軋むベットと部屋に響く彼と奏でる愛の音。
アタシが1番大切に思ってて、アタシを一番に思って愛してくれる彼。そう!アタシたちは言うなれば相思相愛なの!ベットで愛を囁く彼はアタシだけのもの。アタシが彼を愛し続ければ彼もそれに応えてくれる、そう思ってた。そう思っていたかった。
「どこで間違えたんだろ…。」
彼との出会いは日常の一欠片でしかなかった。高校2年生のクラスが同じで席が隣だっただけ。彼は男女問わずのクラスの人気者だった。誰にでも優しくて文武両道でイケメン。醜くて陰気な私とは大違い。でも彼は私に話しかけてきた。彼は優しいから、誰にでも笑顔で接せられる太陽のような人だから。自分に言い聞かせた。でも私の心は有名人に街中で出会えたときよりも大きな高揚感に包まれた。
「ねえ、和音(かずね)さん?」
「和音(かなで)です。」
「ごめん!和音(かなで)って読むんだね。うん、とっても可愛くて似合ってるね。名前勝ちしてる感じ?w」
彼は誰も言ってくれなかった言葉を私にくれた。話しかけてくれただけじゃなく私を褒めてくれる言葉を。ただの礼儀だろうと私には嬉しくて仕方がなかった。それから私が彼に恋い焦がれるまでの時間は長くはなかった。
彼の隣に立ちたくて。彼に本心からの可愛いを言ってもらいたくて。私は誰よりも可愛くなろうとした。メガネをコンタクトに変えて、ボサボサの髪をネットで調べて綺麗にして、重くて長い前髪を無くして、1度もしてこなかったメイクをして。そして私は学校のどんな女の子よりも可愛くなって3年の初夏、彼に告白をした。あの時からずっと好きだったと、振られても構わないけれど私があなたを好きでいることを否定しないで欲しいと。彼からの返答はとても驚いた。
「実は、和音がどんどん可愛くなってて正直好きになってた。」
私の努力が認められた気持ちになった。可愛くなってよかったと思った。でも彼の言葉はそれだけじゃなかった。
「先に言わせてごめん!俺に言わせてほしい。俺と付き合ってください!」
本当にこの人には誰も敵わないと思った。私の返事は言うまでもなく「はい」だけだった。彼と付き合ってからは世界が色づいたかのように自分が思ってたよりも美しい世界を教えてくれた。周りからは「お似合いの恋人」と言われ、母も父もアタシは気が早いと思っていたけれど、彼となら結婚してもいいと言ってくれていた。彼との恋人関係はとても充実したものだった
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