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 『うっ……ぐぅ……っ』

僕はゆっくり目を開ける。

開けているはずなのにまだ暗い。

ここは?

頭が痛くて、重い。

立ちあがろうとした。

でも、腕が思うように動かせない。

足も、動かしにくい。

何か、ある。

手錠のようなもので両足を縛られていた

多分、腕にも同じものが…

背中側で縛られているようだ。

『やぁ、やっとお目覚めかァ?』

僕は声のした方へ振り向く。

そこに、鉄格子と、

その奥に、

『お前…っ!』

あの時の男が立っていた。

男が、鉄格子の扉に鍵を刺して、開ける。

男が入ってくる。

『何をする気だ!』

男は怪しく笑う。

『ヘッヘッヘッ!そんなの決まってるじゃないか!』

男の手に、また注射器が、

『私の、この傑作をお前の身体にィ!』

男が歩み寄る。

僕は、なんとか立ち上がり、

男にタックルしようとした。

でも、

『ハァイ‼︎』

男が、僕の頬を殴ってきた。

僕は倒れた。

『その状態で勝てると思ったかァ?残念だったなァ!』

男が、僕の頭に足を乗せる。

そのまま、ぐりぐりと体重をかけてくる。

『ぐぅっ!』

痛い、

『辛いだろ?怖いだろ?死にたくないか?』

辛いけど、

怖いけど、

『死にたくはない!』

琥珀さんが教えてくれたんだ。

生きる意味を。

男は足を戻した。

『そうかそうか。なら、先にあの女からにするかァ。』

男が見た先に…

『琥珀さん!』

琥珀さんはまだ、倒れていた。

僕はなんとか先回りして、

『琥珀さんに手を出すな。』

琥珀さんの前に立つ。

『ヘッヘッヘッ!さすがは人狼!大切な奴のためなら、命をかけてでも守ろうとするなんて!』

男は怪しく笑いながら言う。

『素晴らしい!なんて面白い生き物なんだ!だけど…なんだァ、その目つきはァ?気に入らないなァ?』

男が、僕の頬をまた殴る。

『あぁっ!』

僕はまた倒れる。

『まぁいい。お前が死にたくなるまで、コレはお預けだァ。』

男は、鉄格子から出る。

身体が重い。

何か、されたのかな。

もちろん、銃は盗られていた。

今のままじゃ、勝ち目はない。

『こは…く……』

僕は、這いつくばるように琥珀さんに近づく。

身体を動かしながら近づいた。

琥珀さんはまだ、目覚めない。

でも、

死なせない、絶対に。

あたりを見る。

1面は鉄格子で、他は、

冷たい、コンクリートだ。

出られそうな場所はもちろんない。

あるのは、端にある段ボールのようなものだけ。

とてもあれだけで脱出はできないだろう。

化学薬品のようなツーンとした匂いがする。

実験施設だろうか。

新田先生が言っていたことを思い出す。

人狼を閉じ込め、実験体にした。

そんな実験施設が、この島にあったと。

また、あの男が戻ってきた。

『ヘッヘッヘッ!お腹すいただろォ?ほら、食えェ!』

雑に置かれたなんなのかもわからない食べ物。

2つ、

1つは琥珀さんの分だろう。

『あれェ〜?まだ寝てるのかァ?ねぼすけさんだこと!』

僕は反応が遅れてしまった。

男が、琥珀さんの身体を足で揺らし、蹴る。

『やめろ‼︎』

僕は止めようとした、

でも、

『勝てるわけねぇって言っただろォ?』

僕も、腹を蹴られた。

僕は倒れた。

けど、

男が髪を引っ張り、持ち上げる。

『今の状況、わかってるかァ?無駄なんだよォ!』

そして、

僕の頭を掴み、

壁に押し付ける。

『うぐっ!』

『お前らはァ、ただのォ、実験体ィ、抵抗ゥ、してもォ、無駄ァ!』

頭を何度も、壁に押し付けてくる。

絶望。

それだけが、強くなっていく。

男が手を離すと、僕は倒れた。

床が赤く染まっていく。

僕は、目を閉じた。

嘘をつかない人狼 (狼は大切なもののために牙をむく) 第1章[ショート版]

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