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「助けられた!!」
赤井が名前にひっぱたかれた次の台詞だった。
未だ動けない他の面子をよそに、叫び散らしてチアガールがわっと監禁されていた部屋から出てくる。
母親や恋人と抱き合う彼女らを背に、死体袋の青いポリエステルがカサカサ鳴って行った。
「名前…」
ジョディが言いにくそうに言う。
「…これは赤井くんの判断ではなく、班長としての私の判断だ…あのままの状態では君までーー」
「私はどうなっても構わなかった!」
びく、とキャメルが汗だくではっ、と息を吐く。
「…まだ18歳だった……っ」
くしゃっ、と泣き濡れた顔で名前は立ち去る。
キャメルが悩んだ末、後を追った。
「…すまんな、赤井くん…」
「救えない」
赤くなった頬に、ジョディは水をかけたハンカチを当てようとするが赤井は首を振る。
「…何かをやるやつは……」
つかつか頭を振り乱して行く名前をなだめるキャメルを見ながら、赤井は頬にふれた。
誰かに止められても…必ず……。
「ああっ」
ごん、とバーのカウンターに額をぶつける名前に、キャメルは辺りを見回した。
「(病んでて)」
肩をすくめて見せる。御愁傷様、と何人かが言った。
「…助けられたのに…」
カラ、とグラスの氷が鳴り、名前はキャメルにずるずると寄りかかる。
「私なら…説得できたのにあのバカ班長…前のならあんなにはやく狙撃許可を出さない……それに」
叩いた後の黒い目が、名前を見下ろす。
「あいつもなんであんなに早く狙撃したの……意味不明よ……彼は家に帰れた…」
「彼は名前、あなたを。現役のFBI捜査官を人質に取りました…銃口まで向けて。保護観察以上は免れません…」
だん!と名前は立ち上がり、キャメルを指差す。こいつにつけろ。
「名前!」
「ほっといて」
よろ、と名前はエレベーターを上がる。
監視カメラを睨み付け、壁にぶつかりながら部屋に戻る……。
男は駄目だ。どれだけ銃口を向けられ、命が握られても、私達なら屈しない。
なのに、信じられない。怖いのだ。仲間を失う恐怖で。目が曇る。
犠牲になった。18歳のさえない男子。
これからいくらでも…酒もセックスもできたはずの高校生を…。
「うっ」
名前は胃から戻ってきたそれを噴水みたいに吐き出した。
そのまま床に倒れる。
「はぁ…」
そう…でもまだ謎が残ったまま。名前は薄れる意識の中で、何か揺れるのを見たがわからない。
シュウ…なんで……あなたもわたしを信じてくれなかったの……?あなたにだけは……
目が覚めると、鉄の天井があった。
「!?」
起き上がろうとして後ろにガチャン!と引っ張られる。手首は手錠され、名前はさっと血の気を引かせた。何も着せられていない上、首輪されている。
「な…」
だんだん息が上がる。拉致された?誰に?誰でもいい……ここはーー
「檻の中」
暗闇から現れた人物に、名前は目を見開いた。
「シュウ!」
「目が覚めたら檻の中だった…」
彼はしゃがみこみ、手にある林檎をちらと見る。
「は、早く助けて!犯人に見つかる前に…」
「そうやって俺も焦ったさ…」
「は?なに…」
にや。とした笑みに名前はだんだん背筋が凍っていく。残酷な結論に、真実に辿り着きそうで。
鉄格子から投げられた林檎が膝に当たる。
「その林檎みたいに」
赤井は手を伸ばす。
「自分のものだったのにもう届かない…」
「シュウ…」
名前は声を低くする。
「今解放してくれたら誰にも言わない…お願いだからやめて」
「やめて?」
はは、と赤井は笑う。
「それが助けられると言ったやつの説得力か?」
「ーーっはなしをそらさな…!」
ガチャン!とまた引っ張られ名前は顔を歪める。
「昨日のことで怒ってるなら…」
「怒ってるさ…当たり前だろ……」
きみに銃口を向けたんだ……。
赤井は黒い瞳を鋭くして、鉄格子にしがみつく。
「…殺してやるさ……3歳児でも……」
「…なにいってるの…」
はあー。と赤井は背を向けて座り込む。
名前は働かない頭を無理矢理働かせて考えた。
幾度となく仕事をしてきた。この男とは……いつだって完璧に狙った【獲物】は逃がさない。
「救えない」
赤井は肩越しに目を合わせる。
「何かをやるやつは止めたって…」
「…あなたはわたしを監禁して何がしたいの?」
「返してくれ」
「は?」
「出来ないのなら…」
キイ、と扉を開けて赤井はしゃがみながら歩いてくる。
目の前でしゃり…と林檎を噛むと、後ろに放り投げた。
顎に手をやり、名前の顔を向かせる。
「…一生……離れないと約束しろ…」
「ーー!」
口づけられ、名前はからだじゅうを氷で撫でられたように目を見開いた。
「や…!」
「俺から勝手に持っていって…俺を檻に入れたくせに」
「なに言ってるの!?あ、あなたまさか…」
わたしが……
恐ろしくて名前は言えなかった。
「ずっと…狙う立場だった俺から…持っていった……お前が通りすぎる度…」
すう、と顔の横で髪の匂いをかぐ仕草をする。
「お前が…笑う度……」
「シュ…」
「お前が悪い。返せないなら、と言っているんだ」
がん!と端に肩を掴まれ押され、名前は叫んだ。
「はっ…は…嘘でしょ…あなた…はあっ」
「さあ、救えるか?名前捜査官…俺と」
赤井は笑みを深くする。
自分自身をーー…。
「!」
赤井のしょっているライフルに、名前は気付いて唾を飲んだ。
「…っ」
「フフ。その顔…」
赤井は一歩進んでくるから、名前はからだじゅうを縮めた。
「…ただの怒りと憤りじゃない…こんなことになるまで放っておいた…おかれた…犯人への哀れみ、世間の無関心…色んなものがその目に宿ってる…」
名前はまた耳打ちされる。
「…たまらないんだよ」
「っ」
「その目は…」
「シュウ…お願いだから…危害を加えないで…」
名前はライフルを顎でやる。
赤井はきょとんとした。
「今更こいつの何が怖い?」
「…」
「その顔はこっちがしたい顔だがな」
「!」
ガチャン、と首輪が外れる。名前は赤井を見上げた。
後ろには開いたドア。
「…」
名前は俯いていく。
「どうした?名前…」
クックッ…と笑う声に名前はたてかけられたライフルを髪の下から見た。
今、それを奪って走って行けば……。
「…救ってみせる。シュウ、あなたも…わたしもーー」
「ほう?」
赤井は満足そうに首を傾げた。
「…抱いて」
赤井が脱いだジャケットがからだにかけられる。
まさかFBIきってのスナイパーがこんなサイコだなんて、きっと誰にも信じてもらえない。
助けに来たんだと言われたらおしまいだ。
そのまま名前は倒される。頭上にもたれているライフルが目に入る。
「手錠外して…」
「またひっぱたかれたら嫌だ」
赤井は目をぐる、とまわす。
「…愛してるの」
明らかに赤井の表情が変わる。
「…抱き締めさせて」
「なるほど…」
赤井は頷く。
「やつにもそう言ったってわけか…」
そう言う以外に人質を【演じなければ】自分だって危なかった。今もだ。
カチャカチャと手錠が外れると、赤くなった手首にキスされる。
「!」
名前はその通り赤井を抱き締める。ぱさ、と黒いニットが落ちた。
後ろにその少し癖がある髪を流す。
「…正直な話、あなたを好きか…こんな状況じゃよくわからない。でも…信じてほしかった……今も…」
「なら…」
手をとられ、頬擦りされる。
「側にいてくれ…」
ずっとずっとーー…
「んっ」
キスされ、からだじゅうをその手が撫で下ろしていく。
「は…やあっ!?」
ぽろん、と出てきたそれがあまりに大きくてぎょっとしてしまう。
「…い、いったん小さくして…」
「無茶を言うな」
「ママのことでも考えて!」
そのままいれないで…と思い名前はおもむろに起き上がった。
「立派にストックホルム症候群だな…名前…うっ」
「あぁ…」
胸元に入れようとしてみたが、入るような入らないような…擦りあげて出してしまえば小さくなるだろうと踏んだ。
ちゅくちゅくとすぐ音が鳴る。
「な、なんでもっとおっきくなっ…!?」
ぴた、と赤井の腹にくっつくそれに名前はアワアワと見上げる。
「っそんな顔するな…余計犯したくなる…」
名前は股に手をやられ首を振る。
「…」
十分濡れてるじゃないか、と言いたげな目に、かああ…と名前は赤くなった。
「ちが…」
「それはここに聞く」
名前はのけぞって目をぐうっと閉じた。
大きい…それだけで怖い。多少の痛みはあるが、ゆっくり…ゆっくり奥までくるそれに口元を押さえた。
「…よせ。もっと乱れろ…」
「あっ!」
両手を握られ、名前は赤井を信じられない、といった目で見た。
「くそ…可愛い」
「!」
ちゅ、と額にキスされびくつく。
「あ、まっ…まだ動かな…」
「無理だ…そんなに締めておいて…っ」
「ああぁ…」
パン、と音がして名前はかくかくと震えだした。
こんなの……私はもう……。
目の前で腰を揺らす男を、ぼろぼろ涙を溢しながら見つめるしかない。
だんだん快感になる律動に、固さに、名前は喘ぎだす。
「救ってくれ…名前……」
「シュウぅうっ…」
あっ、あっ、あ…としかもう声がでない。
どうしたらいいのか…考えても気持ちよさが勝ってどうしようもない。
駄目だ……救いを求めるのは…私だ。
名前は赤井の唇をせがむ。降ってきたそれにきゅうきゅうとなかが締まるのが自分でわかる。どうしようもない。
「すきっ……すき!シュ……あぁっ!あ、あ…イっ…」
「はあっ!」
「んんん…!」
赤井は抜いたそれから精液を散らした。
前髪まで飛んできたそれに、名前は放蕩する。
気を失うな…と言い聞かせたがダメだった。
からだじゅうが痛くて目が覚めた。飛び起きたらベッドの上だ。
「うっ…」
首元に青い指の跡がついているのが目の前の鏡でわかる。バスローブを着ていた手首も、脇腹やら足首まで……。
普通に部屋に入ってくる赤井に、飛び上がってしまう。
「ただ嫉妬深いだけなんだがな…」
す、とトレイの食事からスプーンを差し出される。
名前はそれを避けて、髪を持ち上げて痣を見せた。
「…あれは監禁っていうのよ、捜査官。立派に犯罪です」
嫉妬深い?とんでもない。死ぬかと思った。
「なら…一生…俺につないでやろうか?お望み通り…」
かぷ。とスプーンを自分の口に入れるも、目は名前から離さない。
「…つながなくても、離れないわよ…」
名前はスプーンをくわえたままの赤井を引き寄せる。
「…だから周囲も傷つけないと約束して…昨日あなた、キャメルとわたしが飲んでたの見てたんじゃないの」
「いい推理じゃないか」
ははは…と笑い揺れる肩に目を細める。
それだけで首輪につなぐか?
IQが高いと理解できない理屈を述べる犯人になんて何百と遭遇してきたが…。
厄介なのに好かれてしまった……。
「日本に異動辞令が出ている」
「え?」
親展、とあるのに開けられていた。
「我々ジェームズ班全員にだ…どうする?」
「どうするって…」
赤井は真顔で至極普通に言った。
「辞令を断るなら殺すぞ」
「な…」
「それから…結婚しろ」
「はあ!?…」
はっ!とすれば赤井の手にはもうすべて記入されていた婚姻届がある。
「あ、あなたね…」
「側にいると…言っただろ……」
くく…と赤井は満足げに笑った。
ああ……救えない。もう、名前には誰にも。
「きみの命と引き換えにさせてもらうぞ…名前……俺の心は、な……」
名前は心底震えあがりたかったが、誓いの口づけを断れなかった。
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