コメント
0件
僕の声どこいったんだろう?
ザワザワ…
朝の駅はいつも騒がしい。
誰かが話す声。
遅刻の足音。
電車の通った時の風の音。
そのてん、僕にはどんな音がある?
どんな…声がある?
ドンッ!
!!ぶつかっ…
「わぁ!ごめんなさい!」
声がないから…こういうときどうすればいいの…?
ぺこぺこっ
あたまさげとこう…
「!制服…同じ高校ですね!先輩…3年生ですか?僕、2年です!」
えっと…
コクリ
「…?」
…
「ぇ、えっと…」
…困っちゃうな…はやく行っていいよ。
「あの、一緒に行きませんか?」
!?
いいですよ?いいんですけど!話せないって不便っ…。
コクリ
「ありがとうございます!」
電車に乗り込む。いつもと少し違う気持ちで。
「あのっ初対面…で失礼かも何ですけど、話してくれないんですか…」
…話せないってどうすれば伝えられる?
気持ちってどうすれば伝わる?
言葉がない僕の伝える手段って何?
今までどうしてきた?
僕はうつむいて、考えていた。
「話せないんですか?」
!!コクリっ
「そうなんですね!ごめんなさい。じゃあ…」
ばいばいかな?僕といても暇だろうし。
「大変ですね。じゃあ大変っておかしいですね!ははは」
話してくれるの?どうして笑いかけてくれるの?僕は返せないのに。話したい…。
“話したい”…?
こんな気持ちいつから忘れてたんだろう?
今まで諦めてたから、僕の言葉。
届かせたい
ちゃんと、かえしたい
ちょっとでいいからっ
伝えさせてっ?
「ありがとうっ」
「!?」
あぁ…声が…声が…!
「先輩、俺先輩のこと知ってたんです。ずっとなおきり先輩の声ききたかったんです。」
嬉しい。こんなの好きになってもおかしくないよね?
「話しかけてくれ嬉しい」
「俺も話したかったんです」
「タメ口でいいよ?名前は…?」
「俺ゆあん!ゆあんくんってよばれてるよ」
「ゆあんくん!」
僕の声を、言葉を、きいてくれる人がいる。
それだけで嬉しくなる。
好きになる。
また、伝えるよ。