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外回りの途中に綺麗な花を何本か見つけた。早速彼女にあげてみよう、そう思い立ったら行動は早かった。途中までは。
彼女の家を目指し歩き出す。少しもすればはやる気持ちで早歩きになり、最終的には小走りになっていた。
彼女の家を発見し早速渡そうと考えたが、ぴたりと足が止まった。モーニングスター使いのカルティストが言ったことを思い出したからだ。彼女はうちの教団を好ましく思ってはいない。我々信者に対しては敵対的、あるいは暴力的になる可能性もある。
初手から嫌われるのはごめんだ。俺は摘んだ花を玄関の前にそっと置いて、遠くから眺めて彼女が出てくるのを待つことにした。
しばらくすると、扉が開き、彼女が出てきた。やはりいつ見ても息を呑むほど美しい。呼吸が戻ってくるとすぐにため息が出る。見惚れてしまう。それぐらい美しい。できることならもっと直接お近づきになりたいのだが…それはもう少し段階を踏んでから、ということで。
彼女は足元にある花に気づき、それをそっと拾い上げる。少しの間観察して、匂いを嗅ぐと、柔らかく笑った。
俺は咄嗟に目を離してしまった。この感情が脳を支配し爆発しそうな予感がしたからだ。顔が熱い。彼女が好きだ。彼女が大好きだ。
過去は花を家の中に持ち帰った。俺からの贈り物、というとさしでがましく聞こえるが、それを喜んでくれたと捉えるとなんだか胸が温かくなってきた。喜びに打ち震えながら教団のアジトへと急いだ。
その日の晩もモーニングスター使いの彼に話を聞いてもらった。俺が興奮気味に今日の出来事をぶちまけても優しい表情で相槌を打ってくれる。彼に相談して本当に良かったと思っている。
「そうだな、彼女がある程度花のプレゼントに慣れたら、他のものも一緒に贈るのはどうだ?」
「他のもの?」
そうだ、と彼は頷く。
「例えば菓子類やアクセサリーとかの物や、手紙とか。」
「それってラブレター…?」
「ははは、そういうことになるな。」
別の日、仲間と一緒に外回りをしている途中、仲間の槍が壊れた。アジトからも離れているため、仕方なく狼を捕まえて皮を剥ぎ、ペルトトレーダーに交換してもらいに行こうと考えた。ただ、彼がどこにいるのかはわからないから、俺たちは件の妖精の家へ向かった。
仲間が戸を叩くと、透き通るような綺麗な声が聞こえた。
「はぁい、ちょっと待っててね。」
少し室内でドタバタと物音がした後、彼女が扉を開けて出てきた。近くで見るのはこれが初めてだったから、目が潰れるとも錯覚しそうなあまりの美しさから赤くなった顔を晒さざるを得なかった。
彼女は俺たちを見るなり眉間に皺を寄せ途端に険しい表情になった。彼女の怒った顔なんて初めて見たから、少し衝撃的だった。好きな人の怒った顔というのは、心にちくちくとした嫌な感じをもたらす物なのだな。
意を決した仲間のうちの一人がついに彼女に問いかけた。
「ペルトトレーダーがどこにいるか知らないか?」
「知りません!」
怒鳴り声と共にぴしゃりと戸が閉められた。
彼女の教団嫌いがここまでとは思いもしなかった。衝撃的だった。果たして俺の恋が は実るのかどうか、雲行きが怪しくなってきた。
仲間たちが、やっぱりダメだったか、さてどうしようか、など話しているのをよそに、俺はえも言えぬ不安に駆られていた。去り際に、摘んできた花をまた置いて彼女の家を後にした。