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#私が明日死ぬなら
いも
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この世にはクローンという言葉が存在する。オリジナルと瓜二つの人間のことだ。しかし、自分を増やすなんて無理だ、彼女以外。
私は今日もエナジードリンクを飲みながらパソコンの画面を見る。パソコンの画面には多数のGPSが確認できる。
「はあ、今日も同じルートかよ」
つまらない。面白くない。もう何ヶ月も同じルートを確認している。
「久しぶりに造るか」
私は服を着て荷物を持ち出かける。
「(今日はどんな奴が湧き出るかな)」
今は夜の2時で人通りも少ない。普通の人間なら寝ている時刻だ。
路地裏もくまなく探す。チンピラでもなんでも良い。まあ、出来れば大物がいいが。
「ん?」
何か声が聞こえた、呻き声《うめきごえ》のようなそんな声が
「た、助けて!誰か!」
「あっちか」
私は急いで声のする方へ向かう。
そこには男が5人。人目につかない空き地で、暴行をするにはうってつけの場所だった。
「痛い…やめて!」
「うるせえな、黙れよ」
私は男どもに話しかける。
「何してる」
暴行をしていた男どもが私を睨む。
「見てわかんねーのかチビ」
「邪魔なんだよどっか行けよ」
何かを喚いて《わめいて》いるようだが関係ない。男どもには刺青《いれずみ》が入っていた。
「見ない顔だな、ヤンキーか?」
そう言うと男どもは青筋を浮かした。
「誰がヤンキーだって?俺はな、あの西荻組《にしおぎぐみ》だぞ!どうだ?怖いだろ!」
「怖くない。離してやれ」
良いことを聞いた。西荻組か、あそこは規模のデカいヤクザだ。そこの若頭《わかがしら》やら頭《かしら》やらをクローンに出来ればまた私の守備範囲が広がる。
「何ボーッとしてんだよ、言っただろ?俺は西荻組だぞ!」
「だからなんだ。役職名を言わない時点でただの下っ端《したっぱ》じゃねえか」
「あ?うるせえよ!俺はこれから出世するんだよ!」
「今出世していないやつに興味はない」
私は鞄《カバン》から銃を取り出す。
「はあ?なんでお前がチャカ《銃》持ってんだよ!」
「さあ?なんでだろうな。死ね」
静かな住宅街に破裂音がする。
「あ…あ…」
倒れた男には目もくれず残りの男どもは逃げようとする。情けない奴だ。
「……」
私はその場を後にした。西荻組に乗り込むため。
「ここが西荻組だな」
チャイムを押すとピンポーンと間抜けな音が響く。
「誰が居るか?」
鍵の開く音がした。さあ、誰が出てくる?
「な、なんでしょうか…」
なんだ、下っ端か…期待して損したぞ。
「上がるぞ」
「ちょ!アンタ誰だ!」
中は古汚い家という印象だ。後ろから声がする。
「おい、アンタ。何してんだ?」
振り向くと一際《ひときわ》目立つオーラを纏っている《まとっている》男がいた。
「お前の役職は?」
「俺か?若頭の西郷蓮だ。お前は?」
「そうか、若頭か…丁度いい、私について来い」
「待てよ、お前のこと何も知らねえんだよ。名前ぐらい教えろよな」
「…わかった、教えよう。その代わり私について来い」
「…いいだろう」
「私は零《れい》。紅ヶ咲《こうがさき》零だ。よろしくな」
「ああ、それで?ついて来いってのは?」
「直ぐに終わる用だ、いいからついて来い」
「詳細も無しかよ」
なんだこいつ、面倒臭いな…
「いいからついて来いって言ってるだろ」
「へいへい、ついて行きますよっと」
警戒心が強いのか弱いのかわからんなコイツ。
ここが私の家だ。家を出る前は2時前だったが…すでに5時になり朝日が登り始めている。
「そこに座っておけ。茶を出す」
「丁寧にどうも」
紅茶を用意する。茶葉をポットに入れ、湯を沸かす。
薬をカップの中に入れ、紅茶で溶かす。
「はい」
「おう、ありがとさん」
私は薬を入れていない紅茶を飲む。
「それで?なんで俺をこんなところに?」
「整形の話だ、顔が割れているんだろう?」
「…お前、どうして知っている?」
「ダチから聞いた」
「そのダチって…」
若頭の男は尸《しかばね》の様に寝た。計画通りだ。
私はその男を引きずりながら厳重な扉の前に行く。 ここには企業秘密の器具がある。
扉を開け、器具に男をセットする。
「まずは顔だよな」
私の造るクローンには皆共通点がある。黒い髪と赤い瞳だ。
私と同じ黒い髪と赤い瞳…言うならば製造元を記名しているだけだ。私が造りましたって事だ。
眼球を取り換え、髪を黒くする。
これで第一段階が終了。
次はコイツの記憶を確認して、記憶を追加する。
「ほう…努力してたんだなお前」
今更だが麻酔はしている。麻酔無しは可哀想だろ?
「よし、出来た。起きろーおーい」
「ん…オリジナル」
オリジナルは私の事だ。大抵のクローンは私のことをオリジナルと言う。
「起きたか、私。お前の名前は言えるか?」
「…蓮」
「よし、じゃあこれ」
GPS端末を渡す。これがないと管理できないからな。
「ああ、わかった」
「連絡先を交換したら持ち場に戻れ」
「了解」
これが私のクローンの造り方だ。
コメント
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みぅ🤍🥀です。 第1話、読み終わりました……重くて綺麗なダークさがすごく好みです。零の「造る」という冷めた口調と、紅茶に薬を入れる手際の良さに背筋がゾクッとしました。クローンに自分の印(黒髪・赤い瞳)を刻むところ、歪な所有欲と美学を感じて鳥肌が立ちました。蓮がどんな風に変わっていくのか、続きが気になります。素敵な作品をありがとうございます🌙