テラーノベル
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⚠︎
ライバーが死んだり、流血表現があります。
苦しんでいる表現があります。
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▶︎“これだから”
「 すみませんでした!……、」
大きな声が被害を受けた街に響く。
「 ”これだから“ヒーローは… 」
感高い怒鳴り声が聞こえてくる。
関西訛りの声で謝っているヒーローと
甲高い怒鳴り声で涙を流しながら叱る女性が
夕方に空と共に写っている。
「 ほんまにすいませんでした! 」
「 何がすいませんでしたよ!その関西弁も気持ち悪いのよ! 」
「 土下座で謝りなさいよ! 」
「 ッぇ、…… 」
ヒーローが土下座をする体制を取り始めた。
「 マナ! 」
「 ぇ、ちょッ、 」
「 土下座しちゃダメだって、… 」
「 でも、… 」
「 アンタ誰よ!今話してんでしょ!? 」
「 今回の任務の責任者は俺です。叱るなら俺に叱ってください。 」
「 ぇ、ライ、 」
「 マナ、俺はいいから先に帰ってて。 」
「 …、わ、…かった、… 」
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▶︎帰り道
hbc Sid
ライが怒られているのを背に向けて基地に帰る。
背中がずっと痛かった。
ビンタの音が聞こえたり、怒鳴られている声が聞こえた。
『 バチッ 』
大きいビンタの音が聞こえた。
「 ッらい、…ぅ”、ッ… っ、いやや、… 」
頭がぐらぐらする、こわい。
足が震える、歩けなくて立ち止まる。
ヒーローが、こんなんでいいのかな。
まだ“これだからヒーローは”って言われたのを引きずってる。
ヒーローがこんなんでいいの?
「 おれは、ッ、…ヒーローなんやもんッ、…ヒーローやからッ、… 」
「 マナ! 」
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▶︎怒鳴り声
inm Sid
「 アンタ、自分で何してるか分かってんの!? 」
「 承知の上です 」
緋八の代わりに責任者を偽装して怒られる。
元々責任者なんて制度なかったし。
でも、緋八を放って置けなかった。
殴られはするわ、土下座させられるわで大変だった。
『 バチッ 』
大きなビンタの音が街に響く。
「 い“ッ、…… 」
「 こんなビンタも痛いようじゃ、ヒーローなんて無理ね。 」
「 子供1人の命も救えないようじゃ、到底無理よ。 」
「 …ッ、お言葉ですが、 」
涙目で、顔を上げられないけど、
精一杯の力で喋る。
声が出ない。苦しかった。
「 ヒーローにも助ける優先順位があります。 」
「 子供は優先順位が低いってこと? 」
「 いえ、そう言うわけではなく。 」
「 ヒーローの優先順位は、目の前の人を助けることです。 」
「 でも、ヒーローも市民や村民が言うことを聞かなかったら助ける優先順位は低くなります。」
「 貴方の子供は言うことを聞かなかった。 」
「 は? 」
「 俺見てたんです。緋八が子供を助けようとして、子供が手を振り払って『死ね』って叫んでいるところを 」
「 俺は帰ります。 」
赤い夕日が街を照らしていた。
街は崩壊していたけど、いつもよりずっと綺麗に見えた。
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▶︎苦痛
hbcSid
「 マナ! 」
「 ッいなみ、…ッおれ、…ッぁ“ぅッ、… 」
「 いいから、呼吸して。 」
くるしい、いきが
何でだろう、おれなんか、ずっと、…
「 ッふーッ、…ッふーッ、… 」
「 偉い偉い、そのままそのまま… 」
「 …、あ、…りがと… 」
「 全然、マナが大丈夫なら。 」
ライの頬にビンタの傷や、土汚れがあった
その時、俺じゃなくて良かったと思ってしまって少し自分を追い詰めた。
「 ッ、ごめん… 」
「 大丈夫だよ、 」
「 でも、涙目やん、…今、 」
ライの傷ついた顔を見ても泣けなかった。
苦しい表情だけが出来ていることは自分でも分かってた。
人が傷ついても泣けないし、子供を助けられなくても、
そこまで悔しいと言う感情はなかった。
「 ……、ッぅ、… 」
ライが俺の体にもたれかかってきた。
そしたら体を震わせて、泣いてた。
「 ッこわかった…、” いつ叩かれるかッ、わかッ、…らないし、 」
俺はうんうん、と頷きながら背中を撫でることしかできなかった。
「 ほんまに、ごめんな。 」
その日の夕日は濃く思い出に残った。
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▶︎ヴィラン
ヴィランとは、悪人を意味するものである。
「 …、ヴィラン。 」
「 ヴィランがどうしたの? 」
「 あ、ウェン! 」
ヴィランとは、悪役を意味するものである。
「 いやー、な?この前、ライと任務行った時に、子供守りきれなくてな?その親にさんっざん怒られたんよ。 」
「 あー、ヒーローあるあるね。 」
ヒーローとは、英雄を示すものである。
「 ヒーローってめんどくさいな思って。 」
「 お、ヴィランになりたいって ? 」
「 いやいや、別にそう言う訳やないんよ? ただ… 」
「 なんでもない。 」
「 えぇ〜、変なの〜 」
いつの間にか、時計は13時を示そうとしていた。
「 あ、食堂閉まっちゃう!じゃ、マナ君! 」
「 おん!またな〜 」
…ヴィラン、試してもええな。
「 ヴィランか〜、ヴィラン、… 」
ヴィランっぽい人、探してみるか。
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▶︎ヴィランとヒーロー
「 え、ヴィランですか? 」
「 おん。 」
「 …正気? 」
取り敢えず星導に話を聞いてもらうことにした。
結構発言や行動がヴィランっぽいし。
それだけだけど。
「 え、いいな〜、ヴィラン。俺もなろっかな。 」
「 軽 」
「 マナがいいなら俺もなるよ。 」
「 俺は、星導にはヒーローでいてほしいな 」
「 …、そう、ですよねぇ… 」
星導は、少し落ち込むような顔をした。
「 マナは、ヴィランについてどう思ってるんですか? 」
「 ん〜、…ヴィランは悪いやつ!っていう認識かなぁ 」
「 マナはその、悪い奴になりたいんですか? 」
「 ん〜、絶対なりたい!って言うのはないけど、試してみるのも価値あるかなぁ、と… 」
「 マナはきっと、ヴィランになっても輝いてるよ。 」
「 なんや、照れるなぁ 」
「 ヴィランはヒーローを悪い奴だときっと思ってます。なので、マナがヴィランを悪い奴だと思ってるなら、ヒーローでもいいんじゃないですか? 」
「 …、せやな。 」
ヴィランの悪い奴は、ヒーローか。
でも、ヴィランをいい奴だと思ってるのはヴィランだけなんかな。
ヒーローも、ヒーローを悪い奴だと思ってる人が、いるんかな、…
「 やっぱヒーロー、疲れたわ 」
「 ですよねぇ、なんか、ばー!っと、暴れたくなりますよねぇ。 」
「 あ、わかる? 」
「 分かる分かる。 」
「 じゃあ俺、次の任務あるんで。 」
「 お、頑張ってな! 」
「 うん。行ってきます。 」
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▶︎暗殺者とヴィランと白狼と蜂
「 はぁ? 」
「 ロウはどう思う? 」
ヴィランといえばこいつかなと思って話しかけてみた。
闇堕ちも何回かしとるし。マリカで。
「 …暗殺者とヴィランって同じものだと思う人っているやん。 」
「 せやなぁ。 」
「 暗殺者とヴィランってやっぱ違うんよ。ヴィランは相手を嫌な気持ちにさせたいが故に、悪意100%でやってる訳。 」
「おん。 」
「 暗殺者は違う、暗殺者は任務でその依頼人の殺して欲しい人を暗殺するって言うことなんよ。 」
「 せやね。 」
「 いくら人を殺してようが、喜ぶ人は何人だっている。つまりヴィランにならなくても人を殺したりできる訳。 」
「 ほぇー、 」
「 話聞いてた? 」
「 聞いてた聞いてた。 」
俺は、人を笑わせたくて、コメディアンやっとるし、人を喜ばせたくてヒーローをやっとる。
ヴィランではないような悪役を演じれば、ええのかな。
「 ふぁ〜、…俺眠いから寝るわ。 」
「 おぉ、おやすみ。 」
いっその事、人を喜ばせる事諦めたってええのかも。
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▶︎何年経っても
あの頃から2年経った。
俺の仕事はヒーローの仕事を無くす事。
なんてったって、ヒーローを殺してるから。
一回殺した時、快感とか、開放感が忘れられなくて、
ずっと続けてる。
「 よー!小柳! 」
「 うわ、お前…散々やってんなぁ… 」
「 小柳が言ってた通り、人を喜ばせるんやで!この仕事は!」
「 どんな仕事? 」
「 ヒーロー殺すんよ! 」
「 …へぇ、 」
「 ヒーローを殺して、 そのヒーローの仕事を無くす!ええやろ! 」
俺の狂気に溢れた目に光は宿っていなかった。
楽しそうな顔と、身体中についた返り血。
白い服だったからより一層返り血が際立っていた。
「 ロウはまだヒーローやっとるん? 」
「 おん。」
「 じゃー、さよなら! 」
ロウの腕の断面から血が噴き出る。
音もなく腕を切った。
「 あぁ、まだ俺、離れるのが寂しいんかなぁ、もう一発行っとくか! 」
「 おぉこいよ、絶対受け入れてやる。 」
その瞬間、ロウの頭からはぐしゃっと音がし、
ロウの頭はぐちゃぐちゃになっていた。
「 ナイスー! 」
「 マナが腕切ったから動き鈍くてやりやすかったよ〜 」
「 ほんまに可哀想やな〜、ロウ。 」
「 ほんと、弱くなったもんだよ。 」
「 ライはさっき誰やってきたん? 」
「 ウェンと宇佐美かな〜、やっぱり2人は強かったよ〜 」
「 せやろなぁ、 」
「 そっちは? 」
「 カゲツとイッテツ!思ったよりも手こずったわぁ 」
「 やったねぇ、じゃああと1人かぁ 」
「 ライ、噂をすれば 」
あんなに気持ち悪いと思ってみてた紫色の触手が輝いて見えた。
「 仕事変えてから、輝いて見えるものが増えたよなぁ 」
「 ちゃちゃっと終わらしちゃお〜! 」
ライが先に少し壊しといたんかな、顔が大きく割れてる。
「 ライ〜、残り2人は2人で楽しもうゆうたよなぁ〜、 」
「 ごめんごめん!さっき宇佐美に最後の一撃喰らわそうとした時に間に入ってこられて… 」
「 ならしゃーないな! 」
「 星導は2人で仲良く殴りますかぁ! 」
ライが思いっきりハンマーを振りかぶった。
「 させませんよそんな事。 」
「 うわ、触手強くなったなぁ、相変わらず。 」
「 2人がヴィランになった時、大騒動が起きたの覚えてますか? 」
「 おい!ヒーローやで!俺らは! 」
「 これのどこがヒーローなんですか… 」
「 俺らはヒーローを疲労から救っとる! 」
「 2年前助けられなかった子供の母親に怒られた事があって、その時の疲労がすごくてすごくて、 」
「 どうにかして、ヒーローの負担を無くせないかなって!なぁ? 」
「 わぁ〜、親切なんですね〜! 」
「 でも、急に姿を消した相方には気づかないんですね。 」
「 …は? 」
ふと横を見る。
ライがいない。さっきまで確実にいた。
「 ッお前星導!ライをどこに… 」
「 さよならは貴方です。緋八君伊波君。 」
「 …、最期に、一言ええか? 」
「 えぇどうぞ。 」
「 こ ん な 世 界 は 滅 び て し ま え ! ! 」
⬛︎END
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ま っ て 好 き . . . ! ! 🫣 🫣