「承太郎…君が好きだ…!」
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ぼくは承太郎が好きだ。冷静沈着でかっこいい彼が好きだ。でも恋人になんかにならなくていい。彼はみんなから愛されていてみんなから必要とされている。だからぼくだけ特別なんて、あってはならないんだ。でもこの気持ちは抑えることはもう難しい。承太郎が他の人と付き合ったりしてくれればいいのにな…。
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承太郎に好きな人が出来たらしい。承太郎の周りにいる女の人からの噂だ。承太郎の好きな人は真面目で冷静で、でもたまに最高に可愛いい人…らしい。少しでも期待したぼくが馬鹿だった。話を聞く限りとても可愛らしい人なんだろう。承太郎の恋が実るといいな…。ぼくの気持ちも抑えられるだろう。
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あの噂を聞いてから、ぼくは承太郎と少し距離をとった。『承太郎の好きな人』との関係が進んで欲しいからだ。ぼくがいると邪魔になってしまう。
「…のになぜ!君は着いてくるんだ!承太郎!」
学校からの帰り道、何故か承太郎が後ろに着いてくる。
「…嫌なのか?」
嫌じゃない。違う。そういう訳じゃあない!君のついて行くべき相手は僕じゃないだろう。なぜぼくの後ろを着いてくるのか…。こっちは君のために距離を取ろうとしているのに。
「なんの用なんだ。用がないなら忙しいから今度にしてくれ。」
「…」
無言で見つめてくるんじゃあない。君身長高いから怖いんだよ。
「…悪かった。また出直す。」
…ふぅ。これで一旦大丈夫だ。さて、帰るとするか。
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「…」
「…」
…今日も着いてくるのかっ。なんなんだ。何を考えているのか分からないぞ。
「おい花京院。お前好きな人居んのか。」
…え。まさか君からそのような話をしてくるとは…。
「い、居ないよ。そんな人。承太郎はどうなんだ?噂になっているが。」
「俺は居るぞ。」
嘘をついてしまった。しかし、本当にいるんだな。好きな人。もう少し聞くか…。いやいや。これ以上探りを入れるのは承太郎と相手の方に失礼だ。やめてこおう。
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「…ごめん承太郎。昨日は嘘をついた。」
「本当はぼく、いるんだ。好きな人…」
ぼくは自分の顔がとても熱くなっているのを感じた。目の前に本人がいるのだから、仕方がない。
「な、…。誰だそいつは。どんなやつなんだ。教えやがれ。」
少し怒っている…?なぜ君が怒るんだ。嘘をついていたから…?しかし教えろと言われても。本人に言えるわけが無いだろう。
「それは…言えない。君には言えない。すまない。」
「…」
機嫌を悪くさせてしまった。しかしなぜそんなに怒るのだ。
「気を悪くしたなら本当にすまない。」
「…別に怒っちゃいないさ。すこし気になっただけだ。」
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次の日の朝、僕はいつも通り学校へ行った。いつものように教室に行くと、承太郎がぼくを呼んだ。
「おい花京院。 お前放課後暇か?」
周りがザワザワしている。そりゃそうだ。あの『空条先輩』が2年生の教室に来ているのだ。
「暇だけど…。なにか用でも?」
「いや。デートしようかと思ってよ。 暇なら校門に来い。待ってるぞ。」
な、え…?まさかまさか。承太郎の好きな人って…いやいやそんなはずは。きっとぼくの勘違いだ。全く。承太郎はぼくのこと、友達としか見ていないんだから。
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…とか思いつつ結局期待してしまう自分が鬱陶しい。放課後になるまで期待してしまう自分が嫌になる。僕はそのまま校門まで向かった。
「空条先輩! このあとお茶でもどうですか!?」
「JOJO!私と一緒に帰らない?」
…とてもじゃないけど近づける感じじゃあ無いな。用事があるとかでそのまま通って行こう。やはりぼくみたいな人が承太郎とで、デート…なんてするもんじゃあないよな。
「鬱陶しいぞこのアマ。 俺は人を待っているんだ。 お、ちょうど来たじゃあねぇか。」
うっバレた。やはり一緒に帰るしかないようだな…。
「お待たせ承太郎…。」
す、好きな人とデートか…。こんなに夢のようなことが起きてていいのだろうか。…承太郎は好きな人と一緒に帰らなくていいのだろうか。
「承太郎、いいのか? ぼくじゃなくて君の好きな人と一緒に帰らないと。」
「? あぁ。 今一緒に帰ってるぞ。」
「え…」
ちょっっっとまってよ!いまなんて!もしかして…。ぼくは少し考えた。しかし、もう抑えられない。もしかしたら、という期待をしてしまう自分がいやだ。それなら全部伝えて振られた方がスッキリする。
「承太郎…ぼくは君が好きだ!」
「どうしようもなく好きなんだ! だけど君は好きな人がいるといった! だからぼくはなるべく君から距離を置こうとしていたんだ! しかし君はぼくが勘違いするようなことばかりして! 何がしたいんだ!」
目頭が熱い。涙で顔が滲んで見える。あぁ。承太郎。君は今どんなことを思っているだろう。ぼくに好きだとかいわれて気持ち悪がっているだろうか。
「…それは本当か花京院。」
「本当だよ。ぼくは承太郎が好きだった。」
「なら俺とお前は両思いだな。」
…。まさか…。承太郎の好きな人って…ぼくだったのか…?
「…本当かい?承太郎…!?」
「あぁ。 俺なりに頑張ったつもりだったんだが。 やはり気づかれていなかったのか。」
「好きだぜ花京院。 愛してる。」
ぼくは涙が一気にこぼれた。嬉しさのか悲しさなのか怒りなのか…。そんなことはどうでもいい。
「嬉しい…。 ぼくも大好きだ。 愛しているよ承太郎…」
承太郎はぼくに顔を近づけ、唇を軽くくっつけた。嬉しい。ぼくは好きな人とキスをした。
「正直、お前に好きな人がいるという話を聞いた時…妬いたぞ。」
「…。ふふっ。 意外と可愛らしいのだな。」
ぼくたちはこの日、恋人同士になれたのだ。
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晴れて恋人になれたぼくたち。この後のことはまた別の話…。
おわり!!
コメント
7件
凄く素敵な承花でした! これからも頑張ってください!
スッゲー好き。天☆才☆か!?