「りうら、暫く噛むのヤるの禁止。」
「えっ」
俺、ないこは一つ悩みがあった。
それは____
(りうらの首噛み癖が、すごい…っ!!)
俺の首筋や頸に、沢山の歯型やキスマークがついているのだ。紅く付けられたそれらは、りうらのものだと言うマーキングされている感じがあって悪くはないが、人前に出るには毎回ハイネックのものを着用しなければならないのだ。夏の暑い日も。
りうらの前ではVネックなんかも着れるけれど、他のメンバーの前では流石に…。付き合っていることも秘密なのだから。
(仮に付き合っていたのが知られているとしても、俺がりうらのこと抱いてるって思われてるんだろうなあ…。)
りうらはくりっとした赤い瞳に、ポンパドールという幼さを感じさせる髪型、そして何より性格。
人懐っこくて可愛い。けど、格好いいときはばちばちに格好いい。そう、ギャップがすごい。そんな奴が俺をほぼ毎晩抱き潰している。学生の性欲が計り知れないし、そんなりうらに抱かれている俺もどうかと思う。
「どうして?なんでだめなの?」
今日のりうらはお風呂上がりのため、前髪を少し右に流していた。う、顔がすごくよろしい…。
「だ、だって….俺の着たい服、着れないんだもん」
「何が着たいの?」
「….ユーネックのニットとか、シャツ」
「….ないくんはハイネックが似合うよ」
…こいつダメだ。もう噛んで跡がついている前提だ。俺の首もう見せられないじゃん!
「….とにかく!暫くしません!!」
「えぇっ….ヤッてるときのないくんの可愛い顔見てると噛んじゃうの….ないくんはりうらのっていう証代わりに」
きゅるん、とりうらは上目遣いで俺を見つめてきた。こいつ….俺が弱いの知ってるな!?
「う”っ….」
俺は一瞬怯んだが、べちんと自分の頬を叩き現実に引き戻した。危ない、もう少しでりうらのペースに流されてしまうところだった。
「….りうら」
「?」
「…噛む代わり…キスは…だめ…?」
俺は精一杯の勇気を振り絞り、りうらに提案した。
りうらは少し驚いた表情をしたが、すぐに真顔になった。
「….キスしたら、ないくんの口の中いっぱい犯しちゃうけど」
「べ、別に…首噛まなければ…」
もじもじしながらりうらの様子を伺う。
りうらは嬉しそうに笑っていた。りうらの笑顔に安心していたのも束の間。
「じゃあ早速キス、しよっか?」
「え?」
厭らしい水音が、脳に響く。
りうらに両耳を塞がれ、余計甘く響いてしまう。
「んッ…はッ…はぁッ…//」
「あは…ないくん、もう顔とろとろ…♡」
りうらによる口腔攻めが終わり、唇が離される。
今までにない甘く、そして深いキスをされたことにより、俺の脳はほわほわしていて、何も考えられなかった。
「ないくんは、上顎が性感帯なんだね?」
「や、ちがうし…」
そっぽを向こうとするも、りうらが俺の顔を固定しているため、向けない。りうらとずっと目を合わせなくてはいけなかった。
「….ッ//」
りうらの獣のような、犬のような優しい瞳を見ているだけで_____
「物欲しそうな顔。」
りうらは俺の口腔に指を入れ、上顎を優しくなぞる。
「んっ….//」
「どうしよう、りうら、キスにはまりそう。こんなに可愛いないくんが見れるんだもん♡」
八重歯を撫で、口の中から指を出す。
りうらの指には俺の唾液がとろりとついていた。
りうらはそれを軽く舐めた。耳にかけていたりうらの前髪がぱらぱらと落ちる。他の人からは指を舐めるのは気持ち悪いと思われてしまうだろうけど、なぜか…すごく、色っぽくて格好いい…。りうらにめろめろなんだな、俺…。それに、俺もキスにはまりそうで怖い。いや、もうはまっているかもしれない。
「ん…りうら、もう一回キスしよ…?」
「勿論…俺だけの、ないくん♡」
俺らは、またゆっくり、優しく唇を重ねた。
そのままヒートアップしてしまい、結局一夜を明けた。
りうらの噛み癖は解消されたけれど、キス魔になってしまったのはまた別のお話。
コメント
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とてもいい作品なのにいいねがこんな少ないなんてッッッこのストーリーお気にです✨ リクエストってできますか?これのキス魔の見たいです!