細くなる。
口角があがるのが分かっても抑えきれなかった。
「今日は何の日でしょうか!」
「鳴海隊長の誕生日の3日前」
「そこはクリスマスって言おうよぉ〜〜」
「クリスマスって言うとこだったか。先言えよ」
「誰がこの場で別世界線の隊長出すって予測出来るん」
「私」
「バケモノじゃん」
「冗談よ」
大好きな人と、クリスマスにデートしている。
それを素直に言うのが…ただ、気恥ずかしかっただけ。
甘酸っぱい恥じらいはひっそりと胸にしまった。
「テト」
「なんだ」
「テトってサンタさん色じゃん」
「そんな大事な話する感じで言うことじゃないよ」
ミクは変わらず灰色の空を見上げる。
星の見えない空。
雪が降ったら、星が見えない。
まあ当たり前のことだったけど、なんだか初めて知ったことみたいに嬉しかった。
「私にとってのプレゼントは、テトサンタが運んでくれたんだね」
テトが嬉しそう、だけど内心複雑そうな笑顔を浮かべる。
なんで複雑な心持ちになったのかテト自身分かってなかった。
それを隠すため、また冗談に逃げる。
「ん、雪ってこと?」
ミクはいたずらっぽく笑う。
形のいい桜色の唇が、幸せそうに吊り上がった。
「違うよぉ、テトのこと!」
「…え〜」
テトがさっと目を逸らす。
それが、けして嫌だったからの行動だったからではないとミクは知っていた。
こいつは恥ずかしくなったら目を逸らす。
何年一緒にいると思ってるんだ。
ミクは笑う。
テトが反撃に出た。
んふ、と目を細める。
「僕も♡」
「ふぁ!?」
一人称をメロ姉に変えての反撃。
心なしか声質が大人っぽくなっている。
「ずるいよぉ、年上の魅力」
「年とか関係なくない?」
ミクのほうが年代でいえば年上じゃん。とは言わなかった。
テトにだってデリカシーくらいある。
「どっか行きたいとこある?」
「水族館」
「もっと早く言ってよ」
「この時間の方が空いてるかもじゃん」
「確かにな」
夜の水族館ほど幻想的なものはない。
だけど…
「ミク。今日はやめとこ」
「えー」
魚じゃなくてうちの方見ててよ、って言いたかった。
それも取り消す。
「じゃあテト見とくね。おーいテト」
「それ信号機」
信号機を見上げるミク。
照れ隠しの行動が極まり過ぎて訳が分からなくなっている。
テトが読心術を持っていれば、このしちめんどくさい片思いに終止符が打てたのに。
「この後どうする?」
「何でもいいよ」
「マラソンでもいい?」
「これデートだよね?」
「冗談」
「冗談ならちゃんと冗談で処理出来る線守って」
ミクがテトに並ぶ。
1㎝と少ししか変わらない身長。
目線の違いがほぼ生まれない。
テトとしてはミクより高身長が良かったと考える。
「じゃあ私のおすすめカフェでも行こうよ」
「どこ?」
「スタロ」
「なるほど」
スタロに向かって歩き出す。
楽しそうにぴょこぴょこはねながら歩くミク。
10代(設定)らしい無邪気さを感じた。
それに対し、落ち着いて歩く30代(設定)。
設定は設定でしかなくて、彼女達には何ら関係ない。
ただの電子データだって恋したいときもあるのだ。
「フラペチーノってなんなんだろうね」
「知らないの?フランっていう吸血鬼がお姉ちゃんにしばかれた時に持ってた飲み物だからフラペチーノなんだよ」
「嘘しかないやん」
「ホントかもじゃん」
「…フラペチーノ…っ」
「ツボってる…」
ツボが謎すぎる。
ミクはスマホをいじり、衝撃を受けた。
「おーーーーっと!!ここでミクちゃん未来予知」
「ミクちゃんの未来予知コーナーきたこれ」
「スタロは9時閉店です」
「せめてスマホのスタロホームページ閉じてくれよ」
「あっっ」
(天然なミクかわいい。食べてやろうかな。)
(大人っぽいテトかっこいい。美味しそう。)
テトの狂気じみた愛情に負けないくらい、ミクの恋心も燃えている。
諦めきれないミク。
特別理由がなくても、帰りたくないという一心で引き下がる。
「じゃあテトのお家行かして」
「いいよ」
「いいんだ」
やはりあっさりしている。
テトの家は、スタロから徒歩20分くらい。
長過ぎる信号機を見上げるミク。
「見てあんなとこにテトが」
「いつまで言うのさ」
ホントはちょっと嬉しい。
「ようこそマイホームへ」
「何回も来てるでしょ」
鍵が開かなくてふぬぬ…と万力の力を込めるテト。
「そろそろ引っ越したらいいのに…」
「あ逆だったわ」
「本人の問題だったか」
すんなり開いた玄関。
「相変わらず何もない部屋だねえ」
「普段ここに帰らないからね」
「怖」
「ミクもだろうが」
普段無機質な白い部屋でマスターを眺めることが多い2人には要らないもの、それがHome。
「なんか飲む?」
「しばかれた吸血鬼が持ってたやつ」
「フラペチーノって言えよ。てかそんなもんないわ」
「うう…私のしばかれ吸血鬼…」
「そろそろペチペチ地獄から解放してやれよ吸血鬼姉」
「フランをペチペチでフラペチーノって、私の説明理解してたんだ」
「何で理解できたんだろうなうち」
テトは冷蔵庫を開ける。
「オレンジジュースならあるよ」
「それ何年前のやつ?」
「失礼だな。ちゃんと未開封で賞味期限も過ぎてねえよ」
「テトなのに…!?」
あのDVDレンタル延長が得意なテトが…!?と驚くミク。
「なんかまた失礼なこと考えてるだろ」
「考えてる」
「ちっとは隠す努力しろって」
「考えてない」
「遅いわ」
グラスに注がれたオレンジジュース。
直前まで冷やされていたので冷え冷えである。
真冬に誰が飲むのだというもの。
結露した水滴が机に溜まっていく。
「飲んでよ」
「冷たいでしょ」
「あったかいオレンジジュースなんてないでしょうが」
「まずそう」
「オブラート…」
やけに言葉が真っ直ぐなミク。
隠せよ。と言いたげなテト。
「ミクちゃん、今日はテトのお家泊まりたい♡」
「急にどしたの」
唐突に甘えるミク。
声質は甘々な末っ子モード。
「いいよ」
「え、さっきからダメって言えない呪いでもかかってんの?」
「ミクが言い出したんだよね??」
「そうだった」
テトはクローゼットを漁る。
身長がほぼ同じなので何でもいいだろう。
「Tシャツ貸すよ」
「テトの私服…」
「変なのしかないけど」
「ふざけんな」
フランスパンヌ…と書かれたTシャツを引きずりだす。
「いつ着るのこれ」
「着ないよ」
「なぜ買った?」
「ファンに貰った」
みくみくにしてやろうか。と書かれたTシャツを見つけた。
「おーっ。これミクにぴったりじゃん」
「テトの匂いがする」
「怖」
「テトって髪下ろすと別人だね」
「ミクって毛量えぐいね」
「濡れるのすごい」
「何でミクの髪って水弾くの?」
「毛量」
「嘘だろ!?」
「おやすみテト」
「おやすみく」
「略すな」
「みく」
「略しすぎて私になっちゃった」
「そんなこともあるよな」
「ベット一個もないことある?」
「…そんなこともあるよな!」
「ねえよ」
敷布団に2人で引っ付いて入る。
ミクはすん、と鼻をならした。
「う〜ん美味しそうなテトの匂い」
「うちって食用だったんか」
「毛量ヤバいね」
「困っちゃう」
「どうやって結んでたの?」
「くしを犠牲に…」
「オーマイガッッ」
「一ヶ月に5本は壊す」
「えっぐ」
ミクが洗面所で戦ってる間、テトは洗濯機からミク服を取り出す。
「洗濯しといたよ」
「ありがとう永久保存しとくね」
「ちゃんと着てね」
テトは手ぐしでツインテールを結び、ヘアアイロンでドリルを形成する。
「ミクもドリルするー?」
「する」
「アイデンティティ消えたけど大丈夫なん?」
即答でドリルを決定する。
「なんかうちのより豪華だね」
「毛量を呪う」
「落ち着いて髪でも食べなよ」
「えテトの?」
「冗談!!冗談!!」
リン「ミクなんで今日ツインドリルなの?」
テト「本人の意向」
レン「なんて??」
MEIKO「ミクからテトの匂いするね」
テト「怖」
リン「…まさか未成年を連れ込んで…!?」
レン「…見損なったよテト…!!」
テト「本人に聞けよッ!!」
コメント
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いゆさん、あなた途中私情入れましたよね
#アンプタックカラーズ
優莉
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結月
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az式※最近低浮上でごめん
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