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「キスしたい」
______夕暮れ時の教室。
付き合い始めてから部活終わりに共に帰る約束を取り付け、2人きりの時間を楽しんでいる。
いつもなら校門で待ち合わせなのだけれど…
司くんが教室に忘れ物をしたということで取りに帰ったのである。
ついてきたんだからいいだろう、と本当は見返りなんて求めていないけれどそれを口実に言ってみる
と、
その思考が分かっている司くんは笑ってから首を振った。
「だめだ!」
なんて可愛く言っちゃって、誘ってるんじゃないかと思うくらい。
僕が待てができないの知ってるくせに。
「やだ」
「やじゃないの」
嗜めながら机の中をあさり、あったと顔を上げ立ち上がった瞬間迫ってみる。
体を密着させると顔を赤くした司くんは後ろの机に手をついた。
ガタンと音を立てて少し後ろへ下がる。
「キスしたい」
「っ、ダメなものはダメだ!」
焦って顔を真っ赤にして、手の甲で唇をガードする司くん。
抱きしめて弱点の耳元で甘い言葉を囁いて蕩けさせてやろうかと思ったけれど
それじゃ僕が我慢できなくなってしまう。
本当に司くんは罪な人だね。
少し強引に手を引き口付けてやると、夕日と相まってさらに赤く染まった君。
「だめって言ったのに」
羞恥心で溢れる涙を舐めとった後、僕たちは教室を後にした。