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𓂃⟡.·
「 ーー 夢オチ ? 」
カーテンの隙間からチラリと見えるひとつの光で目が覚める。見覚えのある部屋 … と思いながら上半身をだけ体を起こして見渡すと明らかに自分の部屋だった。昨日のことが頭に過ぎる。確かに昨日家を出たはずなのに、ていうかどうやって家まで帰ってきたんだろう。そう考えるが全く答えが出てこないし不可解な事が多すぎる。
そうなると、思い浮かぶのはただひとつ。「 夢 、 かぁ … 」はあ、と少し長く、溜息混じりの息を吐くとともに起こしていた上半身をボフッと音を立てて倒す。けどほんの微かに私の右手からコンポタと菖さんの温もりが残っている、それだけが確かだった。その温もりは私にとってあの人、いいや菖さんの存在証明に思えた。何故そう思ったのかは分からないけれどまるで魔法にでもかけられたんじゃないかと言う程に信じきってしまう。不思議にふわふわした気持ちでベッドから出る。時刻は朝9時を回っていて、当然お父さんはいない。きっとパチンコに行ったのだろう。こんな最悪な環境に慣れてしまったという思考がふわふわしている気持ちに巻きつくようでもあり縛りつけるかのようにもあった。こんな事を考えても埒が明かない。溜息すら出ず、複雑な気持ちになった。いつも通りの退屈な休日。洗面所へといって顔を洗い、歯を磨く。歯を磨き終わって、ふとあの公園のことを思い出す。夢かもしれないことをはっきりさせたく、何も持たずに家を出る。外はとても晴天で、太陽がとても眩しい。相変わらず服はぶかぶかでとてもじゃない程に歩きにくい。けどどうしても確かめたい気持ちで引き返すことなど到底頭になかった。それから何分歩いただろうか、ひとつの公園が目に留まる。そこはとても広く、遊具も充実していた。もしかしたらここかもしれないと思い立ち止まって、まじまじ見てみるあの時確かに微かに見えた光とベンチの場所が一致している。だが休日だからかその公園には子供達で賑わっている。夜と昼でこんなに違うなんてと思いつつも本当にあったことにほっとする。居る可能性を考えつつ公園へと足を踏み入れ、あの人を探そうと辺りをキョロキョロと見渡す。夜だったからよく見えなかったけど、こんな感じだったんだと少し嬉しくなるもあの人の姿は見つからない。はあ、と小さくため息をつき、とぼとぼと重い足取りで公園から出ようとする、とすごい速度の何かとぶつかって尻もちをつく。痛いと思いつつもそのぶつかったなにかを見ると小さい女の子だった。鬼ごっこをしていて追いかけられて、逃げていたらしくたまたま逃げた先に私がいたようだ。悪いことしちゃったな、と思いながら女の子に大丈夫と声をかけようとする、が膝を怪我して大泣きしていて私の声は聞こえていない。あたふたしていると背後から聞き覚えのある声がする。私の前に出て女の子へと近寄ってはしゃがんで見ている彼女は傷口に軽く手を添える。「 いたいのいたいのとんでけ〜🎶 」一瞬見えた輝きとともにその傷は消え女の子も泣きやみ不思議そうな顔で消えた傷口を見ては、目を輝かせて彼女を見る。
「 すごい!!お姉さんどうやったの!! 」 「 さぁね 、 おまじないとだけ言っておこうかな! 」無邪気で子供らしい声に、優しく答え、口元に立てた人差し指を置いて微笑みながら内緒!という素振りをする彼女。私は何故か置いてけぼりにされてるように感じた。
まただ、私はいつもこうだと自分だけの空間にポツリと一人孤独で自己嫌悪へと陥る。私なんかと考え過呼吸になりそうになる。その時太陽よりも眩しい光が私に手を差し伸べる「 大丈夫?楓ちゃん 」優しくて聞くと落ち着くその声とはっきり見た手の形でさっきまではまだ信じきれなかったのに、やっぱりあの人だと確信へと変わる。その細長くて綺麗な手を取る。彼女はちゃんと支えてくれたおかげで立ち上がることが出来た。華奢ですべすべしている手に見入ってしまい、立ち上がった後だけどぎゅっと握りしめるも振り払うなどはされなかった。むしろ彼女は子供達に「 じゃあみんなまたね ♪︎ 」と言って空いている片手をひらひらとふって、私と共に公園から出る。「 … えっと 、 さっきはすみません。それとありがとうございました 、 」 詰まっていた言葉を絞り出すように言うも
「 ううん、全然大丈夫!楓ちゃんは怪我とかない? 」ニコニコしている彼女は首を横に振って、なんなら私の心配までしてくれるどこまでお人好しなんだろうか。
「 怪我はしてないですよ、ところでアレってどうやったんですか? 」 傷を消したことについてそう問うと、「 えぇ〜 ? 気になる? 」 と返ってきた。
「 … 気になります 」小さく頷いてから正直に言う。
「 じゃあさ 、 今日ウチ来ない? 」 うーんと悩んだ素振りをしてから私に提案してくる答えはもちろん行くに決まってると思いつつも 、 「 行きます 」と即答で答える。「 じゃあ行こっか ! こっちだよ 」人気のない路地へと入っていく、今回も彼女が先導してくれて何故か嬉しくなる。段々と歩くスピードが早くなっていき、どちらかと言えば走っているの方が正しいくらいにまでスピードが上がっていく、私もそれに着いてこうと走る。走るのは苦手だが、こんな楽しいと思ったのは初めてでつい頬を緩め、笑みをこぼす。その様子に気づいた彼女も釣られるように笑みを浮かべる。長かった路地を抜けると、色々な建物が目に入る。小さい家から、とても大きい家まで幅広い家で瞳の中が埋まる。「 私の家はここね! 」 そう言って指さした家を見てみると、2階建ての大きくて広い家だった。全面黒い色でできているが、オシャレですごく惹かれた。早速家の中に入ると、花や、有名な画家から自分が知らない画家の作品がずらりと並べてあった。後をついて歩くとひとつの部屋に案内される。「 ここなら好きに使っていいよ 」そこは白い壁と床で可愛い家具たちが置かれていた。自分の理想でしかなったものが、目の前にあり、その光景に私は目を輝かせる。「 すごい…! 」「 ふふ 、 気に入ってくれた ? 」 首を傾げてそう問われ激しく頷く私。その様子に微笑んでこちらを見ている彼女。
「 そういえば、服持ってきてないよね ? ちょっとまっててね 」それだけ言い残して部屋から出るのを見届ける。久しぶりに外に出てこんなに歩いたからか、今その疲れがドッと出てくる。そのせいか見るからにふかふかそうなベッドがとても輝いて見えた。試しに程度にベッドの上で体を横にしてみる。見た目以上にふわふわで心地よく、眠気に襲われ目を閉じて眠りにおちる。上下セットの衣服を数着持って、楓を案内した部屋へと戻る菖。念の為コンコンとノックするが応答はない。なんなら静かなくらいだ。なにかしてるんだろうかと思いつつ片手で扉を開けるとベッドで寝ている楓が目に入る。物音を立てないようにゆっくりと部屋に入り、白い机にその数着の衣服達を置く。魔法の力でメモ用紙サイズの紙と羽根ペンを出して紙に何かを書く、それも机に置いて楓の元へとこっそり近寄ってちゃんと寝ている事を確認してから
「 ……好きだよ。《楓のことは私が守るよ》。」 楓の額に軽く口付けをし、部屋から出ていく。
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