テラーノベル
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俺の誕生日当日、楽屋はいつも通りうるさかった。
「「佐久間おめでとー!」」
クラッカーの音にびっくりして飛び上がれば、みんながゲラゲラ笑っている。
ケーキを囲んで写真を撮って、ローソクを吹き消して、
その時間が嬉しくて、俺はずっと笑っていた。
帰る頃にはすっかり夜で、みんなそれぞれ「お疲れー」と帰っていく。
俺も「じゃあねー」と手を振って外に出たところで、後ろから名前を呼ばれた。
「佐久間」
振り返ると、翔太が立っていた。
「ん?」
「……これ」
ぶっきらぼうに小さな紙袋を押し付けられる。
「え、なに?」
「誕生日」
「えぇ!?くれるの!?」
「だから今渡してんだろ」
「うわ、言い方かわいくなーい」
「うるせぇな」
そう言いながら、翔太は少しだけ耳が赤かった。
かわいい。
袋を開けると、小さな箱が入っていた。
「……え」
開いた瞬間、思わず声が止まる。
シンプルなシルバーリングだった。
細くて、綺麗で、でもあんまり目立たない。
「……指輪?」
「別に深い意味ないし」
「あるでしょ絶対」
「ねぇよ」
即答すぎる。
でも目は全然合わない。
俺は笑いながらリングを持ち上げた
内側に、小さくイニシャルが彫ってある。
「……っ、うわ、なにこれ」
胸がいっぱいになってしまって、うまく笑えなくなる。
翔太は気まずそうに視線を逸らした。
「だから別に、大したもんじゃねぇって」
「つけていい?」
そう聞くと、翔太は少しだけ黙ったあと、小さくため息をついた。
「……貸せ」
「え?」
俺の手からリングを取ると、そのまま左手を掴まれる。
「しょ、翔太?」
「動くなって」
ぶっきらぼうなのに、触れる指先だけやたら優しい。
少し緊張した顔のまま、翔太は慣れない手つきでゆっくり俺の指にリングを通した。
ぴったりだった。
その瞬間、胸がぎゅっと苦しくなる。
翔太は俺の手を見つめたまま、小さく笑った。
「……似合うじゃん」
たったそれだけなのに、世界で一番嬉しかった。
この瞬間、この世で一番俺が幸せだった
うれしすぎて次の日、翔太が来る前に4人にイニシャルリングを自慢した。
さすがにつけっぱなしはだめだと怒られてしまったけど。
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