「敦くん、そんなに震えて……怖いの?」
「こ、怖くなんか……」
敦がそう言いかけた瞬間、太宰が敦の顎をすっと指で持ち上げる。
「嘘はよくないよ、敦くん」
「っ……太宰さん……?」
太宰の瞳が、いつもの軽やかさを消し去り、獲物を狙うような鋭い光を宿している。
「敦くん、私に捕まったってことは……逃げられないよ?」
「……っ!」
敦が顔を赤くして視線を逸らそうとすると、太宰の指がそっと唇に触れる。
「ダメだよ……私から目を逸らしちゃ」
「っ……ふ……ぁ……」
敦の声が震える。
「敦くん……どうしようか……」
太宰は敦の耳元に顔を寄せ、甘く低い声で囁いた。
「……私が、君を壊してしまったら」
「……っ!? 太宰さん……!」
敦が驚いたように太宰を見つめると、太宰はにこっと微笑んだ。
「冗談だよ」
そう言いながら、太宰は敦の頬をそっと撫でる。
「でも……このくらいは、いいよね?」
太宰はゆっくりと敦の唇に自分の唇を重ねた。
「……っ!!」
敦は一瞬硬直したが、太宰の手が背中に回され、逃げられないように強く抱きしめられる。
「ん……ふ……っ……」
舌先がゆっくりと敦の唇をなぞる。
「太宰……さん……」
「敦くん、もっと……」
「……っ、ダメ……!」
敦が抵抗しようとするけれど、太宰の腕は緩まない。
「敦くん……私から逃げられると思ってるの?」
耳元で囁かれ、敦は顔を真っ赤にして目を閉じる。
「……逃げないで。私に全部……委ねて」
太宰の唇が再び敦の唇を奪い――
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