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「月に行こうよ!月っていっつも私たちに同じ面しか見せなくない?きっと裏側になにか秘密があるんだよ。月の秘密を暴きにいこう」 うっすら月が登った空に手を伸ばしながらそういうと君は「じゃあ、空に行こう」と言った。手を引っ張られて無造作に、色んなものにぶつかりながら街を駆け巡る。どれだけ私が泣いて騒いでも腕を離すことも足を動かすことも止まらなかった。


やがて強い衝撃に身を包まれ、気づいたら草原にいた。そこは1面緑でそれ以外は何も無い。オゾン層を突き抜けていきそうな風車が1つと地平線の奥には積乱雲が見えた。


「ほら、一緒に寝転がろうよ」

君はいつになく笑顔だった。青空が広がるこの大地で寝転がるとまるで空にいるような感覚に陥った。君と2人だけのこの空間はどんな時間より大切に感じた。


「空と雲って綺麗だけどいっしょだから綺麗に見えるんだよ。片方ずつじゃ魅力半減しちゃうけど2人でいるから魅力的なんだよ」

私に何かを訴えるかのように君は言った


ここが私たちの求めていた優しい世界なのかもしれない。私を求めている人と2人きりの空間。これほどの幸せがあるだろうか


これでおさらばなんだな。あの汚れきった世界と


これからも私たちは生きていく。自分を貫いて、大切にして、互いに包み合いながら生きていくんだ。


みんなが平和でいられるところなんてないんだよ。一人一人にあった世界っていうのが存在するんだ。私たちは見つけたよ。自分にとっての世界、私たちに優しい世界を。



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