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腐ったうさぎ
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#創作
えぬた
505
2
アオバ .
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『バンドマン』
この言葉を聞いて、思い浮かべる顔は沢山あるだろう。派手な髪色で、ハッキリとしたメイクをしている人?テレビに出て、爽やかな恋愛ソングを歌っている人?
僕はそんな人ではない。小さなライブハウスで、ほとんどいない観客に対して喉から声を出してひたすら歌っているだけだ。
ちっぽけで、なんか嫌だ。
僕が、こうなると知っていたのならバンドマンになんてなっていなかった。なりたいという安直な思いでギターを衝動買い。必死に練習してメンバーを集めて始めたが、誰も見てくれない。メンバーにも頭を下げたいくらい。みんなテレビに釘付けだ。こんな下手な歌よりも、みんなは大物に注目するんだなあ、と身に染みて感じて悲しくなる毎日。
いま若者の間ではやっているバンド、『Re:Re:ラブ』。
どこのテレビ局でも、CMでも、街中でも。大体こいつらの曲が聞こえてくる。
名前からして馬鹿馬鹿しい。僕はこのバンドが嫌いだ。 こんなキラキラとした青春とは無縁の生活をしていた僕にとって、それは変な香水臭くて、苦くて、目が痛くなる。
ギターボーカルの女、アオイはThe・バンドマンの女!!!って感じで、いちばん苦手なタイプだった。
どこかの番組でインタビューを受けていた時に、「高校時代はモテまくりで、バレンタインチョコ郵送してくる人とかも居ましたもん」と笑ってニコニコしていた。嫌いだ、こういう女。
今日も今日とて、小さなライブハウスに機材を並べていた。
『おいヒロ!お前そこ位置後ろすぎるだろ』
なんて、メンバーから注意されて小さくなった。機材置くだけでこんな怒鳴られるなんて…
今日のお客さんは、10人。ちょっといつもより多くてギターのネックを握る手に汗をかく。
見てろよ、と言わんばかりに黄色のギターをかき鳴らし、声を出して歌った。
結局、大失敗だった。声は裏返り、ギターの弦も切れた。とことんツイてない。これって逆に奇跡なのかな?なんて思いながら宝くじ売り場の前で2秒くらい足を止めて、また歩き始めた。
イライラしたまま、1人でご飯を食べに行った。いつもの繁華街の、いつもの中華料理屋。
カウンター席に座り、エビチリを頼む。料理が来る前に水を一口飲んだ。少し喉がきりっと痛む。ライブのせいだ。
エビチリが机の上に置かれた。いただきます、と手を合わせ、箸でひとつエビを取って口に運んだ。美味しい。甘辛くて、美味しさのあまり口の中でお祭り騒ぎしていた。
味わってゆっくり食べていたら、お店の扉が一気に開き、女の人の声が聞こえてきた。それはどんどん隣に近づいてくる。
ドカっと席につき、帽子を外した。僕はそのボサボサの頭を見て、思い出した。
「アオイ…」
と思わず声に出してしまった。女もこっちを見て目を丸くした。
「…ヒロさん!?!?」
え?
なんかおかしい
「え、なんで僕の名前…」
と言い終わる前に、両手を握られた。
「ヒロさんの…ヒロさんのバンドの…!!」
「大ファンなんです!!!!!!!!」
コメント
4件
なんかあんまり上手くかけてなくて
わあ、これは熱い1話だった…! 小さなライブハウスで必死に声を枯らしてるヒロと、街中で大ブレイクしてるアオイ。 ギターケース背負ってエビチリ食べてるシーン、めちゃくちゃリアルで刺さったわ。 最後の「大ファンなんです!!!!!!」で全部ひっくり返った。続きどうなるんだこれ…!! バンド×青春の温度感、ガチで好きです股さん🔥