俺は…咲希に嫌われた。
笑顔にする人間を、泣かせて、笑顔を奪った。
だから、ショーをすると、
咲希は笑顔を貼り付けた。
俺も分かってはいた。
だけど、、、
咲希には俺しかいないと思った。
だから、だから、ショーをやり続けた。
…そのまま、ずっとショーを見せていたら、
咲希に限界が来た。
「ねぇ、アタシのこと馬鹿にしてるんでしょ!?」
「ふざけないでよ!!」
「お兄ちゃんは健康だからいいよね。」
「アタシとは違ってさ!!」
「もう、構わないで!!!」
「アタシはお兄ちゃんなんていらない!!!」
そんなこと、分かってる。
だって、咲希しかいなかったから。
咲希が笑ってくれるから、ショーをしたんだ。
でも。その笑顔は偽物で。
…。
咲希も、辛かったんだ。
分かってる。分かってるよ。
だけど、心配して欲しかった。
大丈夫?って、言って欲しかった。
愛してる、大好きって。
ごめんなさいも言って欲しかった。
ありがとうに期待した。
なにもくれなかった。
期待するだけ。
それが苦痛だった。
何もくれないくせに、期待して…
体の中が痛くなる。
じんじん、ずきずき。
…こんなの、俺じゃない。
「咲希の病気のほうがもっと辛いんだから。」
母さんに相談しても、返ってくるのはその言葉だった。
辛さは比べる物じゃない。分かってる。
だけど…
言えない、いえないんだ。
臆病だから。嫌われたくないから。
もう俺には家族以外何もいらないんだ。
仲間…欲しかったな…
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天才すか