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無題(小説)

1 - 第1話

♥

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2024年06月16日

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捏造

鬱、OD、自傷表現有


過呼吸になる。苦しい。痛い。ぐるぐるする。

[死ねばいいのに][別にいらない][みんな大っ嫌い]

自分に向けられたものじゃなくても。メンバーに向けられたものでも。

カッターを手に取って、腕を切る。

ザシュッザシュッ…

『あ…今日も傷、増やしちゃった…』

『もう隠せないなぁ…』

まぁ包帯巻いて長袖で隠せば、バレないよね。

包帯をぐるぐる巻いて、上からパーカーを着る。

今からメンバーとご飯を食べに行く。近況報告や、雑談をする。

正直しんどいし、行きたくないけれど。

鞄にスマホと水と薬の瓶を入れて、玄関を出た。

「いやぁ〜、みんなとリアルで会うの結構久しぶり?」

〈特におんりーとあんまり会えてなかったやん?僕めっちゃ寂しかったw〉

『いつも撮影で声聴いてるじゃんw』

喋るのもしんどいし、明るく演じるのもしんどい。

【それでさ〜】

話が飛び交っている。何を喋っているんだろう。よくわからないし、頭で変換できない。

薬、飲みたいな。

『すみません、ちょっと御手洗い行ってきます。』

席を外し、御手洗いに入る。

鍵を閉め、深呼吸をし、目を閉じる。

目を開けたら、鞄の中の薬の瓶から、大量の薬を取り出し、口に入れる。水で流し込み、呑み込む。

一瞬心が落ち着く。でも、急に眩暈と吐き気がして、意識が薄れていくのを感じながら、その場で倒れた。

「おんりー遅くない?」

〔何かあったのか…?〕

〈心配だし、行ってみましょう?お腹壊したのかなぁ…〉

席を立ち上がり、御手洗いに向かう。コンコンとノックするも、返事はない。

そして、その瞬間にバタン、と何かが倒れる音がした。

「おんりー⁉︎」

【中で倒れたのかも…店員さん呼んで開けてもらおう!】

「men、救急隊呼ぶ準備して‼︎」

〔わかりましたっ‼︎〕

数分後、扉を開けると、おんりーはそこに倒れていた。近くには、大量の薬が散乱していた。

「おんりー‼︎おんりー‼︎」

自分が呼びかける。でも、返事は返ってこない。

〈意識が…ない〉

〔もしもし、友人が御手洗いで倒れていて‼︎えっと…場所は…〕

menが電話をしている。

自分は、散乱していた薬が入った瓶を取り、ラベルを見る。

咳止め薬。でも、おんりーは咳なんて全くしていなかった。ラベルに書かれた名前に既視感を覚え、記憶を辿る。

ニュース番組を観ていた時。

[最近、若者のオーバードーズが増えています。薬を大量摂取する事で、快感を得て、現実から目を逸らす。といった為に行なっている若者が急増しています。ですが、この薬を大量摂取すると、場合によっては、命に関わりますーー]

オーバードーズ?おんりーは今日も元気そうだったのに?

おんりーはいつも無理をするから、もしかしたら、明るく演じていただけなのかもしれない。

救急隊が到着し、自分達も救急車に乗り込む。

[オーバードーズの可能性は十分にありますね。]

おんりーを見つめながら、救急隊の人は話す。

もしかして、と思っておんりーの袖を捲ると、包帯が巻かれていて、血が包帯に滲んでいた。

包帯を取ると、沢山の切り傷が。

「これって…」

〈全ておんりーがやったの…?〉

〔そんな…〕

全員が驚きを隠せていない時。

『ん…ここは?』

掠れた声が聴こえる。

「おんりー‼︎」

『俺、薬のんで……』

【…おんりー、この傷は?】

『…はは、バレちゃった。』

『 薬大量にのんでODしたのも、カッターでリスカしたのも、全て自分だよ。』

しんとした空気の中、救急車のサイレンがけたたましく鳴る。

〈ねぇ、なんでこんなことしたの⁉︎〉

『……… た…辛かった…誹謗中傷が。 こいついらないよね、とかうざい、とか、しね、とか。もう怖いのっ…何も考えたくないし、このまま死んでしまいたい…でも、みんなのことを思うと…死ねないのっ…』

沢山の涙が頬を伝う。嗚咽が止まらない。

みんなから抱きしめられて、涙が止まらなくなる。

涙が止まって我に返ったのは病院についた時だった。

今は精神療養として活動休止し、実家に帰省している。田舎の綺麗な空気、優しい大切な親に会えて、心はかなり休まった。

みんな、ありがとう。

活動復帰したら、そう言うと決めた。


誹謗中傷、やめよう絶対


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