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今日は、久しぶりの休日だ。学校もないし、あのしつこい神風と顔を合わせなくて済む。正直、ほっとしてる。平日のあの騒がしさに比べて、休日のこの静けさが本当にありがたい。
ベッドに寝転んで、スマホをいじりながら適当に時間を過ごす。神風の声が頭の中で響かないだけで、こんなに落ち着けるんだな…。学校では、あいつの「月見ー!」「月見ー!」っていう声がいつも耳に残る。しかも最近またしつこさが復活してきたし、ほんとに困るんだよね。
ため息をつきながら、ふと思い出す。昨日の神風の顔。ふざけたように見えて、何かあいつ、少しだけ真剣な表情をしていた気がする。いやいや、そんなはずないか。あいつが真面目に考えるなんて、ありえない。
「またしつこく絡んできそうだな…」とつぶやいて、頭を振る。休日くらいはあいつのことを考えたくない。
けど、頭の片隅にはやっぱり神風の顔がちらつく。最近、距離を取ろうとしても、あいつがすぐに元のしつこさで絡んでくるし、まるで避ける隙がない。あんなに明るくて、バカみたいに前向きな奴、どうしてここまで気にかかるんだろう。
「…うるさいやつ」と再びつぶやいて、スマホの画面を見つめる。メッセージの通知が一件も来ていないのが、少し寂しい。学校ではあんなに鬱陶しいと思っていたのに、いざ静かになると物足りなく感じる自分がいるのが不思議だ。
もしかして、あいつが絡んでこなくなったら、それはそれで寂しい…とか?いや、ないない。絶対にありえない。あいつみたいな奴がいたら、絶対にうるさくて困るだけだ。
その時、スマホが一瞬震えた。通知?誰だろう…。確認すると、まさかの神風からのメッセージだった。
「月見ー!今日、ヒマ?遊びに行かね?」
…本当にあいつ、休日にまで絡んでくるんだな。どれだけしつこいんだよ。思わず、スマホを握る手が強くなる。
「なんであいつ、休みの日くらい静かにしてくれないの?」ため息をつきながら、返信を考える。普通なら「無理」とか「行かない」ってすぐに断るところだけど、少しだけ迷っている自分がいるのに気づく。なんでだろう。ほんの少し、外に出てもいいかなって思ってしまった。
「いや、そんなわけない」自分に言い聞かせて、メッセージを閉じる。今日は静かに過ごすって決めたんだから。
でも、ベッドに戻ったあとも、やっぱり神風のことが気になって仕方ない。結局、あいつがいなくても、あいつのことを考えてる自分がいる。ほんと、どうかしてる。
「あーもう!面倒くさい!」頭の中を振り払うように、枕に顔を埋めた。休日は神風のことなんて忘れて、ゆっくりするつもりだったのに、なんでこんなにも気にかかるんだろう。まさか…あいつに影響されてる?
「ありえないって…」自分に言い聞かせるように、再び深呼吸をして、神風からのメッセージを無視したまま、静かな休日を楽しむことに決めた。
でも心のどこかで、次に会ったとき、またあいつにしつこく絡まれるのが少しだけ待ち遠しいような気がしている自分がいるのは、何か変な感じだ。
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