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「人類消失説?」
聞き慣れない単語が表紙に記された
ノートはずいぶんと汚れてボロボロだった。
中には聞き慣れない単語が所狭しと書かれて
いたが、ページがほとんど破れており、
解読するのはとてもじゃないが、不可能だ。
「おい、なんでお前がこんな物を持ってる?」
と聞くと、彼女はこう言ったのだ。
「お母さんがくれたんだよ!」と。
つまり彼女の親はこうなる事を知っていた。
だからこのノートを書き続けていた。
少し希望が見えたと思った。
しかし、もう彼女の親もいない、結局何も
分からないと諦めて閉じようとした時、
最後の厚紙のページに赤文字で何かが
書かれていた。
【私達はここのシェルターに隠れる。
これを見た誰かが助けてくれる事を祈る】
と。
つまり、彼女の親は生きている可能性がある。
そこまでわかった時点で今が夜中である事に
気づいた。
彼女もずっと起きていたが、眠そうに頭を
くらくらと揺らしている。
明日、もう一度彼女と出会った場所で
シェルターを探してみようと思う。
スズムシの鳴く声が少し恐ろしい。
私はそっと目を閉じて眠りについた。