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後日。
何故か雪乃は演劇部の部室で着せ替え人形になっていた。
メイド服、猫耳、魔女っ子、ナース、軍服、ポリス、女海賊…などなど。
そしてパシャパシャと写真を撮られる。
ショッピ氏に。
「…これ何させられてるの私」
「この写真を高値で売る」
「いやそんなはっきり言われても…」
冗談では無さそうだ。しかもちょっと良さげなカメラで撮られ続ける。
まぁこないだのお礼に何でもするって言ったし写真くらい別にいいのだが…。
「価値あんのかねこれ…」
「知らへんの?その界隈ではめちゃくちゃ価値あるんやで」
「いや知らへんけど…」
何その界隈こわ。
「私は風紀委員としてこの怪しい商売を見逃していいのだろうか…。まぁいいか…ショッピくんだし…」
目を瞑ることにした。
その間も何枚も写真を撮られる。
「大先生とかも買ってくれるやろな」
「えぇ?鬱先生がこんなの欲しがるわけないと思うけど…。てか知り合いに売るのやめてくれる?普通に恥ずかしいので」
「いや、大先生なら買ってくれるよ。あとゾムさんとか…」
その名前を聞いた瞬間、雪乃は両耳を塞ぎ悲鳴をあげる。
「ぎゃああああああ!!!その名前を呼ぶなあああああ!!!」
「え?あぁそうやった、この人ゾムさん恐怖症やった」
「ひぎゃあああああやめてええええ!!!」
取り乱しメイド服のまましゃがみ込む。
それを見て笑うショッピ。
「お願い、お願いあの人にだけは売らないで!!」
そしてショッピに縋り付いて懇願する。
ちょっと涙目だ。
「えーどうしよっかな」
「お願いお願いお願いします一生のお願いここで使います誰に売ってもいい他の誰に売ってもいいからあの人にだけは売らないでくださいお願いしますショッピ様!!」
メイド服の涙目の人に見上げられながら凄いお願いされ、普段とは違うその取り乱した様子に笑うしかないショッピ。その様子もちゃっかり写真を撮る。
「うそうそ、冗談やん。そんな嫌がることせーへんよ」
「ほんとに…?ありがとう心の友…」
ショッピの前でかがみ両手を組む。
パシャッとシャッター音が鳴る。
「ほんまにおもろいな、キミ」
「って言いながらシャッター音鳴らすのやめて…」
レンズ越しに少し疲れた表情の雪乃と目が合う。
流石にさっきの涙目で取り乱した姿の写真と今の安心してふにゃっと崩れた笑顔の写真だけは売らないでおくか、とショッピは再びシャッターを切った。