テラーノベル
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夢の内容です‼︎ いい夢だったので‼︎
連載にするか迷ったんですけど
気が乗ったらor続きを待ってくれる人ができたら書きます笑
見てくれてありがとうございます‼︎
「この曲好きだなぁ…」
⠀そんな軽い感想からだった。深夜、ほんの出来心で音楽アプリのコメント欄に書き込んだ一言。
[この曲好きな人〜]
⠀普段ならしないようなことを、そのときは何も考えずにしていた。しばらくして、一つだけ返信がつく。
[この曲いいよね!ギターの入り方が良い…]
⠀全く知らない誰かさんから返信が来る。適当なアイコンに、「sho」という短い名前。少し無機質なアカウント。それでも、その一文だけが何故か目に残った。
“ギターがいい”
⠀誰も触れてなかった、自分しか知らなかったはずの部分を、あっさりと言い当てられている。気づけば、ユリカは返信していた。
[そこわかってる人初めて出会った]
⠀ほんの軽い返事のはずだった。それがきっかけになるとは、そのときは思っていなかった。それからやり取りは続いた。好きな歌手や、よく聴く曲、最近のプレイリスト。何日経っても話題は尽きず、いつの間にか毎日のようにメッセージを送り合う。年齢も住んでいる場所も、お互いに深くは聞かない。ただ「音楽が好き」という一点だけで繋がっていた。
⠀ある日、相手から提案が落ちる。
[通話しようよ]
⠀ユリカは少しだけ迷った。名前も顔も知らない相手。
[声聞きたい。]
⠀それ以上に声が聞いてみたい、ずっとそう思っていたことも相まって、乗り気になってしまった。
[いいよ]
⠀送信したあと、わずかに鼓動が速くなる。初めての通話は、静かに始まった。
《……もしもし?》
低く落ち着いた声だった。想像よりもずっと大人びていて、柔らかさがある。
「……もしもし」
⠀自分の声が少しだけ幼く聞こえて、ユリカは視線を落とした。短い沈黙のあと、相手が小さく笑う。
《緊張してる?》
⠀図星だったが、その言い方に責める色はない。
《かわいい声だね》
⠀その一言で空気が緩んだ気がした。それからは自然だった。好きな曲を流しながら感想を交わしたり、どうでもいい話で笑ったり。毎回気づけば夜遅くまで続き、時間の感覚は曖昧になってしまう。文章よりも距離が近く感じられるが、顔は見えない。その曖昧な距離が、かえって心地よかった。相手は「しょうた」と名乗った。本名かどうかは分からない。だがヘレナはそれ以上踏み込まなかった。知りすぎてしまえば、この関係は簡単に壊れてしまいそうだったからだ。やがて、夜になると自然と通話をするようになる。
《今日、何してた?》
「とくに、普通」
《そっか》
「しょうたは?」
《普通だったよ》
⠀こんな何でもないやり取りが、心地よい時間として積み重なっていく。学校のこと、友達のこと、家のこと。現実の自分とは少し違う、もう一つの側面を預けられる場所。それが、しょうたとの時間だった。顔も知らない、どこにいるのかも知らない。それでも、ユリカは少しずつ彼に惹かれていった。
* * *
⠀通話は、いつの間にか習慣になっていた。ナニカ特別なきっかけがあったわけではない。ただ、最初は暇つぶしみたいに始まって、それが毎日になって、気づけばやらないと落ち着かないものに変わっていた。
⠀夜、部屋の電気を消してイヤホンをつける。その動作はもう考えなくてもできる。スマホの画面が点灯し、表示される名前を見るだけで、わずかに緊張がほどける。安心している、と言い切れる程には、はっきりした変化だった。ユリカ はそれに気づいていたが、考えないようにしていた。
「もしもし」
⠀通話が繋がる。しょうたの声が 電話越しに耳に落ちてくる。落ち着いた声だ、と改めて思う。不思議と気が緩んでしまう。それが慣れなのか、それとも別の何かなのか、まだわからない。
「今日さ、ちょっと面白いことあってさ」
⠀言葉は自然に出る。考えて話している感覚は薄くて、考えるよりも先に口がに動いている。それだけこの夜に慣れてきているということなんだろう。ベッドに寝転び、天井を見上げる。何もない白い面だけが視界に広がる。その単調さが、逆に話しやすい。
《面白いこと?》
⠀すぐに返ってきてくれる声。間がないことが、ちゃんと聞いてくれているんだ、と喜びを生む。
「うん、なんか担任の先生がね…」
⠀どこにでもあるつまらない雑談。特別な意味なんてまったくない、はずだった。
《その先生って、髪長い人?》
⠀不意に割って入ってくる言葉。タイミングは自然なはずなのに、なんだか違和感を感じる。
「……え?」
⠀反応が遅れてしまった。明らかにおかしい。
「え、なんで?」
⠀軽く聞き返したつもりでも、声は少し硬い。自分でもわかる程度に強張っている。
「いや、なんとなく」
⠀返答は即座に帰ってきた。迷いが全くない。その自然さが、違和感を強める。なんとなくという言葉の軽さと、内容の具体性が噛み合わなくて、髪が長いという情報は、当てずっぽうにしては少しはっきりしすぎている。
《当たってた?》
「……うん」
⠀短く肯定する。余計なことは言わない。偶然なんだ。そう理解するのがきっと一番楽だろう 。実際そうなんだろう、と自分に言い聞かせる。
《ユリカってさ》
⠀突然名前を呼ばれて、グワッと意識が引き戻される。思考が途切れる。
《学校、楽しい?》
「え、なに急に」
⠀少しだけ間が空く。その一瞬の沈黙が、やけに長く感じられる。感覚として、間が不自然に伸びている。
《無理してない?》
⠀言葉は優しい。心配しているような響き。表面だけをなぞれば何もおかしくない。それなのに、胸の奥がわずかにざわつく。どうしてそんなことを聞くのか、その意図が読めない。
「別に、普通だよ」
⠀無難な返答。踏み込ませないための言葉だと、自分でもわかっている。イヤホンの向こうで小さく息が落ちる。それが笑いなのか、ため息なのか、判断できない。
《そっか、よかった。》
⠀それだけで会話は区切られる。それ以上は続かない。追及もされない。その引きの早さが、逆に不自然に感じられる。
* * *
⠀放課後の教室はまだざわついている。さっさと帰ろう、とカバンを背負うと友達の声が耳に入る。
「ねえユリカ、今日さ」
⠀友達が振り返り、フッと笑う。
「カバン買いに行くんだけど、付き合ってくんない?」
⠀急な誘いに、ユリカは一瞬だけ考えたが、すぐに頷いた。
「いいよ。どうせ暇だし」
「やったありがと!」
⠀そう言えば最近の放課後は、家に帰って通話をするのが当たり前になっていた。そのことを思い出し、しょうたに連絡を入れようとするとポケットの中でスマホが震える。表示されていた名前はしょうただった。
[今日、通話できる?]
⠀毎日見ている見慣れた文面。ユリカはちょうど良いタイミングでメッセージが来たことに驚きつつも、すぐに返事を返す。
[今日は友達と出かける!夜にはかえってくると思うけど遅れたらごめん!]
⠀スマホの画面を軽く叩いて送信する。既読はすぐについたが、返信がなかなか来ない。その短い時間が長く感じられる。やがて届いたのは、
[そっか、気をつけてね]
⠀その一言だけだった。特別な言葉ではないはずなのに、わずかに引っかかりが残る。ユリカはそれ以上考えないようにして、スマホをしまった。
* * *
⠀外に出ると、夕方の街は思っていたより賑やかだった。
「ねえ見てこれ、めっちゃ可愛くない?」
「ほんとだ、いいじゃん」
⠀カバンを見ながら、他愛のない会話を交わす。笑って、試して、写真を撮る。きっとどこにでもあるんだろうなと思う放課後の時間。だが、その最中ふと視線のようなものを感じる。顔を上げた瞬間、黒いフードを深く被った男とすれ違った。顔はほとんど見えないが、やけに印象に残る。背が高く、周りの人よりも頭が突き抜けている。ほんの一瞬だけ、目が合った気がした。
「ユリカ?どうしたの?」
⠀話しかけられハッとした。目を奪われてしまった。友達に心配して話しかけられてしまった。
「……今の人、ちょっと気になって」
⠀あのフードの怪しい男を思い浮かべながら振り返って指を指そうとする。
「え?どの人?」
⠀友達が体を捻るが振り返ったときには、すでに姿はなかった。
「気のせいなんじゃない?」
⠀何も見ていない友達が無責任に言い放つ。
「だったかも」
⠀そう答えながらも、違和感は消えない。それでも、会話はすぐに元に戻る。買い物を終えて、外に出る頃には空は暗くなっていた。
「今日はありがとね!」
「ううん、楽しかった」
⠀楽しかったことを伝えると、友達は嬉しそうに去っていった。
友達が見えなくなるまで見送ると、一人になってしまった。ここからだったら歩いて帰れるだろう、そんなことを考えると、静けさが少しだけ際立っていく。
⠀ゆっくりと足を進めていると不意にスマホが震える。しょうたからのメッセージだった。
[今何してるー?]
⠀突然のメッセージだった。
[あそび終わって家帰ってる途中]
⠀何故か先ほどのフードの男が脳裏をよぎる。
だが、ユリカはそのまま歩き出す。そんな考えはしまわないと。
⠀しばらくして、自分の足音とは別の音が混じっていることに気づく。振り返ることはできない。歩く速さが自然と速くなる。曲がり角をいくつか曲がっても、その気配は消えてくれない。追われているんだという確信が、じわじわと形を持って行く。
⠀危ない人だ、絶対に。そんな確信がユリカの頭埋め尽くしていく。走んないと。そんな思いで、一心不乱に走っていた。
⠀次の角を曲がろうとしたとき、肩にポンと手を置かれた。振り返るとその男は決して逃さないというようにユリカの肩をグッと掴んでいた。
「俺のこと、わかる?」
⠀低い声だった。聞き覚えがあるような、ないような曖昧な感覚。男のことなんて、わかるはずもない。顔だって見たことがない。
「音楽、好きだよね?」
⠀パッとユリカの耳が割れた気がした。その一言で、全てが繋がってしまった。
「…しょうた……?」
⠀男は微笑んでゆっくりと頷いた。その行動だけで発した言葉が正解だと確信するには十分だった。これまで積み重ねてきたやり取りが、一気に現実へと引き寄せられる。だが、その引き寄せられた距離はあまりにも近すぎた。後ずさる動きに合わせて、男がまた一歩と踏み出す。肩を両手でガッと掴まれる。
「逃げないで」
⠀結構強い力だった。肩がギリギリと締め付けられていく感じがして、心臓がドクドクと脈打っているのがわかる。
「俺と一緒に行こう」
⠀優しく発せられた言葉は、どこか歪んで聞こえて、もう逃げ場はないと感じさせるようだった。
「……離して」
⠀思っていたよりもかすれた声が落ちる。男は何も答えないまま、壁際へと追い込む。
「そんな怖がらなくていいのに」
⠀少しだけ悲しそうに大袈裟に眉を下げて言った。
「ずっと話してたじゃん」
⠀言葉は穏やかなはずなのに、ユリカの体はそれを拒絶している。
「……なんでここにいるの」
⠀ここまで来たらただの疑問だった。
「迎えに来たよ」
「……なんで?」
「ユリカに会いたくて。今日が一番のチャンスだと思ったから。」
⠀優しくて、落ち着いたしょうたの声。いつも聞いているはずなのに何故か今日は別人みたいに聞こえた。
「……なんで?」
「なんで、って?」
⠀ちょっと声が低くなった。
「会いたいって思ったから来たよ」
⠀問いに、明確な返答は返ってこない。
「場所は、なんでわかったの?」
「ユリカ、結構わかりやすいから」
⠀曖昧な答えが、ユリカの恐怖心を高める。
⠀肩をぐっと引かれて距離がさらに縮まる。
「音楽の話してるときの声、めっちゃ好き。すっげえ楽しそうで、 だから、そのままでいて欲しいって思った。俺と話してる時だけでいいよねって。」
⠀肩に触れる手は優しいはずだが、逃がす気はきっとない。
「ね、一緒に行こう」
「ずっと、繋いでようよ」
⠀その言葉は穏やかだったが、選択肢を与えない重たさを持っていた。逃げるべき状況であることは明白なはず。それでも、体はすぐに動いてはくれない。恐怖と同時に、どこかで受け入れてしまいそうになる感覚がある。ユリカの中の何かが静かに崩れていく。止めるには、きっともう遅いだろう。
⠀もう、そんな段階に入ってしまっていた。
コメント
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わあ…読み終わって、ちょっと心臓がどきどきしてます。 音楽アプリのコメントから始まる距離感の描き方がすごく素敵でした。声だけの関係って、現実と地続きになる瞬間が一番こわいんだなって、ユリカの気持ちが痛いほど伝わってきました。「迎えに来た」っていうしょうたの台詞、優しいのに逃がす気がなくて…背筋が冷えました。続きがすごく気になります! 素敵な作品をありがとうございます🌷
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