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当作品は
◾︎ nmmn
◾︎ BL
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を含みます。
nmmnが苦手な方、タグ等上記の意味を理解しかねる方、見覚えがない方は閲覧をお控えいただきますようお願い申し上げます。
また、
◾︎ 話はすべて筆者の妄想・フィクションであること。
◾︎ ご本人様及び関係者、同名の団体、事務所その他とは一切関係・関連がないこと。
◾︎ ご本人様及び関係者の方に対して決してご迷惑をおかけするようなことがないこと。
◾︎ コピペやスクショ、転載等は禁止であること。
◾︎ デリケートなジャンルのため、状況によって名称・名前・表現等を書き換えている場合があること。
◾︎ 閲覧は自己責任であること。
◾︎ 全ての配信、ボイス等を履修できているわけではないため矛盾が生じる可能性があること。
これらを全て了承でき、自衛できる方のみ本編の閲覧をお願い致します。
××┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈××
セフレ両片想いのふたり。
♡、濁点喘ぎ。センシティブです。
✦︎友情出演:ri、mn (riが少し冷たい)
約1万字あります。思っていたよりも長くなりました。なぜ。
××┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈××
終わらせるべきだと気づいていた。
ドミノ倒しのように続いていったこの関係。もうキッカケすらも覚えていないほど長く、濃く続いている。
きっと単純なものだったのだろうなと思う。戦闘後に昂って…だとか、たまたま傍に居たのが自分達で…みたいな。
終わらせなきゃ。終わらせたい。そう、ずっと思ってはいるのに、身体くらいは彼と繋げられるこの関係に縋ってしまうのも事実で⎯⎯。
星導の下で啼き狂っている小柳の姿をじっと見ていると真っ赤に染まり閉じられていた生理的な涙が溢れ止まらない彼の瞳がこちらを向いてギョッとする。
その顔も可愛い。なんて、いわゆるセフレにベタ惚れな自分に嫌気がさした。
「おま、なんで泣いとる」
セフレにガチ恋マジか、なんて自嘲している間に小柳が星導の頬へそっと手を伸ばす。奥に突っ込んでいるのはこちらなのに、目の前の男はやけに心配そうな顔をしていて。
伸ばした手で頬を摩る。何をしているんだと小柳の指先に集中すると、自分が涙を流していることにようやく気がついた。
「へぁ…え、俺泣いてる?泣いてるよね?」
「気づいてないマジ??…ちょ、一旦抜け」
「え、やだ。」
「いや嫌とか知らん、抜けって」
「……」
「っあ゛ッッッ!?♡ っぁぐッ、は、ばか、♡ ぬけ、抜けってぇ!!」
抜けなんてほざく小柳にムカついて、腰をズンッと奥へ突く。きっと可愛い顔をしているだろうに、次第に多くなる涙で視界はぼやけ見えない。
なんでだよ、なんで泣いているんだ。
心当たりが全く無い。強いて言うのなら小柳への恋心?…ッハ、馬鹿馬鹿しい。セフレに恋して、実らないからってセックス中に泣きましただなんて、誰に言っても笑われる。いや、誰にも言えないけれど。
「もぉ〜!なんで止まんないの、これ。なんで俺が泣いてるか知らない?小柳くん。」
「ぁうッ、し、るかよッお゛ッッ♡ やばぁ♡奥やばぁい゛ッッ♡♡」
ああなんか、虚しくなってきた。自分の下で啼いて善がってるこの男が自分のものではないなんて。
もう、もういいか。全て、終わりにしよう。
ぎゅ、と無意識に指がシーツを掴んだ。動いていた腰が止まり、呼吸だけがやけに大きく耳に響く。小柳の声も、熱も、急に遠く感じられて、現実味が失われていく。
ドライで達したらしい小柳は呼吸を整えながら、突然止まった衝撃に目を瞬かせる。ほしるべ?なんて、緩い滑舌で呼ばれた名前に目眩がしそうだった。
「ごめん小柳くん、…もう、やめにしよ。」
「は、………なにを。」
今のこのセックスを?それとも、⎯⎯この関係を?
小柳は聞けなかった。口を開けず、ただ涙をぽろぽろと零す星導を見つめるだけ。
「俺、もうお前とはセックスしない。やめよ、⎯⎯セフレ。」
星導の口から出たのは小柳がいちばん恐れていた言葉。この関係が終わったら、小柳と星導を繋ぎ止めるものは無くなってしまう、そう、ふたりは思っていた。
「…なに、俺のこと嫌いになった?」
「違う」
「じゃあ好きな人できたか」
「……」
違う。とは言えなかった。好きな人ができたかと言われれば少し違うような気もするが、好きな人のせいでこの関係をやめたいと思ったのは事実。
もう疲れちゃった、なんて言葉は口にできるはずもなく、ただごめんと謝るだけ。途中で投げ出すなんて失礼なことをしている自覚はあるが、そもそもセフレなんて関係で留まっているくらいだし、今更だろう。
「俺先に出るから。一泊してもいいし、ご自由に。」
会計は先に済ませてあるので大丈夫。もう、残すものは何もない。そう言い聞かせて、溢れる涙を隠すように服を着て直ぐにホテルを抜け出した。もう散々見せたあとなのだから意味は無いのだけれど。
終わった。終わらせた。これでいい、これでいいんだ。早くこうするべきだった。ずるずると引き摺ってないで早く諦めるべきだったのだ。
涙が零れないように天を仰いだ先には、輝く満月がこちらを覗いていた。
✦︎✧︎✧✦
星導が出て行って数分、そのままボーッとしていた小柳は早急に体を洗い流し、ホテルを出た。ひとりになりたくなかった小柳はそのまま友人へと連絡を入れ、珍しい小柳の飲みの誘いに友人達は深夜にも関わらず食いついた。
「んで?なんかあったんやろ。言うてみ?」
ほれ、とドリンクを傾けながら言う緋八に、小柳はテーブルに伏せた頭を上げ見つめる。緋八の隣の席であ、これも追加で、なんて店員に頼む伊波は見ないふり。…それ高い酒じゃね?
「俺さぁ、セフレがいたんだけどさ」
「……………うん?うん…うん!?」
「そいつとセフレやめよって言われて捨てられた」
「ちょっっっ…とまてな、キャパオーバー。」
「ただのセフレじゃないの?」
捨てられた、なんて嘆くくらいなら。なんて順応している伊波に緋八はより困惑する。セフレ、なんて未知の存在に理解が追いつかない。見かけよりも長く生きているという小柳と、見かけよりも男前な伊波の会話についていけるか心配になった。
「…好き、だった。」
「へぇ、好きな人いたんだ。」
「まぁ、セフレになる前から、なんなら出会う前から好きやね。」
「…?どういうこと?インターネットで出会ったとか?」
「…あいつ、記憶失くした、から」
記憶喪失。そう言われて思い浮かぶのはやはり同期の男だ。だが、小柳と星導がセフレ、なんて言われても想像ができない。たまたまだろうとということで片付けた。
「記憶失くしたあいつに出会う前から、あいつがあいつになる前から、好きだった。なのにセフレになっちゃって、ずるずる引き摺って、でもあいつと繋がれるならそれでいいやと思って、今。」
好きな人出来たっぽい、と再び顔を沈ませて零す小柳に、つい先程片付けた話題を引っ張り出す。やはり相手は星導なのだろうと確信してしまった。
伊波と緋八は詳しくは知らないが、星導が記憶喪失になる前から小柳は友人だったらしい。
ともあれ、「セフレ」という関係性は想像できないが、「恋人」と言われればどうだろう。そもそも、伊波と緋八は既にふたりは付き合っているものだと思っていた。目に見えてイチャつく、とかそんなのでは無いが、なんせ距離が近い。どう見てもパーソナルスペースの広い小柳が、肩が触れる位置に座られても普通にしているのだ。油断していると部屋の端やソファでふたりにしか分からない話題で笑い合ったりしているし、一度だけ、星導の肩に頭を乗せて眠る小柳も見た事がある。大人しく眠っている小柳を星導が甘く見つめているものだから、てっきり付き合っているだと思っていたのに。本人から出てきた関係はセフレで、何かが拗れて両片想い。俺達を巻き込むなと口を大にして言いたかった。
「んで?小柳はどうしたいの」
「…わかんない。ただこのままひとりでいるの嫌だったからお前ら呼んだ。」
「はぁ〜?もう言っちゃえば?全部。そもそもセフレになってる時点で色々終わってるでしょ。なら何言っても一緒一緒。」
覚悟が決まりきっている相方に緋八はお、おう…と反応することしか出来ない。ディティカではこれが普通なのだろうか。
「だって、めんどくせぇじゃん。」
「なにが。」
「セフレに好きですなんて言われたら、普通にダルくね?」
「知るかよ」
ついに伊波は「こいつらめんどくせぇ」という感情を顔に出し始めた。
なにか、ふたりがハッピーエンドを迎えられる方法はないかと緋八が頭を回すがパッといい案は膨らまない。
「好きな人が出来たって言われたん?その人に。」
「いや、俺の事嫌いになった?って聞いたら否定されたのに、好きな人できた?って聞いたら無言だったから、そうなのかなって。あとなんか、泣いてた。」
「「泣いてたァ??」」
「そう。ヤッてる最中に泣き出して、抜けって言っても抜かなくて、なんなん、て思ってたら急に止まってもうセックスしない、セフレやめる、って言って出てった。」
情報量が多すぎる。なんだそれ。一先ずお前が受け入れる側なんだ…という驚愕は置いておいて、泣き出したのはなぜ?
「も~わからん。もう嫌。あんなヤツ知らん、別にセフレ作ってそいつ好きになってやる…」
不貞腐れたようにそういうが、きっと他にセフレを作ることはできないだろうなと本人がいちばん分かっていた。快楽主義である小柳は、星導とセフレになる前から後ろの開発を進めていた。気持ちよくなれる方法はいくらあったって良い。そのためセックスに興味もあった。実際マッチングアプリ等でチャレンジしてみたが、白狼の性か、知らない人を迎え入れるという行為に嫌悪感が否めなくて諦めたのだ。そのタイミングで星導とする機会があり、不安もあったがすぐに吹っ飛んでしまった。ただただ気持ちいい。好きな人とする性交がこれほど気持ちいいものだとは知らなかった。生涯で好きになった人は星導ただ一人。おそらく、これからも。好きでもないやつとのセックスなんて、気持ちいいとは到底思えないだろう。
「めんどくせぇ~。もう星導呼んじゃお。」
「え、呼ぶん?」
「小柳今酔ってるし、上手くいけばぶちまけるんじゃない?」
普通に介抱ダルいし星導に押し付けちゃお~とスマホを取りだし電話をかけ始めた。数コールで出た星導は、どうやらやらすぐにやって来るらしい。小柳が居ることは伏せたからと愉しそうに笑う伊波になんて恐ろしい子と震え上がった。
✦︎✧︎✧✦
伊波に緋八と飲んでるんだけど来ないかと聞かれ、ヤケ酒には丁度いいかと脚を運ぶことにした。泣き腫らした目は少し落ち着いて、きっとバレないはずだ。
なんとなく服を着替えて早急に家を後にした。
言われた店に行くと、つい先程まで嫌という程見た姿。騙されたとそこで気づいた。
眠っている渦中の男はかなり酔っている様子。おつーなんて呑気に手を振る伊波をキッと睨んだ。きっとこの様子だと全て気づかれている。
「…なんで呼んだの」
「んーや?せっかく飲んでるしお前も呼ぼうかな~って。」
「絶対嘘。何が目的ですか」
「まあまあ、いいからいいから。何飲む?」
そこ座り、と緋八に小柳の横を指され、テーブルに突っ伏して寝ている小柳の横にそっと座り飲み物を頼んだ。
…いや、こんなことをしている場合では無いのだが。単純に気まずい。今小柳が起きたらと思うとかなり逃げ出したい。
「お前ら付き合ってなかったんだ。」
「…なんの話?」
本当に何の話だ。付き合っているわけがない。付き合えなくてぐだぐたと悩み続けているのだから。
「セフレだったのにやめたって聞いたから。」
「ああ、やっぱ聞いたんだ。そうだよ、セフレなの。もう違うけど。」
小柳くんってそういうの他人に口にするんだ、と思った。星導の知っている小柳はプライベートをあまり明かさない。ご飯に誘っても来ないし、正直飲みの場にこの狼が居ることが違和感でしかない。今回の件もなあなあで終わるだろうと思い込んでいたのだ。
「星導だとは言ってなかったけどね。なんでやめたの?」
「なんでって…良くないでしょ、普通に。体だけの関係とか、物足りないじゃん。」
「…なるほどなぁ、それが本音なんや。」
「やっぱそうなんじゃん。」
本当になんなんだ。運ばれて来たドリンクをグイッとイッキ。…酒じゃないけど。ヤケ酒するつもりだったのに、この場に小柳が居るとなれば別だ。しかも小柳は既に酔ってるときた。ふたりきりになるのも気まずいが、別の男とふたりきりにして家に送らせるのも癪だから、酔いたくない、なんて。
「おじいちゃん達ほんとバカだね~」
「なんで俺罵倒されたの?俺かわいそ。」
「まあまあ、一旦忘れて飲もや!」
緋八の声にひとつ溜息をついて、一度忘れて飲むことにした。ソフトドリンクを。
✦︎✧︎✧✦
「っべ、もうこんな時間じゃん。」
「ほんまや、終電無くなるやん!」
かなり話し込んでしまったらしい。純粋に楽しかったのがムカつく。帰ろ帰ろと荷物をまとめ始めて、隣の男をちらりと見る。未だ眠っているらしい小柳はどうするべきなのだろうか。
「星導、小柳のことよろしく」
「…………は!?」
しゃ、帰ろーと緋八を連れて出て行く伊波にちょっと!と声をかけるが聞く耳を持たない。金は支払っとくから、と言われてぐ、と喉を詰まらせた。最終的に感謝と巻き込んでしまった謝罪をして小柳の肩を支えて立たせることにした。
タクシーは呼んでいるので少し待ち、店の前に来たタクシーに小柳を押し込んで乗り込む。小柳の家は知っているが、住所は曖昧なので星導の家へ。目が覚めた時に別れたセフレの家にいるという小柳の心境を考えたら気の毒だが、酔ったこいつが悪い。
なんとか星導の家に辿り着き、ベッドへ沈ませる。どうやらその衝撃で起きてしまったらしい。パチリと開かれた満月にドキリと心臓が鳴る。
「ほし、うえ」
「…なに。」
「ほしるぇ、ほしるべ、なぁ…お前の好きな人、だれなん」
お前だよ、とは言えない。言えたら良かったのに。
「俺もいるよ、好きな人。」
「……………は、」
突然の告白にバクバクと鼓動が早くなる。居たんだ、好きな人。好きな人がいるのに俺とセックスしてたの?なんてズルいひとなんだ。そうやって誑かして、勘違いさせて、数多の人間を堕としてきたに違いない。
目を見開いた星導にんふ、と可愛く笑って目を細める。愛おしそうに好いている人を思い浮かべる小柳の顔が愛らしくて、存在も知らないそいつが憎らしくなった。
「ずっと、ずぅっと好きなの。でもそいつ俺のこと全然見てくんなくてさぁ…」
俺ならずっと見てるよ。お前が見るなって言われても見続ける。
「嘘つきで適当でいい加減なくせに、なんだかんだ仲間想いだし、歳下には甘い。」
まああいつからしたら地球上の生命体は大体歳下か、なんて呟く小柳に、星導はん?と首を傾げた。
この世の生き物の大半が歳下だなんて、心当たりしかない。
期待して、いいのだろうか。小柳も同じ気持ちだと、信じていいのだろうか。…一か八か、告うしかない。だって、このタイミングを逃したらもう二度と小柳のこんな顔は見られないだろうから。
「ねぇ小柳くん。俺の好きな人知りたいって言ったよね」
「んぁ、教えてくれんの?」
「俺が教えたらさぁ、小柳くんも小柳くんの好きな人教えてくれる?」
「んー…まあ、そん時によるね」
ッハ!と普段のように笑う小柳に、星導は一度だけ深く息を吸って口を開く。小柳は半分眠ったまま、けれど不思議と意識だけははっきりこちらを捉えているようで、ぼんやりとした瞳がまっすぐ星導を見上げている。
星導は、ほんの一拍だけ間を置いた。
言葉を選ぶというより、選ばないようにするための間だ。長く一緒に居すぎて、今さら飾る理由もない。
「⎯⎯お前だよ。」
たった一言、それだけ。
小柳は数秒の間何も言わなかった。瞬きもしないで、ただ星導の顔を見ている。酔っているからか、あるいは酔いが覚めかけているからか、その目はやけに静かで綺麗。
「……は?」
低くて、間の抜けた声。それが妙に小柳らしくて、星導は少しだけ息を吐いた。
「だから、俺の好きな人。ずっと前から。」
「いつから」
「覚えてないくらい前」
嘘じゃない。いつからかなんて本当に分からない。気づいた時にはもう隣に居て、居ないと落ち着かなくなっていただけだ。
「じゃあさ」
小柳がのそりと体を起こす。酔っているわりに動きは案外しっかりしていた。
「なんで、セフレで止めてたん」
「……逃げてたから」
「誰が」
「俺が」
即答だった。
小柳の前では、変に強がるのが馬鹿らしい。どうせ全部見抜かれるのだから。
「お前に好きって言ったら、戻れなくなると思った」
「なにに」
「今までの距離に」
今の関係は楽だった。
一緒に居るのが当たり前で、説明も確認もいらなくて、他人から見たら素っ気ないくらいで。それが何故か妙に心地良くて、頼りきりになっていたところもある。
「……俺さ」
小柳が、視線を落としたまま言う。
「お前が泣いたの、初めて見た」
「ね、俺もびっくり。」
「あれ、普通にビビるからやめろ。」
責めるでもなく、責めないでもなく。
ただ事実として投げられた言葉に、星導は苦笑した。
「泣きたくて泣いたわけじゃないって!」
「そらそうだろうよ」
「…ごめんね、みっともないところ見せちゃって。」
小柳はその言葉に、少しだけ眉を寄せた。
「違う、急に泣くのをやめろって言っただけで、泣くのをやめろって言ったわけじゃない。」
「…へ」
「あと泣くのは俺の前だけにして」
小柳の言葉に星導はふわりと笑う。好いているひとの小さな独占欲に胸が高鳴るのを感じた。
「…で?なんか言うことないの。」
「…言うこと?」
「お前の好きなやつは俺。その俺は今お前の言葉を待ってる。はい、なんでしょう。」
「……………好き。好きです、俺と付き合って」
んは、正解!なんて首に腕を回して飛びついてくる小柳に、星導は動揺する。こんな小柳知らない。付き合ってと伝えたらこうなるらしい。なら早く伝えれば良かったなと今更後悔。
「俺も好き。やっと言えた」
「早く言ってよ」
「いやお前がな。すれ違ってグダグダしてただけじゃねぇか、はず。」
「いやマジ、これライたちに言うの恥ずかしすぎるんだけど。全部バレてるよ、あれ。」
「お前が急に俺のこと捨てるからだろ、そりゃ相談もするわ。」
小柳のじとりとした瞳に、星導はすみませんと謝ることしかできなかった。
「…なあ」
不意に、小柳が様子を伺ったようにこちらを見る。なんだと耳を傾ければ、恥ずかしそうに顔を逸らした。
「俺たち恋人…になったわけじゃん?」
「そう、そうです…ね」
慣れない単語に視線がチラつく。改めて口にされると実感が湧いてきて嬉しさで触手が暴れだしそう。そんなことしたら殴られるけれど。
「……シないの?」
「……………………………へ!?」
「だってお前、今日イッてないだろ。俺も物足りないし…なあ、いいじゃん、恋人になって初めてのイチャイチャラブラブセックス♡しよ♡」
小柳のその一言に星導は思わず言葉を失った。
酔っているからだ、きっと。見た目ではあまりわからないけれど、彼はかなり酔っている。そう思おうとしても、真っ直ぐこちらを見る瞳は冗談を言っている色ではなくて。むしろ、ずっと我慢していたものをやっと口に出せた、みたいな顔をしている。
「なーあ、お前の欲しいんだけど。なにがだめなん」
「うぐぐ…」
目の前にある好きなひとの物欲しそうな顔に揺らいでしまう。そもそも断っているわけではない。ただ、恋人になって早々に身体を重ねるのは如何なものかと乙女思考よりな星導の一部が躊躇っているだけ。欲に忠実になるのならば是非ともイチャイチャしたいしラブラブもしたいしセックスもしたい。
星導が悶々と頭を悩ませていれば、小柳は腕を首に回したまま、ベッドの縁に座った星導の膝の上に乗り込みゆるゆると腰を動かし始めた。んっんっと甘い声を漏らしながら前後左右に動かし目の前の雄を誘惑する。
先程思いを通じ合った恋人の官能的な姿に、自身のそれは思惑通りに質量を持たせる。硬くなった星導のそれに目敏く気づいた小柳はにやりと笑い自身の下履きを全て脱ぎ捨てた。
「こら」
「ん~?んふ、さっきぶりやね」
元気になったな~、と星導のそれに語りかけながらぴとりと後孔に宛てがう姿を見て、もういいか、と今までの葛藤を全て投げ捨て小柳の腰を支えた。星導が乗り気になったことに気がついたのか満足気につぷりと宛てがった男根を沈ませぴくぴくと身体を震わせた小柳の肌の至るところにちゅ、ちゅ、と軽くキスをして宥める。小さく息を漏らしながら奥まで沈めようと健気に努力している小柳を見て、どこまでも努力家なんだよなと思い耽った。
「ッは、ぁ、入ったぁ…♡」
「ん、入ったねぇ。ありがとう」
「んっ、キスすんのやめろ、やるなら口。」
「………いいの?」
「………いいだろ。」
セフレの時はお互い意図的に口にはしなかった。決め事では無いが、なんとなく、それは一線を越えてきしまう気がして避けていただけ。まあ、身体を重ねている時点で今更だとも思うが。
しっかり許可も貰えたことだし、これからは唇が溶けてしまうほどしてやろう、そう密かに決心した。
「ん」
「んん……っ、は、んふ」
「やった、キスしちゃった。」
「童貞かよ」
「あ、そんなこと言っちゃうんだ。」
小柳の安い挑発にノってみる。ぱちゅ、ぱちゅと下から突くと可愛らしい声を漏らすものだから面白い。
「ぁっ、ぁ゛ッ…♡ ん、ふ…」
声を漏らす小柳の口をなんとなく自身の口で塞げば、「ん゛ッッ!?」と驚いて空いた隙間から舌を忍び込ませ咥内をまさぐれば、過剰な程に小柳の身体がビクリと跳ねて逃げようと逸れる体を追いかけより激しく舌を動かす。やだやだと言うように首元から離れた手で肩を叩かれるが知ったこっちゃない。とろんと溶けた目から次第に浮き上がる涙と、目を瞑りながら痙攣し始めた体。おや?と思っていれば小柳の陰茎から吹き出る白濁。
「ん゛!!ん゛ぅ、ン…~~~~ッッ♡♡」
どうやら下から突かれ、キスをされながら達してしまったらしい。はふはふと星導の肩に体を預け呼吸を整えているまるい頭を撫でる。
「イッちゃったね」
「るせぇ…、ぉまえのせい、突きながらキスすんな、ばか。」
キスハメが弱点らしい。そう心の小柳ノートにメモして大切に保管しておくことにしよう。
一度達した小柳の体をベッドに背を預けさせて上に被さると星導の髪が重力に従いさらりと落ちる。藤色のカーテンに囲まれ、二人きりの世界になり星導に包まれるこの瞬間が小柳はいっとう好きだった。本人に伝えたことは一度もないが、毎度きゅんと胸が高鳴るのを注力して隠している。
「なんか、夢みたい」
「なにが」
「お前と両想いになれたの」
「ッハ!なに、今更ンなこと言ってんの?」
だって、終わると思っていたのだ、伝えたら。引かれなかったら上々、まだ同期ではいてくれるかなとか考えていたものだから、”恋人”という立ち位置が夢のようで。溢れる好きの感情を、この男は受け止めてくれるのだろうか。やっぱ重い。思ってたんと違う。…とか、言われたらどうしよう。閉じ込めて逃げられないようにしてしまおうか。
「お前、絶対考えすぎやね。」
「…え、俺声に出てた?」
「いーや?出てないけど、お前の考えることは大体わかるよ。俺、お前よりお前といる時間長いから。」
小柳のその言葉に星導は一瞬だけ目を丸くしてから、ふっと力の抜けたように笑った。
「なにそれ、ズルいんですけど」
「事実だろ。お前、顔に出すぎなんだって」
「……うるさいなぁ」
額を合わせる距離まで顔を寄せると、小柳は逃げなかった。むしろ、星導の服の裾をぎゅっと掴んで離れないように引き寄せる。
「なぁ、星導」
「ん?」
「終わらせなくてよかったな、俺たち」
「……うん。ほんとに」
あの夜、ホテルを出たときに見上げた満月。終わったと思った関係は、ただ形を変える途中だっただけで。身体だけじゃなく、言葉も、気持ちも、全部ちゃんと繋がれる場所にようやく辿り着いただけだった。
愛おしくたまらなくなって、つい言葉が漏れた。
「……好きだよ」
星導の素直な言葉に小柳は一瞬目を見開いて、ふはっと吹き出す。照れ隠しのように視線を逸らしながらも、指先は離れない。両手を恋人繋ぎのように絡めた指先にきゅっと力が篭もる。
不安も後悔も、すれ違った時間も、全部ここに辿り着くための遠回りだったのだと、静かに腑に落ちた。
言葉にするのは苦手だが、こればかりは言わないと。不毛なすれ違いはもう要らない。
お前が夢みたいだなんて思うなら、俺が何度でも現実に引き戻してやる。 その為には何度だって言おう。
にへらと笑い、幸せそうに口を開いた。
⎯⎯おれもすき!
終
普段甘くさせがちなので今回はカラッとしているのもを書こうとしたつもりでした。無理でした。なぜかいつもruが積極的になっていきます。不思議ですね~
時間かかる場合がございますが一応コメントからリクエスト受け付けております。
現在はrbruのみ。
詳しく詳細いただけるとより早く仕上げられるかもです。
励みとなりますので感想や反応等もお待ちしております!
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