青水♀!!
不思議な夜だった
何が起きたのか、俺は何をしていたのか。
なにもわからなかった。
「………なぁ、お前。なにしとるん?」
近くの野原で水色の髪をした綺麗な女の子が立ってたから俺は思わず声かけてしもうた。
歳も俺と変わらんぐらいの見た目なのに何かそこら辺の小学生とは違う雰囲気を出していた
俺が声を掛けるとこちらをゆっくりと振り向いて伺う
すべての仕草が美しくてつい俺は見惚れてしまう
服装は白いワンピースみたいなのを着ていてとても清楚そうな彼女にとってはお似合いだななんて考える
「あなたは誰…?」
なんてか細い声を振り絞って俺に問いかける
どうやらあのあとにもなにか言っていたみたいだが、どうにもセミやら花火やらの音でなにも聞こえない
そうだ。俺は夏祭りに来ていたんだった
それなのに親と離れてしまって、所謂迷子になってしまって気づいたらここにたどり着いてしまった
という始末。
「俺は、Ifや。」
「いふくんか……僕ね、ほとけっていうんだ!」
「ほとけか……」
ほとけなんて名前珍しいな。
なんて考えるも夏の騒がしさによって俺の考える気は四方八方に散らばっていってしまう
だから夢みたいに今ふわふわした感じ
でも心地が良い
「ねぇ、来年の今日もまたここに来てくれる?」
「多分来れると思うけど…」
「僕、待ってるね…?」
「お、おん…?」
急にそう言われるもんだから俺は困るばかり
なにかやべぇもんに手ぇ出してしまったんかな。なんて考えたりもしたけどこんな可愛い子がそんなことをしていたとしても俺は許しちゃうな
っていう結論に至って解決
「…………あ、じゃあ僕帰るね?」
「おん!」
そう言うと目をつぶり体が光りだす
なんとも現実ではありえない展開で正直瞬きを忘れてしまうほど夢中になってみてしまう
「かっけぇ……✨️」
なんてさ、やっぱ小学生なんだからそういうもんに憧れんだよ
その帰り方を見るためにもどれだけめんどくさかったとしても行くって心に決めた
その翌年もそのまた翌年もあの夏祭りに参加しては野原に向かって女のことであっていた
でも時は過ぎていくもんだ。
小学生、中学生、高校生と俺も歳を取っていく
それなのに女の子は一向に小学生みたいな見た目のままだった
大人になっていくに連れて俺も彼女に不信感を抱くようになってきた
「なー、ほとけー?」
「ん?どうしたの?♪」
「なんでお前は歳を取らないんや………?」
「帰り方も人間とは言えんし……笑」
「……………」
俺が聞いたら黙りこくっちゃって聞いちゃいけないこと聞いてしもうたんかななんて焦ってしまう
いつも元気でニコニコしている彼女に笑顔がないと流石に焦る
でもそんな不安は一瞬にして過ぎ去っていった
「ぷっ…あはははwww」
「なにそれww遅すぎじゃんww」
「………はぇ?」
思わずの事に俺は間抜けな声を上げてしまう。
遅すぎ?なんのことだ……?
「そうだよ、僕は人間じゃないよ。」
「やっぱり……」
「にしても遅いじゃん……w」
「もういふくんも高校生なのに今気づいたんだ……ww」
なんて笑ってバカにされるのが少しだけムカつく
でもたしかにそうだ、こんな非現実なことがポンポン起こってたのに今までなにも気にせずにほとけと接してたのは遅いしバカだなって自分でも思うところがある
「…………ほとけって人間やなかったんだ…」
でも、俺は彼女に恋をしていたから人間じゃないってことを聞いて少しばかり凹んでしまったな
それでも幸せならいいなんて眼の前の欲に囚われてしまった
そんなんだからいつまでも心が子どもなんだよな、って自分でもわかってるのにやっぱり子供だから治せないや。
「うん、僕お星さまから来たんだよね。」
「お月さまならぬお星さまっ!」
嗚呼、こういうところが本当に愛しい
俺の体が成長していく度に彼女への愛の気持ちも成長していく
出会ったときはこんなに好きじゃなかった、やっぱり成長って面白い
「んー、人間界でいう織姫とかいうやつだよ僕は!」
「織姫…」
織姫、彦星と遊びすぎて仕事を全然やらなかったせいで神様から会うのを引き裂かれてしまったあの織姫
だとしたら彦星的存在が彼女に居るということ?
なんて考えたら俺の胸がぎゅーって締め付けてきて今すぐに俺のものにしないとって思っちゃう
「………返事は10年後でも100年後でもいい、今お前に俺は伝えたいことがある」
「ん?なぁに〜?」
「俺はお前のことが好きだ。恋愛として大好きだ。」
「んなッ!!///」
告白をしたら初々しい反応をする
彦星的存在が居るのであれば恋愛には慣れているのでは … ?
まぁ、照れやすい方なんだろうな。悔しい。
「俺また来年来るから、そん時からはアタックするな。」
「う、うん……また来年も会おうね…!」
「じゃ、俺課題残ってるから行かなあかんねん、またな!」
「うん!じゃあね!」
「じゃあね」と言葉を残して彼女は星に帰っていく
彼女が帰った瞬間こと座がキレイに光る
やっぱり彼女は織姫だったんだ。
またこの季節がやってきた。
夏、夏祭りが始まった
前までは好きじゃなかった夏祭り
でも彼女と出会ってからは夏祭りが楽しみで大好きになった
「ふふーん♪♪」
自分でも思うくらいご機嫌で支度する
今日はいつもよりも手を凝ってて、浴衣を着ていくことにした
この姿を見た彼女は顔真っ赤にして「 かっこいい 」って言ってくれるかな
なんて考え事をしながら髪の毛をセットし、家を出る
夏祭り会場について、夏祭りを楽しむのではなくて、花火が見れる絶景スポットに向かう
いつもそこの裏側で会ってた
そこでいつも花火と星を見ながらゆっくり話してた
「あれ…………??」
いつものように幸せな日になると思ってた
それなのに居なかった
いつも俺の隣で笑ってくれて、俺の些細な変化に気づいてくれて褒めてくれる君が居なかった
必死になって探したけど居なかった
心做しかいつもはきれいな星も雲でなにも見えなくなっていた
「 …織姫」
織姫は神様によって彦星と会うのをだめとされる
もしかしてそれ………?
「そうやとしたら1日ぐらい会わせてやッ ……!!」
あれから俺は夏祭りに行かなくなった
夏祭りに行ったとしても大好きな彼女は居ないんだから行く意味ないなって
でも、七夕には毎回彼女と会えるようにずっと願ってる
それなのに願いは叶いやしない
「あ、課題終わってねぇ……ほとけ……… ((ボソッ…」
俺も社会人になった
社会人になるとやるべきことが一気にぼんと襲ってくる
忙しくていつもの夏祭りも行けなくなった
「はぁぁぁぁぁぁッ”……」
「お?溜息ついてる暇があるんだったら追加してもいいのか?♪」
「ぎめんなさい。」
全然冗談になってない冗談をつかれて少しだけイライラするがそれを態度に出したら仕事を増やされるだけだから黙って仕事をこなすだけ
そんな毎日を過ごしてるなんて学生の自分は思ってもいないだろうな。可哀想、俺
「ん~ッ……」
仕事が終わりベッドにダイブをすると開いた窓から蒸し暑い風が家を支配する
そうすると外から音がした、とてもデカくパァーンと空に響き渡る音が
黒い空に虹色の鉛筆で色づけたかのようなもの。
「あ、夏祭りか……今日。」
「…………楽しかったな、ほとけ……」
そう言いながら疲れ切った体をゆっくりと動かして夏祭りの会場へと移動する
その移動最中も綺麗な花火は咲いている
ついた頃にはもう人々が解散し、帰ろうとしていたときだった。
そんなときみんなが向かってる方向とは逆の方向に進んでる俺をおかしいという目で見てくる人がちらほら
でもそれでも彼女のもとへ向かいたかった
いつもの野原に着き、予想通りいなかった彼女の姿を思い浮かべる
ここで話した思い出、褒められて俺が思いっきり照れた思い出
全部が蘇ってきて、それが涙となって体が出てくる
「どこ行ったんだよッッ…ほとけ……ッッ “ 泣」
「俺置いて逃げんなよ………告白の返事もらってないんだよッッ!泣」
止めようにも止められなくて涙も言葉もすべてが溢れてくる
失恋よりも辛い恋ってこれなんだなって恋人から別れも告げられずにタヒんでしまったとき、多分こういう気持ちになるんだなって今まで恋愛で辛い思いしてきた人たちに今なら寄り添えそうなくらいにしんどくて辛い
「……ふっ”…んぁッ”…泣」
しばらく泣きじゃくってもう帰ろうとしたときだった
「セーフッッ!!」
後ろから聞き覚えのある声がした
きっと泣きすぎて幻聴が聞こえたんだろうって何回も疑った
でもそれは偽りない俺の好きな人の声だった
「いふくーん!行かないでよぉッッ!!💦」
なんてブーメランすぎる言葉を言われる
怒りなんてものはとっくに過ぎ去っていき、ただただ安心と幸福感でいっぱいだった。
「…………お前、どこに行ってたんだよ………」
「ん?ちょっとね〜……」
なんて含みのある言葉で返される
でもそんなのなんてどうでもよくて今すぐに抱きつきたかっただけだった
「 ……… バーカ。 」
なんて言いながら抱きつく
そうするとめちゃくちゃ顔赤くなって大人しくしている
そんな幸せを名一杯に噛み締めて、これが一生続けなんて考えているだけだった
end
コメント
2件
え、青水って珍しくないですか???🙄🙄( ( 書き方も少し変えましたかね、?? あれ、?仕事増やす時の🤪くん『ぎめんなさい。』??????( ( ゲストさんの誤字っておもしろ~いッ‼️笑笑笑( ( てれてれな💎ちゃん可愛すぎますッ!!🫵😭💓