ただいま2のD。
1時間目が今終わり、東雲くんから日誌を受け取ったのでそれに書き入れている途中だ。
「絵名お疲れ様ー!」
「あ、愛莉」
愛莉は中学からの友達。幼馴染み。
今はMORE MORE JUMP!というグループで活動しているみたい。
「日直っていろいろ仕事があって大変よね」
「ねー、一番なくなってほしいのは日誌記入かな」
「それが一番大切じゃない!」
その後もいろいろ喋っていた。久しぶりにこんなに友人とちゃんと向き合ってはなしたなぁ…。
「そうえいば友達になって全然聞いてなかったんだけど、絵名って母子家庭なのよね?」
「そう。私が1歳?くらいのときに離婚したらしくて…。お父さんは海外に行ったって昔お母さんから聞いた。」
そう。私の家族は母と私。
お父さんがどんな人なのか知らない。っていうか、名前すら知らない。どんなことがあってこうなったかすらも分からないで今まで生きていた。
でも離婚するってなったときには私は生まれていた。幼かったことは知っているけど、その時の自分は無力だった。そう思うとなんだか複雑な感じになるんだよね。
「…絵名?ごめんなさい、急にこんなこと聞いて」
「大丈夫だよ、気にしないで。愛莉」
キーンコーンカーンコーン
「えっ?チャイム早っ!ごめん愛莉!」
「大丈夫よ、気にしないで」
次は…数学か。用意しなくちゃ…。
❖ ❖ ❖
「えー、この人の心情は…」
今は国語の授業中だ。とにかくオレは勉強が嫌いだ。将来的に必要に必要な勉強は1割くらいしかないと思う。つまり、その他は必要無いということだ。
「おい東雲!聞いてるか?!」
「あ、はい、すみません」
「やっと終わった…」
「お前ずっとぼーっとしてたからな」
こいつは山下。今日仲良くなった奴だ。オレとは逆に勉強が好きで得意。あーあ、オレと脳味噌交換してくんねーかな。
「そうえいば東雲って前どこに住んでたんだよ」
「あー、もう彰人って呼べよ。東雲ってあんまり好きじゃないから」
「で、どこだよ。まさか海外とか?」
「まぁな、イタリア」
「はぁ?!」
山下は相当驚いていた。相当っていうより凄く。
「オレの父親画家だから国を転々とまわってるんだよな」
「ぇえ?!画家?!」
そうなんだよ。オレの父親画家なんだよ。だからって良いことも悪いこともないが。ただ残念ながらオレには絵の才能は無く、中1の頃に日本で見た『|RAT WEEK END(ラッド ウィーク エンド)』というライブハウスで行われてたライブにオレは心を打たれ、音楽の道を選んだ。
「じゃ、じゃあ母親はどーなんだよ」
「…オレの?」
そう。オレは
「いねーよ」
「は?」
母親が居ない。…要するに、父子家庭だ。
コメント
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初コメ失礼します!ノベル初めてみたんですけど主さんのめっちゃ楽しみです!(続き) 頑張ってください!!
面白かったです!続き待ってます!