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「おんりーが『会いに来た』って言えたこと、本当に胸が熱くなりました。一人で背負わなくていいって、仲間がいてくれるって、ちゃんと伝わってるんだなって。バラ園の再会シーン、静かに流れる時間が温かくて、読み終えたあとほっとした気持ちになりました。素敵な物語をありがとうございます🌹」
# エピローグ あの日の約束の続き
怪盗ローズ事件から一か月後。
街はすっかり平和になっていた。
市長の不正は明るみに出て、長年隠されていた真実も公表された。
そして――
怪盗ローズは姿を消した。
「最近見ないな。」
広場のベンチでドズルが言う。
隣にはおらふくん。
MEN。
ぼんさん。
いつもの四人だ。
「寂しいですね。」
おらふくんが笑う。
「でも平和になったってことだろ。」
ぼんさんが言う。
「確かに。」
MENも頷いた。
怪盗ローズが現れなくなったのは良いことだ。
本来なら。
でも。
少しだけ寂しかった。
怪盗ローズは悪人なんかじゃなかった。
少なくとも、俺達にとっては。
仮面の奥で抱え込んだ苦しみも、誰にも言えない孤独も、全部一人で背負おうとしていた。
あの日、俺達は再会した友達に
「もう、一人で背負わなくていい。」
その一言で何かが吹っ切れたのか、ローズは笑って去っていった。
それ以来、怪盗ローズは夜の街に現れない。
事件はなくなり、人々は平和を取り戻した。
それでいい。
本当に、それでいいんだ。
だけど夜空を見上げるたび、あの飄々とした笑い声が聞こえてくる気がする。
「元気でやってるか、おんりー。」
その答えが返ってこないことだけが、少しだけ寂しかった。
「おんりー元気かな。」
ドズルがぽつりと呟く。
あの日以来。
おんりーは表舞台から姿を消した。
連絡は取れる。
でも、以前みたいに頻繁には会っていない。
きっと今も、どこかで元気にやってるんだろう。
たまに届く短いメッセージを見れば、それだけで安心する。
会おうと思えば、いつでも会える。
だからこそ、無理に会おうとはしない。
それぞれの時間を過ごして、気が向いたらまた笑い合う。
そんな関係も悪くない。
……それでも、ときどき思う。
「今、何してるんだろうな。」
怪盗ローズじゃなくなった、一人の友達のことを。
「大丈夫ですよ。」
おらふくんが穏やかに笑う。
「おんりーさんですから。」
その一言に、誰もが小さく頷いた。
きっと大丈夫。
そう思っていた。
その時だった。
「誰がおんりーさんですからだよ。」
聞き慣れた声。
一瞬、時間が止まったような気がした。
四人が同時に振り返る。
そこに立っていたのは。
見慣れた緑髪を揺らし、どこか呆れたような表情を浮かべる青年。
おんりーだった。
「おんりー!」
ドズルが勢いよく立ち上がる。
思わず顔がほころぶ。
「久しぶり!」
「一週間ぶりだろ。」
おんりーは肩をすくめながら返す。
「僕にとっては久しぶり!」
「意味分からん。」
相変わらないやり取り。
何も変わっていない。
そのことが、なんだか嬉しかった。
思わず全員が笑う。
自然と笑顔が広がる。
その空気が心地よかった。
昔のおんりーなら。
こんな風に笑えなかった。
誰かと一緒にいることが怖かったから。
誰かを信じることも、自分の居場所を作ることも、きっと簡単じゃなかった。
だからいつも、一歩引いたところで笑っていた。
でも今は違う。
自然に笑って、自然にくだらないことを言い合って。
その輪の中にいることが、当たり前になっている。
その笑顔を見ているだけで分かる。
あの日、おんりーが選んだ道は、間違っていなかったんだと。
「で?」
ぼんさんがニヤニヤしながら聞く。
「今日は何しに来たんだ?」
おんりーは少しだけ視線を逸らし、何でもないような顔をする。
「別に。」
その返事に、ぼんさんはますます口元を緩めた。
「嘘つけ。」
おんりーは小さくため息をつきながら苦笑する。
図星を突かれたときの反応は、昔からあまり変わっていない。
そんなやり取りに、周りのみんなもくすっと笑った。
「……。」
おんりーは少しだけ視線を逸らした。
本当は。
昨日の夜から、ずっと悩んでいた。
ここへ来るかどうか。
みんなに会うかどうか。
何度も考えて、そのたびに「やめておこうか」と思った。
昔の自分なら。
きっと、そのまま来なかった。
一人で答えを出して、一人で終わらせていた。
でも。
今日は来た。
少しだけ勇気を出して。
みんなの顔が見たかったから。
会いたかったから。
それだけだった。
「会いに来た。」
小さな声。
少し照れくさそうで、それでもちゃんと届く声だった。
一瞬。
全員が固まる。
あのおんりーが、そんなことを口にするなんて。
誰も予想していなかった。
「今なんて?」
ドズルが思わず聞き返す。
「会いに来た。」
少しだけ照れながらも、おんりーは言い直す。
「もう一回。」
「会いに来た。」
「録音したい。」
「うるさい。」
照れ隠しのように返すおんりーに、みんなの頬が緩む。
笑いが起こる。
その笑いにつられて。
おんりーも思わず笑ってしまった。
昔なら照れて誤魔化していた言葉を、今はちゃんと口にできる。
そんな小さな変化が、みんなには何より嬉しかった。
そんな何気ない時間が嬉しかった。
特別なことじゃない。
宝探しでもない。
怪盗でもない。
ただ友達と話しているだけ。
他愛もないことで笑って。
くだらない話をして。
それだけの時間。
でも。
それがこんなにも心地いいなんて。
こんなにも幸せだなんて。
昔のおんりーは、知らなかった。
だから今は、この何気ない時間を大切にしたいと思えた。
「夕方」
五人は街外れのバラ園へ向かった。
誰かが提案したわけでもない。
気づけば、自然と足が向いていた。
十年以上前。
五人が出会った場所。
笑い合って、ぶつかって。
いろんな思い出が詰まった場所。
久しぶりに訪れても、景色はあの頃と変わらない。
だからこそ、自然と笑みがこぼれた。
「懐かしい。」
ドズルが周りを見渡しながらつぶやく。
あの頃と変わらない景色に、自然と表情が緩んだ。
「あの時、転んで泣いてたよな。」
ぼんさんが思い出したように笑う。
「ぼんさんも転んでましたよ。」
おらふくんがすかさずツッコむ。
「俺は泣いてない。」
「泣いてました。」
「泣いてない。」
「泣いてました。」
子どものような言い合いが始まる。
何年経っても、こんなところは変わらない。
そのやり取りを見ているだけで、自然と笑みがこぼれる。
おんりーは思わず笑った。
「……ほんと、変わんないな。」
その一言には、呆れと懐かしさと、少しだけ嬉しさが混じっていた。
すると。
ふと。
風が吹いた。
やさしい風に揺られて、バラが静かに揺れる。
赤。
白。
黄色。
色とりどりの花が、夕日に照らされて優しく輝いていた。
「綺麗ですね。」
おらふくんが静かに呟く。
誰も言葉を返さない。
ただ、それぞれが目の前の景色を眺めていた。
おんりーは、一輪の赤いバラに目を留める。
母が好きだった花。
父が守ろうとした花。
そして。
自分の象徴だった花。
あの頃は、その赤い花に自分を重ねていた。
誰にも頼らず。
誰にも弱さを見せず。
一人でも咲き続けることが強さだと、そう信じていた。
でも今は少し意味が違う。
隣を見れば、笑っている仲間がいる。
帰ってこられる場所がある。
だから、今なら分かる。
本当の強さは。
「一人でも咲く強さ」
じゃない。
「みんなで咲く強さ」
なんだと思う。
そう思えた自分に、おんりーは小さく笑った。
その時。
ドズルが言った。
「なあ。」
「?」
「来年もここ来ようよ。」
思いつきのような一言。
でも、その言葉にはどこか温かさがあった。
おらふくんが頷く。
「いいですね。」
「賛成。」
MENも迷わず答える。
「俺も。」
ぼんさんも笑って頷いた。
そして。
全員の視線がおんりーへ向く。
「おんりーは?」
おんりーは少し驚いた。
自分の返事を、みんなが当たり前のように待っている。
そんなことが、少し照れくさかった。
昔なら。
きっと断っていた。
「その日は予定がある。」
そんな適当な理由をつけて、距離を置いていたかもしれない。
でも。
今は。
自然に答えられた。
「行く。」
その一言だけで十分だった。
四人の表情がぱっと明るくなる。
「約束だからな!」
「忘れるなよ!」
「逃げないでくださいね。」
「うるさい。」
照れ隠しのように返しながら。
おんりーも笑った。
夕日がバラ園を優しく照らしていた。
あの日。
途中で終わってしまった約束。
もう二度と会えないと思っていた友達。
失ったと思い込んでいた居場所。
全部。
あの頃のまま戻ったわけじゃない。
時間は流れて、お互いに少しずつ変わった。
だからこそ。
今ここにあるのは、新しく積み重ねた居場所なんだ。
五人で。
笑って。
話して。
また来年も会う約束をして。
そんな当たり前が、何より嬉しかった。
バラは毎年咲く。
そのたびに、おんりーは思い出すだろう。
一人で生きようとしていた自分を。
そっと手を差し伸べてくれた仲間たちを。
そして。
「また来年。」
そう笑って交わした、今日の約束を。
真紅のバラは、今日も静かに風に揺れていた。
おしまい 🌹✨
ここまで読んでくださりありがとうございます!
書きたいことを詰め込んだらこのシリーズの中で一番文字数が多くなってましたね💦
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このお話のテーマ(バラ・怪盗)
次書いて欲しいテーマとかあったらここのコメントにお願いします♪
#おらふくん
ばななそーだ🍌🍹
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