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お昼ご飯の川魚を取りに、いざ班の皆で川へ。
「つめたーい!」
「花織これは転けたら終わりだよ!」
先に飛び込んでいったさらと結が教えてくれる。
「こっちの方魚多いぞー。」
風雅が真面目にそんなことを報告してきたと思うと、
「取ったぁぁぁあっ!」
早速翼が魚を捕獲して叫んだ。
「え、結構でかいじゃん!」
「一番美味そうなやつ捕まえた!」
男子二人は興奮気味だ。
私もびちゃびちゃ川の中へ入っていく。
氷水のように冷たい川の水。
一瞬で足先が冷えていくのがわかった。
片足の直ぐ側を小ぶりのあゆが泳いでいった。
迷わず追いかける…が。
「あっ、まって、ちょ…意外と早くない!?」
そう簡単に捕まらない。
夢中になって追いかけていく。
「私のご飯に、なってくだ、さぁぁぁあ!?…わぁ!」
一瞬体が宙に浮いた。そして水しぶきの音と同時に、 体中が一気に冷えた。
「「花織やっぱり転けた!?」」
「「大丈夫か!?」」
みんなが駆け寄ってくる。
川自体は浅いので、溺れるなんてことは全くないのだが…。
「さすがに寒いかも…あはは。」
結とさらが手を貸してくれる。
立ち上がって一度、陸へ上がっていく。
上がりきったタイミングで、ずっと待機していた飯田くんが、タオルを広げて待ってくれていた。
駆け寄ると、大きいタオルを肩からかけられ、小さいタオルで濡れた髪を拭かれる。
「飯田くんって、やっぱり面倒見いいよね。」
されるがままにそう呟いた。
すると飯田くんは、私の顔をじっと見た。
それからそっと耳元で返事をした。
「花織さんだから手をかけたくなるんだよ。」
「…え?」
言葉の意味を聞き返す間もなく、結とさらが追いかけてきた。
「花織の分は、翼が取ってきてくれるってよ。」
「だから花織は着替えておいでーって、二人が言ってた。」
「わかったぁ。」
そう返事をして、私は更衣室へ向かった。
花織は女子二人に任せておけば大丈夫だろう、そう思っていた。
しかし。
「え、なんかあの二人距離近くね?」
まさか委員長が待機してるとは思わなかった。
「嫉妬かー?」
「うん。」
「あら素直。」
「やべ…。」
最近心の声がそのままでてしまう。
委員長への敵対心は隠せなくなってきている…。
「隠せてたことなくね?」
風雅に心の声を読まれたのか、辛辣なツッコミが飛んできた。
「まあでも、委員長は警戒しておいたほうがいいな。」
「なんで?」
「俺一回変な噂聞いたことあんだよな。」
その時俺は、花織を絶対に渡さないことを決心した。