コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
初っ端はまず日常系から。お付き合い前提です。
pp → 「」
ky → 『』
日曜日の昼下がり。カーテンは開かれていて、雲がぽつぽつと浮かんだ空が見える。そろそろキヨくんが来る頃だ。
2人とも最近は予定がつめつめで会えていなかった。仕方ないことだけど、やっぱりちょっと寂しい。
詰め込まれた予定を少しずつ消化して、やっと空いた今日。キヨくんが僕の家に来てくれる。久しぶりに会うということで、なんだかソワソワして落ち着かない。
少しすると呼び鈴が鳴った。
「あっ、はーい!」
早歩きで玄関に向かう。扉を開けると、目の前には待ちに待った僕の恋人。
『よっ、久しぶり』
久々のキヨくん。身長が高くてすらっとしてて、見た目はもちろん声も性格もみんなかっこいい。僕はこの人の恋人でいいのかな、って思う時があるけれど、それを言ったらこの前怒られた。
「久しぶり、元気してた?」
『んー………疲れた…』
家に入れた瞬間、ぐてーっと魂が抜けたように僕にもたれかかってくる。見た目よりかはすごい軽くて、ちゃんとご飯食べてるのかが心配。でもめちゃくちゃ食べるんだよね、キヨくん。食べたものみんな宇宙にでも飛ばされてるの?
「わっ……ここ玄関だよ?せめてリビングの方まで頑張ってよ」
『はこべ』
「そんな無茶な……」
見た目より軽いとはいえ、重いには全然重い。サイズがでかい上に成人男性の平均くらいはあるだろう重さの彼を僕みたいなチビ1人で運ぶのはとても無理だ。
ぐするキヨくんをなんとか立たせて、手を引っ張ってリビングまで連れていく。着くなり倒れ込まれたソファの余ったスペースに座り、赤い襟足を軽く撫でた。
うー、と呻き声をソファに向けて漏らすのが聞こえる。
自分の家でゆっくりしたかったろうに。すぐにOKしてくれたけど、なんだかとても申し訳ない。
『……ごめんね、疲れてると思うのに来させちゃって。
やっぱり僕がキヨくんの家行った方が良かったんじゃ…』
「おれがお前ん家来たかったからいいんだよ」
『…えへっ、なにそれ』
彼は平然と言うけれど、僕にはそれが無性に嬉しくて、変な笑いが出てしまう。
ぼんやりとした静寂。昼下がりのそよ風が網戸から吹き抜ける。
いつの間にか三角座りに体制を変え、スマホをいじり出したキヨくんの傍へぎゅうぎゅうに近寄って座る。
あったかい。きちんと生きてる。
「…眠い?」
彼の疑問に小さく頷く。
「はぁ……せっかく来てやったのによお〜……」
文句を言いながら、僕の肩に手を添えて自分の方へ寄せる。口元は少し笑っている。
心地よい部屋の温度と横の彼の存在。迫る睡魔によって重くなる瞼。ピントの合わない目で見渡す部屋の中はいつもと変わらなく普通に見えるけど、この世のどこよりも1番幸せな空間はここだろう。
この安寧と幸福が、僕らの生きる限りは続きますように。