「どうだ?いい話だろぉ?」初老の女が語る。
「また、マール婆さんが変な法螺話してるよぉ…」
呆れ顔の馴染み客。
「なんだい?法螺話に聞こえるのかい?」
「じゃあなんだよ、ホントの話だって言うのか?バカ言うんじゃないよ、あんたみたいなばぁさんが昔は一国の姫の用心棒だったってかい。」
「そうさね。」
「ないない、酒の肴にするならもっとマシな話にしてくれやい。独り身の湿気た婆さんの法螺話よか、その交合言ってとこの詳細を聞いてた方がよっぽど酒が進むってもんだい。」
「ハッ、バカ言うんじゃないよ。宿代倍にされたくないんなら大人しく聞いてた方が身のためだと思うけどね。」
「ゲッ、それは勘弁…。」
「いい気味だね。」
目を細めて言う。
「そうだろうチャトラ。」
視線の先にある首飾りの水晶が鈍く輝いた。
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