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いつも通りだった。噂はまだ出回っているが、昨日のような怖さは少ししかなかった。
だが、その怖さが襲ってくるのは昼休みの終わり頃だった。
「……聞いた? 」
「聞いた、聞いた。写真回ってるらしいよ 」
その一言が日菜子の耳に引っかかった。
(…写真?)
胸の奥がザワつく。教室を見渡すと、スマホを伏せる人、気まずそうに目をそらす人がいた。
「桜井さん」
その時、クラス委員長の川瀬さんが声をかけてくる。いつもより表情が硬い。
「変な噂、出てるから…一応言っておくね」
「…変な噂?」
川瀬さんは少し迷ってから、小声で言った。
「神崎くん達と特別な関係なんじゃないかって。3人の下校中の写真、誰かが撮ってたみたいで…」
川瀬さんの言葉に頭が真っ白になる。
(そんな……ただ一緒に歩いて帰ってただけなのに)
それから、授業中も集中することが出来ず、黒板の文字が滲んで見えた。
誰かが笑う声がすると、自分の事じゃないかと肩が跳ねる。
放課後、昇降口に向かう途中。
「ねぇ、調子乗ってない?」
知らないクラスの女子の声が背中に刺さった。
「神崎くん達と住んでるからってさ」
「良い気になってんじゃねぇよ」
足が止まり、息が詰まる。
何か言わなきゃと思うのに、頭が働かず言葉が出てこない。
ーーその時だった。
「その話、俺たちにも関係あるんだけど。」
ハッキリとした声が空気を切り裂いた。
振り向くと、直人が立っている。少し奥に恒一も。
「写真も噂も事実じゃない。」
恒一は落ち着いた声で続ける。
「家庭の事情で一時的に一緒に過ごしているだけだ。」
「それって言い訳じゃ、」
「言い訳じゃない。」
直人が遮った。
「勝手な想像で人を傷つけるの、楽しい?」
その場の空気が凍りつく。女子たちは気まずそうにしながら、何も言わずに立ち去った。
日菜子はその場に立ち尽くしていた。
「……ごめんなさい」
やっと絞り出した声は震えていた。
「私のせいで、2人に迷惑を……」
「違う。 」
恒一は即座に言った。
「原因は噂を広げた奴らと写真を撮った奴らだ。」
直人もいつもより静かな声で言う。
「我慢しなくていいよ。こんなこと初めてだもんね、怖かったよね。」
その言葉を聞いた瞬間、張り詰めていたものがほどけた。
「……怖かった、です。」
日菜子は俯いたまま、言った。
「自分の居場所がなくなる気がして…」
沈黙の後、恒一がゆっくり口を開く。
「君の居場所は、噂なんかで消えない。」
「少なくとも俺たちは君の居場所を消させる気はない。」
それを聞いて、我慢していた涙が流れてきてしまった。2人はそんな私を見て、誰も居ない教室へ入った。
「ここなら声を出して泣いても構わない。」
「そうだね。日菜子ちゃんが我慢する必要はないよ。」
直人が日菜子を受け止める。その後ろから恒一が頭を撫でる。
日菜子はさっきの出来事や2人の行動に声を上げて泣いた。
日菜子が泣き止んだ後、今日は日菜子ちゃんの好物にしようとか、疲れただろうから料理の手伝いはしなくていいなど甘えさせてもらった。
日菜子には「安心」とは別の感情が芽生え始めていた……
はい!第4話終わりです!どうだったでしょうか?感想お待ちしてます!お疲れ様でした!