最後でーす
⚠年齢操作、過呼吸、精神的に不安定な表現⚠
「はぁ〜……さっむ……」
雪が降ってる中、街の人達のちょっとしたお手伝いをしに家を出ていた。
他のみんなもそれぞれの仕事があるだろう、誰か家にいてくれたら嬉しいな、寒い日って一人だと不安になるから。
そう思ってた頃、電話が鳴る。
「もしもし」
『あ、やん?』
「うん、そうだけど、どうしたのなかむ」
『いや、今家ついたから連絡しておこうかなって』
「わかった、ありがと」
『うん、寒そうだね、声震えてるよ』
「はは、うん、めっちゃ寒い」
『じゃ、なんか暖まれるもの用意しておくよ』
「ありがとう」
『ゆっくり帰っておいで、俺は元気だから』
「うん、またね」
俺のことを気にかけてくれてるんだろうか、すっかり成長したもんだ。
早く帰ろう。なかむが無事だとは言ってるけど不安になってきた。じわ、と少しの恐怖が頭を侵食した感覚がした。
――――――――――――
少し慌てながら、鍵を開けて家の中に飛び込む。
人の気配を感じなくて、不安がだんだん大きくなる。
「た、ただいま…」
声をかけても返事は来ない。
胸がぎゅぅっとする。
もしかしたら、何かあったのかもしれない。誰かに襲われたのかもしれない。誰かに連れさらわれたのかもしれない。傷つけられたのかもしれない。
嫌な想像ばかりが膨らんでいく。
「っ、ふぅ……だれ、か、いないの?」
「はぁっ、…だ、れか、っひぅ…」
だんだん苦しくなる呼吸。
あぁ、情けない、
本当に襲われていたりしたら、一刻も早く助けに行かないといけないのに。うまく体に力がはいらない。
壁を支えに立とうとしたけど無理で、ずるずる玄関に玄関に座り込む。
「ひゅっ、かひゅ……ぅ”…ひぅっ、、はぁっ…ふ、っひ」
浅くなっていく呼吸と震える手。
視界が暗くなっていく。
ごめんなさい、助けることができなくて。
ごめん、なさい
「!!きりやん!!!!!!」
意識が落ちかけたとき、聞きたくてしょうがなかった声に引き戻される。
倒れ込みそうな体を抱き支えられる。なかむの体温、あったかい。
ぎゅぅ、と抱きしめてくれる。
「大丈夫、俺はどこも痛くないよ、すぐお迎えできなくてごめんね」
「ゆっくり、好きなものに合わせていいから呼吸治そう、大丈夫、やんならできるよ」
優しく背中を擦られる。
とくっ、とくっ、って安心できる心音が聞こえる。
こんなこと、ついこの前までは、俺がやっていたのにな。
「そうそう、上手…」
「ひゅ、……ふ…ー…」
「落ち着いてきた?」
一つの水色の目に覗き込まれる。
その優しい色が、輝いていることに酷く安心して、だんだん眠たくなってくる。
それを察してか、そっと膝の上に寝かされる。ふわふわと髪を撫でられる。心地よくてぽわぽわしてくる。
そのまま、温かいまどろみへ溶けていった。
――――――――――――
目が覚めるとなんとなく見慣れたような天井で、かなり安心する。
ずっと寒かったさっきまでとは違ってすごく温かい。
横でなかむが寝てる。疲れてたのかな。
昔と変わらない可愛い寝顔、今も昔もその顔が大好きでしょうがない。本当に愛嬌のある顔だ。
可愛いな、と思ってすべすべの髪を梳くように撫でると、少しだけ声を上げ、快晴の瞳が開かれる。
俺を見るやいなや、ぽろぽろと泣き出してしまい、ぎゅ、と俺にくっついて離れなかった。
「なかむ、心配かけてごめんね?もう大丈夫だから」
「っ、ひぐっ……ほん、とにっ?」
「ほんとだよ、俺が嘘ついたことあった?」
「…なぃ」
それでも今だ泣き続けるなかむをみてこれはめんどくさくなりそうだと覚悟した。
――――――――――――
翌日には普通に体調も良くなったので、普通に料理とかして、いつもどおり過ごしていた。
「きりや〜ん」
「あ、Broooock、どうしたの?」
「雪積もってるから中庭で雪遊びしたいなって」
「いいよ」
「ほんと!?やったぁ!」
と嬉しそうに走り去っていった。
あの調子だとすでにシャークんとなかむは誘われていそうだ。
きっとスマイルときんときを誘いに行ったんだろう。
あの子供らしい一面は、小さいときの名残でもある、が長くなるので割愛。
とりあえずさっさと皿洗いを終わらせ、防寒着を自分の分となかむのぶんを用意して中庭に出ると、すでになかむとシャークんが雪合戦を始めていた。
あの2人も幼いような一面が残っている。理由に関してはまたしても割愛。
「おーいなかむ!お前防寒もしないで遊ぶなよ風邪引くぞー」
「はぁーい!」
「しゃけも、おいで~」
「ん!」
なかむが寒くないように、上着を着せて、マフラーを巻いて、手袋をつけさせる。
行っていいよ、と背中を軽く叩くと、俺の手を繋いで、そのまま雪の中に放り出す。
急なことすぎて思わずつんのめってぼす、と雪の中にすっ転ぶ。
スマイルは、Broooockに雪だるまにされそうになってるし、きんときとシャークんは一緒に雪うさぎを量産している。なんて平和な光景だろう。
雪から出るために起き上がると、なかむが雪玉を量産して待っていた。
反応する時間もなく飛んできた雪玉が顔面にぶち当たってもう一回雪の中に埋まる。
さすがに本人もまさか顔面に当たるとは思ってなかったらしく慌てて走ってくる音が聞こえる。
慌てるな、と言おうとして雪から出ると、ちょうどなかむがつまずいて顔から盛大にコケたところだった。
慌てて駆け寄ると、本当に泣きそうな目でこっちを見ていた。
「え、大丈夫?怪我してない?」
「…してない…」
「痛かったね、よしよし」
「…っ、ぅ”〜〜っ…」
昔やってたみたいにぎゅうっと抱きしめて頭を撫でていると結局泣き出してしまい、雪遊びどころじゃなかった。
「なかむ、ちょっと落ち着いた?」
「うん……」
「痛かったね、」
「うん」
何かを言うとこくりと小さく頷くだけで、何か別のことを喋ろうとしない。拗ねているようだ。
「…別に雪遊びなら明日でもできるよ、また明日いっぱい遊ぼう?」
「………明日は絶対遊ぶ」
「うん、絶対遊ぼ」
そうやって交わした小さな約束が明日に繋がる。
守るべき大切な家族と明日を迎えられる一つの道
こうやって日々の積み重ねが崩れることが俺は嫌いだ。
でも、なかむたちと一緒なら絶対に一緒だと思う
コメント
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Nkさんが成長してて可愛かったです……😭😭前中後編と楽しませていただきましたありがとうございました!