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みゆう
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※内容の加筆・修正しました🙇♀️
NAOKO視点
二人で並んでソファに座りながら、他愛もない話をしていた時だった。
「あ、そういえば。うちら付き合ってもうすぐ一年じゃん」
「え〜、もう一年? なんかあっという間やねぇ」
「いやそれな?なんか毎日濃すぎて、一年とか一瞬だった気する」
おっとりと笑うKOHARUを見つめながら、私は密かに、彼女と出会った頃のことを思い出していた。
出会いは3次審査の時。
まわりのレベルの高さに圧倒されて、緊張と不安で心がぐちゃぐちゃになってしまった私は、
名前も知らない子の前で悩みをぶちまけたあと、そのまま逃げるようにトイレへ駆け込んで泣いた。
今思い返しても、本当に意味が分からない。
初対面だし、相手を困らせちゃうだけなのに。
でも、その子はわざわざ追いかけてきてくれた。
「大丈夫?」
って、優しくて、心配そうな声で。
恋に落ちたのがいつだったのかは、正直よく分からない。
だけど「KOHARUがいれば大丈夫」って本能的に思うようになったのは、間違いなくあの時からだった。
「ね〜、なおこ聞いてる?」
「……っ、聞いてる聞いてる!」
ハッと我に返ると、KOHARUがじとーっとした目でこっちを見ていた。
「絶対いま思い出振り返ってたやん」
「えっ、なんでわかったの!?」
「そりゃ分かりますよ〜。これでもNAOKOのこと、ずっと見てきてるんで」
得意げに笑う顔が愛おしくて、思わずクスッと笑ってしまう。
するとKOHARUは急に「あ、そうだ」と何かを思い出したように姿勢を正した。
「……なおこ、ちょっとやりたいことと言うか、お願いがあるんだけど」
「ん〜?」
さっきまでへらへらしてたのに、急に空気が変わる。
(なんだろう……?)
付き合って一年記念だし、どこか旅行でも行きたいのかな。
それとも、ちょっといいレストランとか。
……いや、「バンジージャンプしに行こう!」とかもしれない。
そんな能天気なことを考えていた、その時だった。
「その……そろそろ、キスの続きっていうか……もうちょっと先のこと、してみませんか……?」
「……え」
あまりにも予想外なお願いに、思わず固まってしまう。
数秒遅れて、心臓がドクンと大きく跳ねた。
「え、あ、もちろん嫌だったら全然いいからね!?」
私の反応を見た瞬間、KOHARUがぶわっと慌て始める。
「なんかその、付き合って一年だし、そういうのもしてみたいな〜って思っただけで……」
「ナオコのことは大切にしたいし、嫌がるようなこと絶対したくないから!」
耳まで真っ赤にしながら、早口で一気にそう言い切るKOHARU。
……かわいい。
いや、そういう場合じゃなくて。
「い、嫌とかじゃないよ!ただ、その……びっくりしただけで……」
「ナオもちょっと気になってたし……」
「ほんと?」
不安そうに覗き込んでくるKOHARUに、私は慌てて何度も頷いた。
「でもさ……ナオ、あんまり、経験がなくって……女の子同士って、どうやるの……?」
「そこなんですよ!!!」
KOHARUが「待ってました」と言わんばかりに目をキラリと輝かせる。
「ちょっと待ってて!」
「……?」
嬉しそうにソファから立ち上がり、自分のバッグからガサゴソと何かを取り出してきた。
「じゃーん! こんなものを用意しました!」
誇らしげに掲げられたのは、一冊の本。
パッケージには、何やら妙にキラキラしたピンク色の文字で『初めての女の子えっち・完全初心者ガイド』と書かれている。
しかも、ページの端からはカラフルな付箋がこれでもかと飛び出していた。
「な、なにこれ……?」
「この日のために買っておいて予習してたの!」
「ちなみに有識者の方たちからもアドバイスをいただいております。」
ふふん、と得意げに鼻を鳴らしながら、メモ帳なんかも見せてくる。
そこには、KOHARUの丸っこい文字で、そうそうたるお姉様方からのアドバイスがびっしりと書き込まれていた。
『お互いの同意を得てから by “J”』
『キスから始めなさい by “M”』
『上手くやろうとしなくていい。お互いが満足できたらそれでいい by “P”』
「……」
いや、待って。
勉強熱心なのは素晴らしいけど、いつの間にそんなリサーチを?
ていうか、伏せ字にしてるけどオンニたちに何聞いてんのこの子。
色々思うことはあるが、ぐっと言うのをこらえる。
耳まで真っ赤にしながらも、しっかり調べてくるKOHARUが、あまりにも大真面で愛おしかったから。
「……なおこ?」
不安そうに首を傾げる彼女を見て、私はついに諦めの息を吐き出した。
「……わ、分かったよ。でも、先にお風呂入りたいかも…」
「あ……っ、そうだよね!じゃあナオコ先入って!」
「うん、じゃあお先……」
這うようにしてソファから立ち上がり、私は脱衣所へと駆け込んだ。
KOHARU視点
「うん、じゃあお先……」
パタパタと小走りで脱衣所へ消えていくNAOKOの背中を見送り、お風呂のドアがカチャリと閉まった瞬間。
「……ッ、ふぅーーーーーーっっっ!!!」
私はそのままソファの背もたれに崩れ落ちた。
限界まで張り詰めていた緊張が一気にほどけて、肺の中の空気を全部吐き出す。
「待って……やばい……ほんとにそういう感じになってる……」
勢いで言ったけど、まさかNAOKOが本当に「いいよ」って言ってくれるなんて思ってなかった。
しかも、“嫌じゃない”なんて。
思い出した瞬間、またぶわっと顔が熱くなる。
「……っ」
私は両手で顔を覆って、そのままクッションに突っ伏した。
恥ずかしい。でも、嬉しい。
……いや、嬉しすぎる。
「うぅ〜〜〜……」
じたばたしていると、ふとローテーブルの上のメモ帳が目に入った。
くしゃくしゃになるまで読み返した、有識者たちからのアドバイス。
“M”さん直伝の、引かれないための雰囲気作り。
“J”さんに念を押された、相手を安心させるためのルール。
そして最後に背中を押してくれた、“P”さんの温かい言葉。
「よし……。頑張れ、私……!」
パン、と自分の両頬を叩いて気合を入れる。
それから数分後。
ガチャ、とリビングのドアが開く。
「お風呂上がったよ〜」
顔を上げると、NAOKOがタオルで髪をわしゃわしゃ拭きながら立っていた。
……でも、なんだかちょっとだけぎこちない。
目が合った瞬間、NAOKOはふいっと視線を逸らした。
「ありがと、じゃあ入ってきま〜す」
「う、うん。ごゆっくり……」
なんか変だ。
さっきまで普通に喋ってたのに、その先を意識した途端、お互いちょっと距離感が分からなくなってる。
逃げ込むみたいに脱衣所へ入ると、そのまま勢いよくシャワーを浴びた。
髪をいつもより丁寧に洗って、身体もしっかり流す。
お風呂を出ても、なんとなく落ち着かなくて。
気付けば、引き出しの奥にしまってあったちょっといいパックまで使っていた。
そのあと少し迷ってから、マウスウォッシュまで口に含む。
「……よし。」
私はパジャマの襟元をそわそわ整えながら、寝室へ向かった。
作者です。
完全に書き方を忘れてしまいました……。
スランプなのか何なのか、自分でもよく分からないんですが、思うように書けず苦戦しております。
ちなみに、前回投稿した「たまには甘えて」は非公開にしました。
読んでくださった方、本当に申し訳ありません🙇♀️
あの作品は自分の中でどうしても納得できなくて……。
テンポも長さも気になってしまって、「これじゃないな」と。
いずれちゃんとリメイクして、「これだ!」と思える形で改めて投稿する予定です。
気長に待っていただけたら嬉しいです!
コメント
3件
あーねさん、待ってました!スランプですか⁉️ 大丈夫です❗ 今回のナオコハも面白いです‼️

ナオコハめっちゃ好きなので続きが楽しみです〜!
あーねさん、第12話読ませていただきました! NAOKO視点で、二人の一年前の出会いを振り返る回想がとても沁みました。「KOHARUがいれば大丈夫」って本能的に思うようになったエピソード、切なくて温かくて。そしてKOHARUの「完全初心者ガイド」登場には笑っちゃいました。メモ帳にびっしり書かれた先輩方のアドバイス、勉強熱心な彼女の愛おしさが伝わってきます。「這うように脱衣所へ」の最後の一文に、これからの空気感が凝縮されていて続きが気になります。 スランプとおっしゃいますが、私はすごく素敵だと思いました。お風呂上がりの二人、どうなるんだろう…楽しみに待っていますね🌷