テラーノベル
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蛇様の祠が何度も壊され、蛇様にもその犯人が分からない。
そうなった村は、大混乱に陥っていました。
「おめえがやったんじゃねえか? 最近、
よく出かけているべ」
村人の一人が、別の村人へ疑いの目を向けます。
「違うべ! おらが狩りの役目だってことは、みんな知ってるべ!?」
疑われた村人が、慌てて言い返しました。
「ガヤガヤ……ザワザワ……」
村人たちの間で、疑いの声が飛び交います。
村長は、騒ぎを見つめながら、重々しく口を開きました。
「仕方ない……。村の掟には、あの社へ頼ってはならぬと言われているが……」
「いけません!?」
側近が、思わず声を上げます。
「あの山の社の神に、頼るおつもりですか……?」
すると、村人の一人が、以前から気になっていたことを尋ねました。
「なあ……あの社は、時々きれいにしているが、なんでみんな、お参りしねえだか?」
「それは……」
側近が言い淀むと、村長が代わりに語り始めました。
「村の長に代々伝わる話だ。今もそのお力があるかは分からないが……あそこの神様は、どんな願い事でも叶えてくれる神様のようだ」
「ですが……それには、大きな代償が必要です。 生贄などが……」
側近が、声を落として続けます。
村長は、親から聞いていた話を思い出すように話しました。
「あまりに願いがよく叶うものだから、調子に乗って生贄にしすぎて、村の人の数が減りすぎたこともあったそうだ…」
「だから、十だったか二十代だったか前に『これ以上、あの神に頼ってはならん』と言われていた近くに行くのも、最低限にするようにと。神の怒りを買わぬよう社は綺麗にはしていたが…」
「それに、あの社の神は、欲に満ちた者はあまりお好きではないようです」
側近が、古い記録を思い返しながら続けました。
「願いは叶っても、間違った願いをした者は……悲惨な最後を迎えたとか。」
「誰かを助けたい、仇を討ちたい、復讐を遂げたい……そういった願いの際には、特に災いはなかったと記されておりますが……」
「……でも、蛇様にも分からねえ以上……」
村人の一人が、不安そうに呟きます。
「それでも、死人が出るのは……!」
村長は、しばし黙り込んだ後、もう一つの方法を口にしました。
「……一応、もう一つある」
「もう一つ、ですか?」
「それは、記憶を捧げることだ。あの神は、人の記憶を食べることが大好きな神らしいからな……」
側近が、驚いた顔をします。
「記憶の儀式の方法は、途中で失われていて……それで、やむを得ず子供や女子を生贄として差し出すようになったのでしたな。
あの記録によると……」
村人たちは、互いに顔を見合わせました。
そして一言。
「神様が、記憶を直接取るんじゃないだか?」
「ええ最初はそうしていましたが…
…見境なくなく全て奪ってしまうようなのです。 それ以来儀式で必要な分だけ捧げていたよう ですが失われてしまっている以上その手はやはりもう使えません…」
側近はさらに続けます。
「おそらくは全て、全員もれなく記憶を取られることになるかと…それも、命に関わるくらい、それが嫌なら…子供か女を捧げるしかないですな」
「…………」
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その話を、こっそりと聞いていた者がいました。
そう、蛇様です!!!
蛇様は、夜になると村を抜け出し、その社へ向かい始めました。
「しゃー……しゃー……」
暗い山道を、蛇様は進んでいきます。
「しゃー???」
社の前にたどり着いた蛇様は、辺りを見回しました。
「しゃー、しゃー!!」
その時。
大きな声が、社の中から響きました。
「しゃー!?」
蛇様が、驚いて身を引きます。
「しゃー! しゃー!!」
蛇様は、必死に何かを訴えかけました。
神は、しばし黙って蛇を見つめます。
「…………」
神は、蛇の伝えたいことを理解したようでした。
神は、少し呆れたように笑います。
「しゃー!!」
蛇様が、嬉しそうに鳴きました。
しかし、神は続けます。
「…………」
神は、社の外へ目を向けました。
「しゃー……」
蛇様が、悲しそうに鳴きます。
「しゃー!!」
蛇様は、迷いなく答えました。
神は、蛇の様子を見て、面白そうに笑います。
「…………」
神の声が、社に響きます。
神は、蛇を見下ろしながら続けました。
「…………」
神は、しばし考え込みました。
そして、蛇へ告げます。
「……!!」
ーーーーー
その夜。
村長の夢の中で、声が響いていました。
「うわっ!!!」
村長は、思わず飛び起きました。
近くで寝ていた側近も、驚いて身を起こします。
「!! 如何なさいましたか!?」
「夢で……、金でできた槍を持ってこいと……
あの山の社に!!!」
「なんですって!?」
側近は、目を見開きました。
「一体、誰が……!? まさか……!?
あの社の神が……」
ーーーーー
次の日。
広場に、村人たちが集められていました。
「金でできた槍だと……?」
村人の一人が、驚いた顔をします。
別の村人が、思い当たることを口にしました。
「たしかに、金が取れるという穴があるが……あそこは禁足地だべ。」
側近は、周囲を見回しました。
「それより……蛇様はいらっしゃらないようですね……。ふむ???」
村長は、重々しく口を開きます。
「だが、あの社の神がお望みなのだ。掟にもある……万が一、神から要求があったら、
必ず従うように、ともな」
「…………」
村人たちは、互いに顔を見合わせます。
側近が、声を張り上げました。
「誰か、行ってくれる者はおらぬか!?
槍に使う分以外の金は、報酬としてやろう!!!」
「なら、おらがやるべ!!!」
「いや、おらだべ!!!」
金がもらえると聞き、村人たちは我先にと声を上げ始めました。
側近は、三人を指差します。
「よし……そこと、そこと、そこの三人で行ってまいれ。もし何かあったら、全滅するゆえ、他の者は残るように……」
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~暗き禁足地~
「縄を使って穴の底まで降りてきたべが……とても暗いべ……」
村人の一人が、辺りを見回します。
「ああ……」
別の村人も、警戒しながら答えました。
「おい……これって、まさか……!?」
三人が進んだ先には、頭に布を被せられた屍が、いくつも並んでいました。
「ごくっ……。話に出ていた生贄か? あの社に近いからな……ここ……!」
「……ああ。たしか、欲に満ちたやつは嫌いだと言ってたよな、あの神様……」
「槍の分だけにするか……。」
三人は、屍を見つめながら、慎重に話し合います。
「……異議なしだべ……」
「ごくっ……」
「ガタガタ……」
恐怖に震えながらも、三人は穴の中を歩き続けました。
そして、ついに……。
「金が、沢山あるべ……」
村人の一人が、目を輝かせます。
「少しくらいは……」
別の村人が、金へ手を伸ばしかけました。
しかし、三人目の村人が首を振ります。
「そうしたいが……やめるべ。村に災いが起きるより、ましだべ」
「……そうだな」
そうして、三人は必要な分だけ金を袋に詰め、村へと戻りました。
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「本当に、金があったのか……?」
村長が、持ち帰られた金を見つめます。
「それと…穴の中に、屍が沢山あったべ。多分……生贄になったんだべ」
村人の一人が、声を落として答えました。
「でしょうねえ……」
側近も、険しい顔で頷きます。
「それゆえ、禁足地となっていたと考えれば、辻褄が合いますので……。必要以上には取らぬことです。あそこは、あの神の土地でもありますから……」
「そうだな……。今回だけだべ。入るのは」
「うんうん、ガタガタガタガタ」
「もう欲にかられて、あの穴へは行くなよ??」
村長も、全員に釘を刺しながら、金を見つめついに、決意します。
「すぐに槍にして、社へ持っていくぞ!」
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神の声が、村人たちの頭に直接響きました。
その声には、激しい頭痛が伴います。
「うぐっ……頭が……!!!!」
「ぐっ……!!!」
村人たちが、頭を押さえて苦しみます。
村長も、顔を歪めながら、必死に答えました。
「……っ……はい……、お望みの槍でございます」
「そのためとはいえ……、神の土地である禁足地に入ったこと、深くお詫びいたします……」
神の声が、再び響きます。
「……!!」
村人たちは、驚いて顔を上げました。
「えっ……!? 蛇様が……なぜ……!!」
村人たちは、恐怖に震えました。
「ぐっ…頭が…、それに怖いべ…この神様…」
別の村人も、青ざめながら呟きます。
「ああ……これ以上、頼るべきではないと
いう話は、正しかった……べ…」
村長は、必死に蛇へ呼びかけました。
「蛇様!!! まさか……ご自分を捧げて、
あの騒ぎを収めようと……!!!」
「良いのです……!! もう、騒ぎは起こしませぬ!! 他人を疑ったりもしませんから!」
村長は、涙を浮かべながら訴えます。
「こちらへ戻ってきてくだされ……!!!」
しかし、神は冷たく笑いました。
「…………」
村人たちは、顔を伏せました。
「なんてことだ……。おらたちがお互いを信じなかったばっかりに……。」
「蛇様……!」
側近は、静かに告げました。
「社の神よ…決して奪ったりなどはいたしませぬ。 皆……もう 立ち去りましょう」
そして、神へ向かって頭を下げます。
「神の要求には従う。それが、掟でしょう」
村長も、涙をこらえ重々しく頷きました。
「皆、帰るぞ蛇様、決して忘れませぬ……泣」
「うっ……蛇様……!!!」
村人たちは、涙を流しながら、その場を去っていきました。
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そうして、その金の槍に、蛇は巻き付きました。
金の槍に、蛇様の体が絡みつに槍の装飾となっていきます。
そして、その蛇は……神となったのです。
正しさと代償を求める神の、一部となりました。
神は、遠い時代で、正蛇の槍と呼ばれる美しい槍の姿となったのです。
そして神は、取り戻したお力で、祠を壊した犯人を すぐに突き止めました、
次の日、壊された社の前には
村人たちが 知らない男が血を流し倒れ
こと切れていたそうです。
村人達は、神の力と確信しあの社には二度と決して近づいては行けないと別の掟を急ぎ作りました。
その後、蛇との約束を果たした神は、そのお姿で、 山の社から、人知れず飛び立ち去ったのです。
それからさらに、長い長い時が流れました。
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???
「ほう…、武田家でそのようなことが…」
「で…間違っていると…、何度も警告したのに…気がついて貰えなかったと…」
「…それで、茜の元へ行って貰えないかということか…。武田の家宝楯無よ???」
「だが…面白い、その者とひとつになれば、さらに力を得られるやもしれぬわ。」
「記憶の贄と…信仰と力を得るために…。
特別にその要請に答え行ってやろう、」
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駿河国 ???
「…………うっ」
信虎は、ゆっくりと目を開けました。
「ここは……、どこじゃ……???」
すると、どこからともなく頭痛を伴う声が響きます。
「うぐっ…頭が…、」
「誰じゃ…!!!」
信虎が、驚いて声を上げます。
「…………」
信虎は、思わず目を閉じました。
そして、次に目を開けた時。
「はっ……!!」
「ここは、どこじゃ……??」
辺りを見回し、しばし呆然とします。
「むっ……寝ておったのか……?」
信虎は、ふと手元にあるものへ目を向けました。
「ん……? この槍は……???」
金色に輝き、蛇の巻きついた装飾の見慣れぬ槍。
それを見つめていると、なぜか胸の奥から、ある思いが湧き上がってきました。
「……なぜだ、」
「娘に…茜に渡さねばならぬ気が……。」
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コメント
1件
うわあ……読了しました……。すごく切なくて、胸がぎゅっとなりました……。(´;ω;`)💔 蛇様、自分の身を捧げて村のために祀られる決断をしたんですよね……「優しくて愚か」って神様が言ってたけど、まさにその通りだなって思いました。でも、そういう自己犠牲の美しさが、この物語の芯だと思うんです。 それに、金の槍に巻き付いて、神の一部になるラストシーン。すごく神聖で、でもどこか物悲しくて。正蛇の槍、めっちゃ美しい響きです🌙🥀 琴寧先生、今回も重くて深い世界を見せてくださってありがとうございます……! 本当に、ひとつひとつの描写が丁寧で、言葉が心に刺さりました。次のエピソードも、静かに楽しみにしてますね……🤍