テラーノベル
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「おい、おなかがすきました」
「だからってうちに来るなよ」
昼下がり、がやがやと外が騒がしい中、太陽が突然やって来た。
オツキンの言葉など聞こえていないかのように太陽は我が物顔で椅子に座る。
無言のまま太陽を見つめるが、太陽は何も言わず、ぶらぶらと足を揺らしている。
…拒否権はないということだ。
オツキンは小さくため息をついた…が、重くはなかった。
「…わかったよ、ちょっと待っとけ」
呟くように言って、静かに台所へと足を運んだ。
料理は得意ではない。
なので、この前コンビニで買ってきたものをレンチンすることにした。
冷蔵庫をカパッと開けると同時に足下に冷気が落ちてくる。
オムライスだ。
確か、太陽が好きな料理だった気がする。
それをガサリと取り出し、電子レンジへといれた。
暖まり終わるのを待っていると、向こうから声が聞こえてきた。
「まだですかー?早く早く早く」
文句である。
「うるせえな、まだ取りかかり始めたばっかだよ」
言い返すと、包丁を研ぐ音が聞こえてきた。
これはまずい。
オムライスを皿に盛り付けているところで、足音が聞こえてきた。
「お手伝いしてあげましょうか?」
珍しいこともあるものだ、太陽から言い出すなんて。
「じゃあスプーンを用意しといてくれ、二人分」
「え、お前もたべんの?」
「当たり前だろ、ちょっとくらいは分けてもらうぞ」
「しょうがねぇですね、ちょっとだけな?」
ここで、オツキンは少し優越感を覚えた。
いつもなら、「え?無理www殺すぞ」などと煽り倒すんだろうが、自分にはそれがない。
おそらく、太陽は無意識のうちに自分に気を許している。
その理由がどうであれ、太陽が自分のことを悪く思っていないのは事実。
自分だけ。
自分だけが太陽に気を許してもらえている。
「おい、早く食べましょうよ」
「…あ、ああ、そうだな」
特権、というのだろうか。
「早く食べよう」
なかなかよいものである。
水ねこ
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