カーテンの裏には何かがある。そう亜耶は感じていた。彼女は新しく社会人となり、初めての一人暮らしを始めたばかりだった。狭い部屋の窓際には、古びたカーテンがひらりと揺れていた。その向こうには、隣の空き家が見える。薄暗く、どこか不気味な雰囲気を漂わせていた。
その家は、事故物件として知られている。数年前、そこで一家が謎の死を遂げたという噂が流れ、誰も近寄らなくなった。亜耶は、そんな話を耳にしていたが、恐怖心を押し込めて日々の仕事に打ち込んでいた。しかし、夜になると、どうしても隣の空き家のことが気になり、カーテンの裏に隠されたものを想像してしまう。
ある晩、仕事から帰った亜耶は、いつものようにカーテンを閉めようとした。その瞬間、視線を感じた。振り返ると、空き家の窓が僅かに開いているのが見えた。何かがこちらを見ている。亜耶は心臓がドキリと跳ね上がるのを感じたが、冷静にしようと自分に言い聞かせた。
「気のせいだ、気のせいだ」
そう思い、カーテンを引き寄せたが、その瞬間、窓の奥に人影が見えた気がした。亜耶は恐怖に駆られ、急いでカーテンを閉じた。自分の心の中で何かがささやく。「見てはいけない、触れてはいけない」と。
日が経つにつれ、亜耶の不安は増していった。仕事中も、隣の空き家のことが頭から離れなかった。友人に話してみても、彼女たちは笑い飛ばすだけだった。「そんなの気にしすぎだよ」と。しかし、亜耶は自分の感じる不気味さを無視できなかった。
ある晩、いつものようにカーテンを開けて隣の家を眺めていると、ふとカーテンの隙間から光が漏れているのに気付いた。この真夜中に、誰かがその家の中にいるのだろうか。好奇心と恐怖が入り混じり、亜耶は思わず窓に近づいた。
「誰かいるの?」彼女の声は震えていた。返事はなかった。そのまま何分か経ったが、光は消えなかった。意を決して、亜耶は隣の家の門を潜り抜け、恐る恐る中へと入った。
家の中は、時間が止まったかのように静まり返っていた。埃が積もった床、古びた家具、ただの空き家のように見えた。しかし、亜耶の心には何かが変わる予感があった。薄暗い廊下を進むと、部屋の奥から微かな音が聞こえてくる。何かが動いているのだ。
「誰かいるの?」再度問いかけるが、答えは返ってこない。恐怖が彼女の背中を押し、さらに奥へと進む。カーテンが揺れ、冷たい風が吹き抜ける。亜耶は目を凝らし、その部屋の中を覗き込んだ。目に飛び込んできたのは、何かがうずくまっている姿だった。
亜耶は息を呑んだ。それは人間のように見えたが、その顔は歪み、目は虚ろだった。亜耶は身動きが取れなくなり、ただその場に立ち尽くす。すると、突然その影が顔を上げた。目が合った瞬間、亜耶は背筋が凍るような恐怖を感じた。彼女は急いで後ろに引き返そうとしたが、体が動かない。
その時、影が彼女の方に近づいてきた。耳元で「助けて」と囁く声が聞こえた。亜耶は恐怖と共に、心の奥で何かが引き裂かれる感覚を覚えた。彼女はその声に惹かれ、振り向くと、影の中にかつての家族の姿を見た。それは彼女が知っている人々ではなく、事故で亡くなった一家の姿だった。
「私たちを忘れないで」
と、その影が叫んだ。亜耶はその瞬間、何もかもが真っ暗になり、自分の意識が抜けていくのを感じた。
次に目を覚ました時、彼女は自宅のベッドの上にいた。しかし、隣の空き家のことが頭から離れなかった。あの夜の出来事を思い出すたびに、恐怖が彼女の心を締め付けた。
日々が過ぎていく中、亜耶は再びあの家に行くことを決意する。真実を知りたいという欲求が、彼女を突き動かしていた。再度、隣の家の門をくぐり、今度は確信を持って中へ入る。心臓がバクバクと鳴り響く中、彼女は前に進んでいった。
廊下を進むと、再びあの部屋の扉が見えた。恐る恐る扉を開けると、そこには先ほどと同じ影が待っていた。今度は「私たちを救って」と訴えるように見つめていた。
「あなたたちを助ける方法があるの?」亜耶は尋ねた。
影は静かに頷いた。亜耶はその瞬間、自分の中で何かが決まった。彼女は思いを込めて、助けを呼ぶことを決意した。影の声に導かれ、彼女は事故の真相を調べ始め、亡くなった一家のために何ができるのかを考えた。
彼女が自らの恐怖を乗り越え、亡くなった人々の声を聴くことで、彼女自身も変わっていく過程を描いていく。亜耶は、過去を知ることで現在を生きる力を得ていった。
カーテンの裏に隠されたものは、恐怖だけではなかった。彼女は、亡くなった人々の想いを知り、彼らを忘れないことで、自分自身を見つめ直すきっかけを得たのだった。 亜耶は、カーテンを開け放ち、空き家を見つめる。もう二度と恐れない、彼らの声を忘れないと心に誓った瞬間、静かな風が彼女の頬を撫でた。彼女は微笑み、過去を受け入れながら新しい一歩を踏み出すのだった。
〜主のあとがき〜
こんにちは!主です!三作品目かな,,,頑張りました!
色んな方々の小説を見てみたのですが,凄く飲み込みやすい書き方で尊敬がさらに深まりました!
皆さんも良かったらおすすめのライター様,小説家様教えてください☺︎
これからもよろしくお願いします!
中学校生活頑張ります!(⇦「主の雑談!」参照)
ワッショイ٩( ᐛ )وワハハハハ
コメント
1件
霊見えるの怖いけど、声が聴けるのいいな~!たくさん霊を救ってあげてほしい! 悪霊はモガリに喰べてもr((殴(゜o゜(☆○=(-_- )゙