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「やっぱ兄弟だね」
「え?」
なんだか嬉しくって表情が緩む。実里くんが無意識にこれをしたってことは、きっと普段潤のこと見ているからなのかな。
「そういえばさ。潤って俺の為に料理を覚えたんだ」
潤があんなに料理上手なのは実里くんの為に始めたからなのか……なるほど。ちょっと納得。きっと大事な人のためだからこそあんなに上達したんだ。
「俺があの事件の後、ほとんど食べれなくなって……部屋に閉じこもって周りのもの全て拒絶した。母親も父親も、潤も大好きだったもの全て嫌いだ! 近づくな!って」
実里くんは本棚から立ち上がり、白いカーテンを勢いよく開けた。真っ白な世界が彼の手によって見慣れた風景に変えられた。
「潤は必死に慣れない料理して、毎日毎日……部屋のドアの前に置いていってた。本当馬鹿でしょ」
少し懐かしそうに目を細めて、実里くんは机に置きっぱなしになっている本を眺めている。
「俺が部屋を出て、普通に生活しはじめてから潤って変わったんだよね。急に人当たりよく振る舞いはじめて……まるで俺の代わりを演じてるみたいだった。本当は、俺が潤を縛ってること知ってる」
きっとこの二人はこのままだとまたすれ違ってしまう気がする。こんなにもお互いのことを心の奥では思っているのに。
「俺ってやっぱりガキだね」
実里くんがポツリと漏らした言葉と重なるように図書室のドアが開く音がした。
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